西澤 晋 の 映画日記

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2009年 09月 12日

十二人の怒れる男(1957) ☆☆☆☆☆

f0009381_13435051.jpg監督:シドニー・ルメット
脚本:レジナルド・ローズ
撮影:ボリス・カウフマン
音楽:ケニヨン・ホプキンス

出演:ヘンリー・フォンダ
    リー・J・コッブ
    エド・ベグリー
    E・G・マーシャル

        *        *        *

社会派の巨匠シドニー・ルメットの監督デビュー作。冒頭で被告の少年をカメラが捕らえたあとは、陪審員が陪審員室に入っていき、そこからドラマは始まる。で、終わるまで延々その室内と、となりにあるトイレの中だけで話が展開する。死後は裁判所から散会しているみなさんをフカンで撮ってそれで終了。ほとんどまるっきり室内のなかの描写だけなのだ。この手の映画はシナリオが全てといっていいだろう。

ただ、現代においては今の若い人たちがこれをみて面白いかというと・・・たぶんそんな感想は持たないだろう。これはあくまで映画を楽しんだ映画世代の宝ものだろう。しかし、現代の若者でもシナリオライターを目指す人、ドラマ作りをめざす人にはマストシー映画のひとつであることは疑う余地がない。
登場するそれぞれの陪審員のキャラクター設定、そして誰もが有罪だと思われて事件をひとつひとつほぐしていくそのテクニック。シナリオお勉強映画としてはいまだにその最高峰の教材だと思う。

しかし、意地悪な見方をすれば、良心と誠実の化身8番の陪審員(ヘンリー・フォンダ)よりも3番の陪審員(リー・J・コッブ)のほうが自分に近い気がして好きだ。あと4番の陪審員(E・G・マーシャル)も大好きだ。で、もし私がこの映画つくらせてもらえるなら、最後の最後でもういっぱつどんでん返しをして、やっぱり有罪だったんだ!ってのがいいなあ。で、みんなが疲れて部屋から出て行ったあと二人のこされた8番と3番の陪審員、うなだれる8番にジャケットをかけてやり、あんたもよくやったよ・・って気持ちだけ伝えて二人出て行くってのがいい。

この映画のホントのポイントはストーリーがどうのこうとというよりも、人を裁くということは、自分が裁かれるということ。自分の人間性が問われるということ。それがチープであろうが、高尚であろうが、きちんとさらけ出さないといけないということ。アメリカの陪審員制度というのは、ひとりひとりが陪審員となるとき、自分自身の価値観を再確認するんだろうね。
それは選挙も同じなんだけど。結果を探すことで、自分の価値観を見つめなおす時間。だからこの映画がなにかしら神聖なものに思えるのだと思う。

by ssm2438 | 2009-09-12 13:07 | シドニー・ルメット(1924)


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