西澤 晋 の 映画日記

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2010年 08月 11日

アルジェの戦い(1965) ☆☆☆☆☆

f0009381_17212162.jpg監督:ジッロ・ポンテコルヴォ
脚本:フランコ・ソリナス
撮影:マルチェロ・ガッティ
音楽:エンニオ・モリコーネ

出演:ブラヒム・ハギアグ
    ジャン・マルタン

     *     *     *


以前サンライズで演出志望の進行さんを相手に演習講座をやっているのだが、そのネタの一つとしてこの映画をみてもらおうと思い、久しぶりに見てみた。いや~~~~、すごいすごい。このリアリズムはやっぱりすごい。
監督はジッロ・ポンテコルヴォ。作品数は少ないのだがインパクのある監督さん。といっても私もこの『アルジェの戦い』しかみていなかいのだけど。この作品、アルジェリアの独立運動を描いているのだけど、とにかくその捉え方がリアル。まるでドキュメンタリーとかんちがいしてしまいそうなくらいリアル。たぶんほとんどセット撮影されてないからなのだろう。階段のおおい立体的アルジェリアの町並みはとっても素敵。まるで宮崎さんの『母をたずねて三千里』の描いたジェノバのレイアウトのよう。平面的な舞台設定ではなく、階段のおおい画面っていうのはとってもいいよね。。

その昔ビデオという概念が普及した頃、OVA=オリジナルビデオアニメというジャンルが発生した。それまでは、テレビ、映画に流すということを目的にしてつくられていたのだが、テレビ会社の介入なしにアニメ制作会社が独自に企画をたて、ビデオで作品を売り出そうというもの。その記念すべき第1作がスタジオぴえろが作った『ダロス』というアニメ。じつはその『ダロス』がこの『アルジェの戦い』をネタにつくっていたんだよね。
この作品を選択するセンスの良さにはおそれいってしまう。

それから長きにわたり、アニメ業界でテロ活動とその取り締まりをする側を描く時は、かならずといっていいほどサンプリングされた作品といってもいい。21世紀になってもやっぱりパソコンものの基本はジョン・バダム『ウォーゲーム』であるように、テロものの基本はこの『アルジェの戦い』かもしれない。


アルジェリアはフランス領だったのだが、1962年7月2日に独立した。全く関係ないが、翌日7月3日にトム・クルーズがアメリカで生まれ(苦笑)、独立日から一週間して私が生まれた。‥‥はは、実にどうでも話ですいません。
この映画では、その独立までの10年間くらいを、アルジェリアの独立運動を先導してたアルジェリア解放戦線の活動家アリと、その活動封じ込めるためにフランスから送られてきた空挺部隊の隊長マチューを中心に描いている。
決して善悪を説いた映画ではない。ともすれば、加害者=悪、被害者=善って概念に転びがちだが、この映画そんな感性はもっておらず、ひたすら人間の性に基づいてうまれた植民地という概念と、そこでの独立をニュートラルな立場で双方の活動を描いている。解放戦線側も、フランス人の地元警察員をぼこぼこ殺していったり、ハイソなフランス人たちがあつまるカフェはダンスホールを爆破するだけでなく、売春や麻薬を斡旋してる同胞のアルジェリア人業者も殺してしまう。暴力的に浄化である。
そんな混乱した情勢を収束させるためにフランスは軍隊を送って来た。それが第◯◯空挺部隊。この隊長マチューはとってもクールで、かっこいい。解放戦線の組織構成はこうこうこうなっており、地道な作業だけどこれをひとつひとつつぶしていく。その指示出しが的確で、非合法な情報入手(拷問など)も必要なら[OK]という暗示を出すとともに、これが自分が指示であり、その責任は自分にあるといことも部下たちにきちんと提示している。このへんの潔さがとっても好感をもってしまう。人望がある人といのはこういう人なんだなって感心させられる。

やがて、解放戦線の組織は徐々に摘発されていき、上層部まで捜査は及び、一番頂点までたどりつく。彼は彼でとっても理性的な人物で、おいつめられて逃げ場がなくなると「無益な戦いは無用だ」と一緒にいる女と投降してしまう。仕事場の上司像としてどちらも潔く素敵なのである。連行される車のなかで解放戦線リーダーはクールに対処しているが、「まだアリがいるわ」といい放つその女。解放戦線側はそのアリっていう青年を視点にして描かれているのだけど、彼は正義感たっぷりの熱血漢系。最終的には彼が死に解放戦線は崩壊するのだけど、その2年後、自然発生的に起きた独立運動が引き金になり、アルジェリアは独立へ向かっていくって映画。

この映画、リアリズムの教本になるかなって思ってたけど、みてみると、
「上司とはこうあるべき」という、ビジネス現場における上司の人望獲得教本なのかもしれないって、別のところで感動してしまった。

by ssm2438 | 2010-08-11 13:55


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