西澤 晋 の 映画日記

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2009年 03月 11日

旅立ちの時(1988) ☆☆☆

f0009381_152187.jpg監督:シドニー・ルメット
脚本:ナオミ・フォナー
撮影:ジェリー・フィッシャー
音楽:トニー・モットーラ

出演:リヴァー・フェニックス
    ジャド・ハーシュ
    クリスティーン・ラーチ
    マーサ・プリンプトン

        *        *        *

好きな映画だけど、いい映画かといわれるとちょっと疑問。映画的にはもうちょっと見栄え良くできんたんじゃないのかな? ヒロインもマーサ・プリンプトンじゃなくて誰か他のにしてほしかった。当時りヴァー・フェニックスと付き合ってたということで話題性をねらったのかもしれない。もうちょっと可愛い娘だったらよかったのに・・・。あと、ルメット作品で撮影に多くを期待するべきではないのだが、これがアラン・J・パクラみたいにゴードン・ウィリスの画面力持っていたらなあっていつも思う。きっと『プリンス・オブ・シティ』なんかゴードン・ウィリスで撮れたら最高だっただろうに・・。
しかしシドニー・ルメットの映画で唯一泣けた映画かもしれない。ルメットといえば社会派の巨匠、頭で感動する映画であって涙をさそう感動ではない。そんなシドニー・ルメットだが、この映画だけは観ててほろほろ来てしまった。

アーサー(ジャド・ハーシュ)とアニー(クリスティン・ラーティ)の夫婦は、60年代の反資本主義闘争に参加・反戦運動に加担し抗議行動として銀行を爆破、その時依頼テロリストとして指名されている。日本でいう赤軍派みたいなもの。それ以来当時の仲間などの支援もあり、年に1~2度引越しをくりかえしつつ、そのつど名前も職業もかえて逃走してい。しかし彼らには二人の子供があり兄のダニー(リヴァー・フェニックス)はそろそろ大学進学の時期。いつもキーボードを叩きながら練習しているダニーは、新しく引っ越した高校で音楽教師のめにとまり、有名音楽大学への進学を勧められる。
ダニーに音楽の道を進ませてあげたいアニーだが、アーサーは家族はいつも一緒であるべきだという。すこしづつ家族のあり方がギクシャクしてくるなか、アーサーの昔の同士ガスがたずねてくる。ガスは闘争の意義など無縁の人物となっていた。彼の車のなかに隠した銃をみつけたアーサーは
「これは我々とは無縁のものだ」と二人の子供にみせ、ガスを追い返した。
それでも息子を自分たちの犠牲にはしたくないアニーは、20年まえに捨てた父に会い、なんとかダニーの面倒をみてもらえないかと申し出る。
「お前はわしを資本主義の犬とののしり出て行ったんだぞ。そのわしに頼むのか・・」と厳しい態度の父。
娘を許すつもりはない父だが最後に、何かあったときは彼の面倒をみることをぼそっと告げる。
しばらくしてガスが銀行強盗で警察に逮捕されたとの報が届きアーサーは即刻引越しを決め各人へ連絡。どさくさな状態で事が起きてしまい、自己主張もする間もないダニー。まえもって決めてあった集合場所へと集まる。最後に自転車でその場に来るダニーは、ピックアップトラックの荷台に自転車をのせ車内にのりこもうとすると、
「バイクをおろせ」というアーサー。

あっという間のそれぞれの決断の時。ここの見せ方は良かったね。
考える暇も与えない、それぞれは何が大事なのか直感で思ったらそれを決断していくしかない状態。
もう息子とは二度と会えないだろうことも分っていて、彼を残すことを決意する父。
ドラマチックでもなんでもない、なんの変哲もない道路わき、一人の立ちずさむダニーのまわりを家族がのるピックアップトラックがぐるぐる回ってから去っていく。それを見送るダニー。
実に突然の終劇。

現代は『ラニング・オン・エンプティ』。アーサーとアニーにとってはの逃走は自分たちの決断の結果だからつづけるしかないのだけど、それを息子たちにはエンプティな逃走。
大儀を捨てても息子の未来をとりたい母が父に会いに行くところでぼろぼろ泣けて、「バイクをおろせ」からあダニーのまわりぐるぐるでまた泣けてきて、・・・エンディングの曲がながれてくるころにはじわじわ来てほろほろしてた。
ルメット、泣ける映画とれるじゃん!
でもやっぱり社会派ルメットな映画でいした。

by ssm2438 | 2009-03-11 23:53 | シドニー・ルメット(1924)


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