西澤 晋 の 映画日記

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2011年 06月 16日

赤ひげ(1965) ☆☆☆☆☆

f0009381_6271015.jpg監督:黒澤明
脚本:井手雅人
    小国英雄
    菊島隆三
    黒澤明
撮影:中井朝一
    斎藤孝雄
美術:村木与四郎
音楽:佐藤勝

出演:三船敏郎
    加山雄三

        *        *        *

黒澤明の映画というのはきわめて記号主義的映画である。そこに登場する人物というのは何かを象徴する記号でしかない。強い人はこのように描く。臆病な人はこのように描く。悔しい時にはこのように描く・・など、すべてが記号として処理さている。これは図式的に分り易いという利点もあるが、所詮は記号なので感情移入ができなくなる。なので出来上がって映画で本当に感動するということはない。素直な人は即効で「つまらない」と言えるだろうが、人間大人になってくると心ではなく頭でものを考えだす生き物であり、ほとんどの人は頭の中では、“ここは感動すべきところなのかな”と考え、感動したのだと自己暗示をかけることになる。特に自分に自信がない人は「黒澤映画はすばらしい」と世間が評せば、“そうなのかな・・”って思えるかもしれないが、実際誰もが心のなかでは「つなんないなあ~」って感じているのだ。
とりあえず、黒澤映画を見るときは、そのことを前提にして見ていこう。

そういうわけで、心の目でみるとつまんない黒澤映画であるが、さすがに様式美の引き出しとしてみると実にバラエティに富んでいて勉強になる。この映画もオムニバス形式の話なのでストーリーもの映画として面白いかといえば面白くはない。・・が、記号的な芝居づけと、画面構成は素晴らしい。とくにダイナミックな望遠画面は<強い絵>を具現化している。世間には<上手い絵>とか<繊細な絵>とかいろいろあるが<強い絵>というのが『赤ひげ』にもっとも適した表現だと思う。特におとよと佐八の階段での別れのシーンは日本映画史上にのこる名シーンだろう。
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by ssm2438 | 2011-06-16 06:27 | 黒澤 明(1910)


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