2009年 10月 06日
監督:ジョン・バダム 脚本:S・S・ウィルソン ブレント・マドック 撮影:ニック・マクリーン ロボットデザイン:シド・ミード 音楽:デヴィッド・シャイア 出演:アリー・シーディ スティーヴ・グッテンバーグ フィッシャー・スティーヴンス * * * * 監督は数々の専門分野を上手に映画にしてしまう職人ジョン・バダム。 フロアーダンスを料理した『サタデーナイト・フィーバー』、 戦闘ヘリを料理した『ブルーサンダー』、 ハッカー少年のパソコン術を料理した『ウォーゲーム』、 自転車レースを料理した『アメリカン・フライヤーズ』、 スカイダイビングを料理した『ドロップゾーン』、 贋作画家のテクニックを料理した『迷宮のレンブラント』・・、どれも専門性をきちんと披露しつつ、映画として楽しい仕上がりになっている。そんななかでもっとも楽しい仕上がりになっているのがこの『ショートサーキット』ではないだろうか。 しかし、この映画に関して言えば専門性というのはあまり表にでてなくて、それよりも庶民性を披露した映画といえる。その下地として、本来専門性うめつくされてるはずのロボット工学の結晶ともいうべき戦闘ロボットをみせ、その相手を庶民性で処理してしまう逆転の構図。相手がロボットだろうがなんだろうが庶民的に接するアリー・シーディーがとてもチャーミング。 彼女がジョン・バダムの映画に出たのは『ウォーゲーム』(1983)につづいて2本目。あのときはスポーティーなハイスクールガールだったが、3年たつと社会人の女性になっている。うむむむ・・・しかし、ジョン・バダムの映画には彼女が良く似合う。 当時の彼女は青春映画の金字塔『セントエルモスファイヤー』や『ブレックファスト・クラブ』などでやんややんやのスターだった。それなのになんでそのごはしぼんでしまったのだろう。・・謎だ。 <あらすじ> ノヴァ・ロボティックスは世界最先端のロボット開発会社であり、クロスビー博士(スティーヴ・グッテンバーグ)、べン・ヤビタヤ博士(フィッシャー・スティーヴンス)らに来るべき最終核戦争に備えてた戦闘ロボをかいはつさせていた。政府高官を招いたデモンストレイションのあと、軟体かあるうちの一体が落雷をうける。ファンタジー映画で落雷を受ければ無機質なものでも生命をうけるのが常である。 この映画でも例外にもれずナンバー5は生命をもってしまい、偶然にもごみ廃棄トラックにのせられてしまい施設の外に迷い出ることになる。会社は、速やかなる回収、最悪の場合は破壊することもやむ終えないと判断し、警備主任のスクルーダーにその任務をおわせた。そんなことになったら長年の研究成果がパーになってしまうと開発者のクロスビーとベンもほとんど出たことのない市内へくりだす。 その夜、移動レストランを経営するステファニー(アリ・シーディ)はナンバー5を見つけてビックリ。初めは異星人だと思い喜ぶ。「ウェルカム・アワ・プラネーット」とっ子路良く受け入れる。なにかにつけてインプット(情報を吸収すること)したがるジョニー5はステファニーのところにある百科事典を猛スピードで読破、つづけてテレビ番組を延々みつづける。「そんなにテレビばっかりみてると頭のわるい宇宙人になっちゃうわよ、もう寝なさい」ってテレビを消すが、だだをこねる子供のようにテレビをつけかえす。 とにかくシド・ミードのデザインがすばらしく、その眉の部分とか胸鎖乳突筋にあたるシリンダーとか、おそろしいほど感情表現ができるロボットなのだ。そしてやんちゃな子供のように無邪気な性格、恐ろしいまでの情報収集ぐせ、このキャラクターはすばらしい。 スクルーダー率いる会社の警備部隊は破壊してても持ち帰ると攻撃的な構えだが、ナンバー5は会社にもどれば分解される=殺させるとおびえる。ステファニーはこのロボットは生きていると主張するがそんなことを聞きはずもない警備部隊、合えなく電源スイッチを切られ沈黙するナンバー5。 しかし護送車のなかでは、車の振動の拍子に腕のパーツが電源ボタンの上に落下。乗っていた警備兵とベンを追い出しそのまま車を運転して逃走してしまう。とにかくこの辺のしぐさがとてもかわいいナンバー5。ステファニーの元に戻ると彼女は入浴中。「ステファニー’s、チェンジド カラー」と表現するがナンバー5だがタオルをなげつけられる。そのあとテレビで放送していた『サタデーナイト・フィーバー』にあわせてふたりでダンスをしたり・・ととても楽しい。 