西澤 晋 の 映画日記

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2009年 02月 04日

ハンテッド(2003)  ☆☆

f0009381_22223827.jpg監督:ウィリアム・フリードキン
脚本:デヴィッド・グリフィス
    ピーター・グリフィス
    アート・モンテラステリ
撮影:キャレブ・デシャネル
音楽:ブライアン・タイラー

出演:トミー・リー・ジョーンズ
    ベニチオ・デル・トロ

     ×     ×     ×

ナイフによる格闘映画。
70年代、『エクソシスト』『フレンチコネクション』をみてその圧倒的なリアリズムでウィリアム・フリードキンをあがめるようになったが、ここ数十年ちょっと低迷。先の『英雄の条件』はさすがに私でもちょっと駄目だった。。。そしてひさしぶりのフリードキン映画の『ハンテッド』、や~~~~~~~~~、よかった。
一応世間の声を allcinema ONLINE などでチェックしてみてはいるのだがどもう世間の評価はイマイチ。まあ最近のフリードキンならそれもしかたがないかなって思いつつみてみたら、いやいやいやいや、よかった。もうそれは世代の価値観の違いとしかいいようがない。このよさがわからないっていうのは、やっぱり見る側の心の目が未熟としかいいようがない。

アニメもオタク化がどんどん進んでいるのだが、映画もおなじことがいえるのだろう。
先ごろの映画といったら記号化されたアクションシーン、記号化された残虐シーンのオンパレードでたいそうなフィルムにみえてもそこがあさいものがおおい。普通にとればとれるものを効果としててぶれをいれてわざと見づらい画面にしてみたり、やたらと認識できにくするためにカットをやたらと短くつなげたり・・、われわれがみると「あほくさ・・」と思うような絵作りをみて「かっこいい、イカス」を喜んでいる連中があまりにおおい。

ほんとに感情移入してしまうと、そこで行われているイベントを受け止めるだけの心の強さがないから、「これは調理済みのイベントなんだ」と認識しないと楽しめない。そんな貧弱なメンタリティをもった人たちにはフリードキンの演出は強すぎるのだろう。
フリードキンは決してスーパーマンを演出しない。トレーニングされた人間なら出来る範囲のことでアクションをおこなう。その生々しさに拒絶反応を示すのだろう。彼らのメンタリティはひ弱すぎるので認識してはいけないものの部類にはいっていて、いくつかのシーンを見ているうちに「これはみてはいけないもの」と怖がってしまう。それは残虐シーンがどうのこうのという問題ではなく、その画面がもつリアリティがそうさせるのだろう。

われわれが子供のころの子供向け番組といったら、そこに行われるイベントに感情移入して、ドラマのなかでの主人公が感じているストレスや苦しみ、憎しみ、孤独などを教授し、やがて現実世界でやってくる本当のそれに備えるために、徐々に心を育てていく役割をはたしていたのだろう。
現実に立ち向かいための心の訓練場だったのに、それがいつのまにか大人になっても現実逃避するための心のシェルターになってしまっている今のアニメ。
かれらはそれを認識しているのだろうか?
彼らが喜んでみているものは、心がひ弱な、心のひ弱な者による、心のひ弱な者のための、心のひ弱は人が作ったドラマだということを・・。一人一人が進化するためのものではなく、現実逃避するためのものだということを・・。

そんな心がひ弱なまま大人になってしまった人たちがフリードキンの描き出すリアリティをみても、それは確かに拒否するしかない・・。そんなメンタリティがこの映画のイマイチコメントになるのだろうなあって思った。
ああ、やな時代だ。。。

しかし、歳をとってもフリードキン。この映画をとった時が70前だと思うが、まだまだ若い。
最近のデジタルと、手ぶれのおおいカーチェイスと見えないカット割のメンタルチープのくそアクション映画が多いなか、このじじい、がんばってます。いいねえ。。。。
すくなくともこの『ハンテッド』ならフリードキンの燃える映画の棚にしまってもいいと思う。
こんな調子ならちょっとおととしやった『BUG/バグ』もみてみようかと思ったりする。この映画、フリードキンらしくない分野だなあ・・と避けていたのだけど・・・。

フランケインハイマー
亡き後、あのリアリティを表現できる監督さんなんてそういない。というか、私はフランケインハイマーよりもフリードキンをかっているのだけど、
これからさき、70になっても80になっても、メンタルひ弱なガキどもが決してたどり着けない高尚なリアリティの映画をとり続けてほしいものだ。。。

by ssm2438 | 2009-02-04 05:48 | W・フリードキン(1939)


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