西澤 晋 の 映画日記

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2009年 08月 13日

若草の萌えるころ(1968) ☆☆☆

f0009381_558830.jpg監督:ロベール・アンリコ
原作:リシュエンヌ・アモン
脚本:リシュエンヌ・アモン
    ロベール・アンリコ
    ピエール・ペルグリ
撮影:ジャン・ボフェティ
音楽:フランソワ・ド・ルーベ

出演:ジョアンナ・シムカス
    カティーナ・パクシヌー
    ホセ・マリー・フロタス
    ベルナール・フレッソン

        *        *        *

原題は『ジダおばさん』、これだけ聞くとロマンも何もないように聞こえます。邦題の『若草が萌える頃』もけっこういいセンスだと思いますが、これだとタイトルだけ一人歩きしてる感じがいなめない。私だったら『きのうの夜は・・・』というタイトルにしますね、デミー・ムーアロブ・ロウの映画でありましたが(苦笑)。

この映画、はっきりしたストーリーはあってないようなもの。20代に見たのですがそのときは・・???な映画でした。今見直すと・・・、いいですねえ。とにかくムードがいい。夜の街を歩くジョアンナ・シムカスだけで十分絵になる。またこれが気持ちいい画角の絵をつくってくれるんだ。これはもう監督のロベール・アンリコと撮影監督のジャン・ボフェティの意思疎通のなせる業ですね。中望遠感がとてもすばらしい。それに時代は60年代、まだまだフィルムの質が悪くて暗いところはとことん黒くおちて見えない。これがいいんだ! 今のフィルムは感度が良すぎて見えてしまうので個人的にはかなり不満。

f0009381_3384121.jpgこのヒロイン=ジョアンナ・シムカスは1960年代に青春時代をすごした映画ファンならまちがいなくディーバの一人ですね。『冒険者たち』『オー!』の時代に彼女を見た人ならあこがれてたでしょう。残念ながら私はそのときまだ小学生だったので彼女をリアルタイムであこがれたことはないのですが、短くも美しく萌えた女優がいるということは知ってました。
その彼女が主演の映画、しかもタイトルは・・『ジタおばさん』。なんじゃそれは??って思うかもしれませんが、この映画のポイントは彼女のミステリアスな情緒形態。大好きだったジタおばさんが脳卒中で倒れ、何かをしたいけど何も出来ない状態。夜になると彼女のうめき声のような寝息だけが聞こえてくる。でもなにもしてあげられない。・・・こんな場所に痛くない。で、夜の街を意味もなく徘徊するジョアンナ・シムカス。
現実を忘れさえせてくれるならなんでもいい、とにかく底に帰りたくない理由が出来るならなんでもいい・・、そんな心情。わけもなくそれをしたいけど、それをしたくない・・みたいな、男にしてみれば「どっちなんだ、おい!!」とむかつく女。
そんな彼女に言い寄ってくる男たち。非日常がちょっとだけ刺激的。出会ったばかりで恋愛感情なんかもてないけど、とりあえず自分に興味をもってほし・・みたいな、男と接するときの女のスタンスといいましょうか、ちょっといじめてみて、それでもついてくるなら相手してあげようか・・みたいな、男にとってはけしからん女なのですが、女にしてみれば実によくつかう手・・。そんなシムカスがとっても素敵です、・・ムカクツけど。

いやああ、良かった。この映画は今みるとおもったよりもかなりの名作だということが判った。
自分の映画鑑賞能力がかなり大人になったってことだなあ。
なんかわからんけど、いい!っていうのが、具体的にわかってきてる自分を発見できた映画でした。
歳はとるもんだね。

by ssm2438 | 2009-08-13 05:58 | ロベール・アンリコ(1931)


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