クロスビーとナンバー5とステファニーは追っ手から逃走し荒野で野宿。 ナンバー5が生きているとなかなか信じないクロスビーはいろいろテストをする。ステファニーがもってきたスープを紙の上にたらしたたんでまた開く「これが何にみえる?」とたずねるクロスビー、 「紙パルプ、植物、野菜、トマト、水、塩、グリココミン酸・・」ナンバー5は答える。 「よしよし、ロボットらしい答えだ」と満足するクロスビー、しかしそのあとナンバー5ば続ける。 「でも良く見ると・・・チョウチョにも似てる、鳥とか・・マイプルリーフ・・」 でもまだ信じない。朝までにらめこしていたクロスビーがふと思い立つ。ジョークだ! クロスビーは勢い良く修道院のジョークを切り出す・・。 なにいってるんだ、こいつ・・みたいな反応のナンバーファイブ。しかし突然笑い始める 「うわああっ、はあああっ、はあああっ、はあああっ うふううううっ、ふうううううっ、ふうううううっ、ふうううううっ」 「こいつ、オチを間違えたのに笑ってる・・」とナンバー5が生きているということを認めるクロスビー。 「うわああっ、はあああっ、はあああっ、はあああっ うふううううっ、ふうううううっ、ふうううううっ、ふうううううっ」 朝焼けの荒野にナンバーファイブの笑いがこだまする。
by ssm2438
| 2009-10-06 04:00
| ジョン・バダム(1939)
|
アバウト
主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
ファン
検索
以前の記事
2016年 05月 2013年 12月 2013年 10月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 タグ
☆☆☆(365)
☆☆☆☆(199) 一見の価値あり!(84) ☆☆☆☆☆(84) 貴重なヌードあり!(82) シナリオ勝負映画(82) 撮影的に高品質な映画(81) この女優必見!(80) 楽しいぞ!この映画(80) ダメだこりゃ映画(79) 女優が色っぽい映画(78) 女優が愛らしい映画(76) 自然描写が美しい映画(53) 一見の価値もなし!(53) ダイナミック望遠映画(37) ディープメンタル映画(22) 言葉が素敵な映画(22) リアリズムの映画(20) ぼろ泣き映画(16) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(13) カテゴリ
ジョン・フォード(1894) フランク・キャプラ(1897) A・ヒッチコック(1899) V・デ・シーカ(1901) ウィリアム・ワイラー(1902) ビリー・ワイルダー(1906) フレッド・ジンネマン(1907) 松本清張(1909) 黒澤 明(1910) M・アントニオーニ(1912) ルネ・クレマン(1913) I ・ベルイマン(1918) F・フェリーニ(1920) G・チュフライ(1921) W・A・フレイカー(1923) シドニー・ルメット(1924) 増村保造(1924) H・ウェクスラー(1926) S・キューブリック(1928) J・フランケンハイマー(1930) N・アルメンドロス(1930) ロベール・アンリコ(1931) ゴードン・ウィリス(1931) マイク・ニコルズ(1931) F・トリュフォー(1932) A・タルコフスキー(1932) D・マカヴェイエフ(1932) テオ・アンゲロプロス(1935) ウディ・アレン(1935) R・レッドフォード(1936) リドリー・スコット(1937) 木村大作(1939) ジョン・バダム(1939) W・フリードキン(1939) J・L・ブルックス(1940) エイドリアン・ライン(1941) ノーラ・エフロン(1941) K・キェシロフスキー(1941) ペニー・マーシャル(1943) ピーター・ウィアー(1944) C・デシャネル(1944) ラッセ・ハルストレム(1946) S・スタローン(1946) アイバン・ライトマン(1946) S・スピルバーグ(1946) パトリス・ルコント(1947) E・ズウィック(1952) ゴジラ(1954) G・トルナトーレ(1956) ブラッド・バード(1957) 男はつらいよ(1969) ライフログ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||