2009年 03月 04日
監督:増村保造 脚本:白坂依志夫 増村保造 撮影:原一民 編集:中静達治 音楽:林光 出演:近藤正臣 田宮二郎 関根恵子 梶芽衣子 * * * 世間で「まっさん」と言えばさだまさしですが、私にとっての「まっさん」は増村保造。日本の映画監督のなかでもっとも好きな監督さんのひとりです。主に大映映画で活躍し、晩年は大映テレビで人気ドラマ、山口百恵主演の『赤い衝撃』(1976~1977)の監督や、堀ちえみ主演の『スチュワーデス物語』(1983~1984)の脚本を担当、どろどろした展開を潔く描くっと印象があります。 この映画は後期の作品にはいるでしょう。 新幹線をからめたパニックものといえばタイトルだけなら『新幹線大爆破』のほうが有名ですが、内容的にはこちらのほうがぎりぎり刻み込んでみせていきます。あちらはエンタ系パニック、こちらは社会派の犯罪サスペンス映画。ただきわめて乏しそうで、最後ののリモコンでブルドーザーを新幹線の線路に落下させるくだりはさすがに『殺人ブルドーザー』を思い出しましたが、そこはそれ、映画の本筋は知能犯の近藤正臣と捜査主任田宮二郎の読み合いがスリリングに展開、十分たのしめました。 あとこれをみて思うのが、このころまでは国鉄(JRの前身)が巨悪になりうる最後の時代だったのかなって、懐かしくなります。『海峡』のころの国鉄は、日本全土に鉄道を伸ばし、山を突きぬけるトンネルを掘り、海峡をくぐるトンネルを掘り、瀬戸内海をわたる橋をつくり・・と情熱のほとばしっていた時期。それがこの映画がつくられた1975年の国鉄は赤字をかかえ、弱体化した組織で新幹線の騒音問題では譲歩をしいられるようになっていく、かなり惨めな時期。そして最終的には中曽根政権下で国鉄の民営化がなされていくわけです。 <あらすじ> 名古屋市熱田区。東海道新幹線が住宅密集地にもかかわらず時速200キロ近い高速で走り抜けていく。そのすさまじい騒音ゆえに付近に住む老婆は精神に異常をきたし、医師である秋山宏(近藤正臣)と、その恋人である看護師・君原和子(関根恵子)の懸命の介抱も空しく息絶えてしまった。老婆を死に至らしめた国鉄に怒りを覚えた秋山は復讐を誓った。秋山は和子に病院からニトログリセリンを盗みださせる。 秋山の脅迫状の趣旨は、国鉄に対する騒音対策の実施要求と、要求を受け入れなければ10日以内に新幹線を転覆させるというものだった。警視庁は犯罪科学捜査研究所所長の滝川保(田宮二郎)を捜査本部長に任命し、数人の新幹線の沿線の県警の人間と共に極秘捜査を開始する。
by ssm2438
| 2009-03-04 05:22
| 増村保造(1924)
|
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主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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