西澤 晋 の 映画日記

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2009年 05月 22日

マイ・ラブ(1974) ☆

f0009381_15232158.jpg監督:クロード・ルルーシュ
脚本:クロード・ルルーシュ
    ピエール・ユイッテルヘーベン
撮影:ジャン・コロン
音楽:フランシス・レイ

出演:マルト・ケラー
    シャルル・デネ

     *     *     *

この映画はルルーシュの自伝的要素がつよい映画で3世代を経てめぐりあう男と女という大河ドラマ(?)なのかな・・・????

古い映画ファンならだれでも一度は観たことのあるクロード・ルルーシュだが、最近の人だとあまり触れる機会はないかもしれない。そして誰もがしってるルルーシュの代表作といえば『男と女』なのだろがどうもメジャー過ぎてなかなかレンタルでも手が伸びないのもたしかだろう。

私が『男と女』をみたのは20代の始めころで“一応勉強のために観ておこうか‥‥”って借りたのが初めて。その頃の私は原画を描き始めたころで<全てが勉強!>の時代だった。
『キネマ旬報』の歴代トップテンの映画雑誌を買って、それぞれの時代のトップテンに入ってる映画をチェック、かたっぱしから観ていってた。当初は一日一本を目標にかか上げてたのだが、結果としては一週間に5本(ビデオ4本、劇場で1本)くらいが平均だったかな。それでもその2年間くらいほとんど毎日映画をみていたような気がする。自分の好き嫌いにかかわらず、かたっぱしからみたその時の貯金が今とっても役に立っている。
そんな『男と女』。タイトルからして、それもフランス映画って先入観からこてこてのメロドラマだと思っていたのだが、観てみるともっとさらりとした。それも子持ちの大人同士のスタイリスティックな画面の映画。「子持ちの大人どうしての恋愛映画でどうしてスタイリスティックな映画がとれるのだ???」と思うだろうが、それがルルーシュなのである。
そしてまた今年になって今一度ルルーシュを観てみようかとネットで中古のビデオを探してみたのがこの『マイ・ラブ』。ほとんどルルーシュ自身の自伝的要素が強い。さすがにもううちの近所のレンタル屋では発見できない代物になっているようだ。
どうしてよりにもよって『マイ・ラブ』だったのかというと、実はマルト・ケラーが観たかったから。マルト・ケラーと言えば『ブラック・サンデー』の適役のおねーちゃんである。けっこう好きなんだ。でつい先頃ケーブルテレビで『マラソンマン』(←これもけっこうインパクトのある映画なので映画ファンなら一応チェックの映画だろう)をやっていて久々に出会ってしまい、なんとなく観たくなってしまったというのがほんとのところ。


ルルーシュの映画の特徴は「スタイリスティック」と先に述べたが、それはあくまで表面的な捉え方で、もっと本質的な特徴としては<感情移入しづらい映像>ということだろう。
感情がドラマのなかにはいっていきづらい映画作りをする人なのだ。もとはコマーシャルフィルム出なのでどうしても画面に演出されてるのである。見ている人は<実際にそこにあるドラマを見ている>というよりも<この演出家によって作られた世界をみせられている>という印象をもつ。創作的演出のダメな部分丸出しなのである。
本来ドラマ作りという物は製作会社や、監督やら、役者さんやらによっていかに作られた物でも、見ている人がそれを<実際に在るドラマである>と思ってみることが暗黙の了解となっている。ストーリーにのめり込めるというのは、実はその暗黙の了解のもとで観ているものがドラマの登場人物に感情移入していくことなのである。しかし、演出過剰になると今観ている物語を<演出家による人工的な物>と解釈してしまう。観ている人にとってその違いが分かっている訳ではないのだか、なぜか感情移入出来ない不思議な感覚に陥る。ルルーシュの映画はまさにそれなのである。ルルーシュ以外では黒澤なんかはまるで舞台劇をみせられているよな気になってしまう。でやっぱり感情移入が出来ない。良くも悪くも演出過剰の弊害のひとつだろう。
レンズの選択にもかなり極端な使い分けがされている。望遠で撮った画面は実に映画的にスマートなのだ。しかしその気持ちよさにずっと浸っていたい思っているのに、カメラが寄って急に親近感を覚える画面になったりもする。<映画の画面>というよりも<映画を撮ってるシーンを撮ってる>ような画面になる。実にうさんくさい。おまけに『男と女』に関してはさして意図も無さげなのでランダムに白黒の画面まで登場する。
ルルーシュの映画はストーリー物であっても、ドキュメンタリーかコマーシャルフィルムのように仕上がって来るのである。

私個人のポリシーとしては、映画というのは<在る物でないものを作り、そのない物をまるで在る物のように感じさせる>もの。描かれている世界の空気が本物のように感じられる‥‥ということをドラマ作りのプライオリティにしている。なのでルルーシュみたいな撮り方というのはイマイチ好きになれないというのがほんとのところなのだ。
‥‥そんなルルーシュのスタイルではあるが、グルノーブルオリンピックの記録映画『白い恋人たち』とかこの『マイ・ラブ』みたいな本人の自伝映画もどきの場合はある程度機能してると思う。

個人的は解釈では最後の20分は不要で、“3世代を経て出会った二人のスーツケースがベルトコンベアのにってならでん飛行機の中に消えていく”・・で終らせても良かったのにとおもったりするのだが‥‥。

by ssm2438 | 2009-05-22 14:46


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