西澤 晋 の 映画日記

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2010年 06月 25日

ウォー・ゲーム(1983) ☆☆☆☆☆

f0009381_3413661.jpg監督:ジョン・バダム
脚本:ローレンス・ラスカー
    ウォルター・F・パークス
撮影:ウィリアム・A・フレイカー
音楽:アーサー・B・ルビンスタイン

出演:マシュー・ブロデリック
    アリー・シーディ

       *       *       *

80年代の映像クリエイターたちはリドリー・スコット『エイリアン』『ブレードランナー』をさまざまな分野でコピーしまくったのだが、実はそれ以上に彼らにインパクトを与えた映画がある。それがこの『ウォー・ゲーム』だ。
この映画はリドリー・スコットの先にあげた2本の映画のようにヘビーテイストではないので軽んじられてるが、この映画のなかで提示されたことは、それ以降の映画やアニメに多大な影響を与えている。大パネルがある司令室も、結局この映画からほとんど進化してないし、パソコンオタクの描写も結局この当時のままだ。もちろん今ではもっと部品が少なくなっている分、昔のほうが専門的にみせやすいという部分もあるだろうし。

そして監督がジョン・バダム。専門分野の小技をきちんとみせつつ、誰にでも分かるように見せてしまう。この専門分野の理解し易さこそがこの人の持ち味なのだ。そして物語りもヘビーすぎる、軽すぎず、ころあいのいいところできちんと料理されている。たしかにアカデミー賞には程遠い人だが、庶民がなにを見たがっているのか、その欲求をきちんと理解し、それを提示してくれる。よくもわるくも職人なのだ。

<あらすじ>
吹雪の中1台の車が人気のない山間の小屋に到着する。車からおりたふたりの男は家に中に入り、鏡に向かってなにやらIDらしいものをみせるとドアがひらく。その山小屋はミサイル発射のコントロール室の入り口なのだ。そして中にいた二人と交代。その直後に緊急信号がはいってくる。二人は命令書で暗号を確認、ミサイル発射命令だと認識しる。核ミサイルはコントロールルームの二人が一緒にキーをまわさなければ発射されない。一人は「何かの間違いだ、センターに確認する」といい、もう一人は「そのような肯定はない」と銃を向ける。カウントダウンがゼロにちかづいていく。前者の隊員は「私には出来ない」とキーから手を離す。
後にわかるのだがこれはミサイル発射の模擬訓練だった。この結果22%の兵士は命令にしたがわなかったことが判明。マッキントリック博士はコンピュータWOPRに総ての工程をまかせ、発射までのプロセスから人間を取り除くことを提案する。

シアトルの高校生デビッド・ライトマン(マシュー・ブロデリック)は、学業の方はたいしたことはないがパソコンに関しては天才少年だった。授業態度を注意され校長室に呼ばれると、学校のコンピューターの今月のパスワードを盗み見、自宅にかえると自分のパソコンを学校のパソコンにログオンして生物の成績をF(落第)からC(水準)に変えてしまう。
電話代はどこぞの電話会社のコンピュータに進入していじくったらしく常時接続も可能にしているし、飛行機のチケットもパソコンで予約をいれほうだい。海外のホテルだって予約しほうだい。
なにせ25年まえにこれを見せられた私にしてみれば「コンピュータというのは何でも出来るんだ!」と感動したものだ。
たしかに今となってはコンピュータといういいわけをすれば何でも出来るという約束事になってしまい<パソコン使って何でも出来る>というコンセプトは、ダサいストーリーの典型になってしまってはいるが、当時ではまさにカルチャーショックだった。

そんな彼がどっかのメーカーが出す最新の戦略ゲームを先取りしたいと思い、片っ端からそれらしい電話を掛け捲り、偶然国防省の戦略コンピュータWOPRにアクセスしてしまう。いくつかのゲームがリストにならんでいるがログオンの仕方が分からない。大学のパソコンオタクたちに知恵をかりるデビッドは「製作者は自分だけはすぐプログラムに入れるように裏口を作っているはずだ。そこから入れるかも」とアドバイス。
「でも製作者がだれかもわからない」と聞くと
「ゲームリストのなかに<フォルケンの迷宮>というのがある。それが製作者じゃないか?」

デビッドは1週間も学校を休んでフォルケンという人物を調べ始める。裏口があったとして、そこをくぐるにはパスワードが必要になってくる。そのパスワードになりそうな言葉を捜しているのだ。全然学校にあらわれないので女友達のジェニファー(アリー・シーディ)が心配して彼を訪ねてくる。散らかっている書類のなかからフォルケンの事故で死んだ子供の記事をみつけるが、デビッドはその子の名前がパスワードではないかと思いつく。<ジョシュア>といれてエンターキーをたたくと見事にログオン。
そしてオンラインで全面核戦争ゲームを開始、デイヴィッドはソ連側をせんたく、ためしにラスベガスを攻撃するように設定する。

しかし国防省ではいきなりモニター画面にミサイルの軌道が提示され、その先にラスベガスがある。緊急事態を宣言するが、そのミサイルの予測軌道はぷつっと途切れる。l狐につままれたような一同。

FBIはそれがデビットの仕業であることを突き止め彼を北米防空司令部に連行する。
「アクシデントでそうなっただけだ」と主張するデビッドだが信じてもらえない。その間にもWOPRはさらなるシュミレーションをしている。メインスクリーンにはソ連のミサイル原子力潜水艦がそれぞれの攻撃ポイントに終結していく様子が映し出されている。それを信じている国防省は迎撃体制をとるが、ソ連からは大統領あてに「無意味な挑発はするな」と連絡がはいっているらしい。

自分の言葉を信じてもらえないデビッドは、フォルケン教授をつれてきて説明してもらうしかないと判断、北米防空司令部からの逃亡をはかるのだが・・・。


とにかくパソコンオタクの専門的知識とテクを披露するマシュー・ブロデリックがすごいすごい。それが実際可能なことなのかどうかは疑問だけど、それでもそれを納得させるだけのジョン・バダム小技演出が洒落ている。

そしてジョン・バダムの要求する画面を実にテクノな照明でたたせるウィリアム・A・フレイカー。この人の使う赤や青のネオン光の照明はじつにかっこいい。そしてそれを引き締める露出アンダーの黒。スピルバーグの『未知との遭遇』もこの人の撮影だが、巨大スクリーンが並ぶ北米防空司令部のライティング、ミサイルの軌道は迎撃する戦闘機をあらわすモニターの色づかい、フォルケン教授の家の中の映写機をまわしながらのライティングやそのあとのヘリコプターの照明。そしてきわめつけのモニター上だけの戦争。この人の重厚でメリハリの効いた派手なライティングはこういったドラマには実に合う。

そしてヒロインのアリー・シーディ。この3年あとに『ショートサーキット』でもジョン・バダムの作品に出ているが、彼もアリー・シーディのことを気に入っていたのだろう。こおころの彼女はホントに元気娘でみていて実にきもちがいい。

by ssm2438 | 2010-06-25 01:48 | ジョン・バダム(1939)


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