西澤 晋 の 映画日記

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2009年 09月 27日

鏡(1974) ☆☆☆

f0009381_2522158.jpg監督:アンドレイ・タルコフスキー
脚本:アレクサンドル・ミシャーリン
    アンドレイ・タルコフスキー
撮影:ゲオルギー・レルベルグ
音楽:エドゥアルド・アルテミエフ

出演:マルガリータ・テレホワ
    オレグ・ヤンコフスキー

        *        *        *

まったく・・・意味不明映画である。それでなくても睡魔を誘うとよく言われる(実はわたしは全然ねむくなったことおがないのだが世間ではそうらしい)タルコフスキーのなかで、もっともわけの分らない映画である。わけの分らないところは私も同感である。

実はこの映画、私がはじめて買ったDVDであった。よりにもよってよくこんなわけの分らないものを買ったものだと思う。そしてそのご3~4年は放置してからなんとなく見た映画、もっとも始めてみたのは〇〇ロードショーで、そのときの解説の人はだれだったか・・、忘れたが一番基本的なことを教えてくれていた。
「この映画を判りづらくしているひとつの原因は、一人の人が二つの役を演じているからだ。それも二人」・・だそうだ。・・ほら、もう判らない(苦笑)。

この映画現実の世界で<妻と息子><昔の母と子供の頃の自分>を同じ女性と子役がやっているのだ。・・ほら、これでもまだ判らない。なんでこんなことをしたのか・・というところがポイント。

f0009381_3201186.jpgその鍵を私はあるアメリカのポルノ映画に発見した。
ポール・トーマスという監督がとった『シークレット・パーティ』という映画だ。この映画の主人公は既に結婚して妻(ジュリア・アン)もいるが、いつもあこがれの女性の夢をみる。ビーチを歩いていると向こうからシースルーのなかいドレスをきたスタイルとのよさそうな、美しそうな若い女性がこちらに歩いてくる。かなり近づくのだがいつも彼女の顔は確認できない。そんな彼がホームパーティをやり家のそこらウ中でエッチをしている人がいる。そんなホームパーティもおわって妻とのエッチ。妻が彼のものを咥える。結合してピストン運動し、フィニッシュは顔射をしたいと強引に彼女の顔を引き寄せるが拒否される。そんな妻がしばらく出張で家をあけることになると、友達のホームパーティに行く主人公、そこでまたエッチをするが、やっぱり彼の欲求はみたされない。実はそのなかには妻も仮面をつけて参加してたりもするが・・これはあまり関係がない。主張(嘘)からかってきた妻が帰ってきて、へたってる主人公をみるとやさしくなぐさめて、フェラチオをしてくれる。のときいあのイメージの人がだんだんと近づいてくる。その女性とは・・・シースルーの衣をまとったその向こうには美しい裸体がみえる。主人公の男は妻(ジュリア・アン)の顔に射精する。そしてビーチの女をカメラが足元からパンアップしていくと・・・・、自分をみおろす母の顔があった。

・・この映画をみたとき、すげえと思った。
所詮は男の理想の女性は母なのだ。多少不満があったとしても、それを後天的にモディファイドしていったものであって、所詮は母親ベースでしかない。そして男は母のように愛してくれる女を求めているものだ。この赤裸々な暴露をしたポール・トーマスはえらいと思った。


・・・で、話をタルコフスキーの『鏡』にもどすが、やはり彼も妻も子供もあるのだろうが、その妻には母親を重ねてみているのだろう。でもそれは決して重なることのないイメージ。
男が女を愛するのは、その女自身をあいしているわけではない。男が愛しているのは、自分の中にある理想の女性=母、もしくは母からの進化系のなにか。そして自分の理想・母をその女に投影して、もしかしたらこの人が母になってくれるかもしれない・・と期待している間は夢をみられる生き物なのだ。
その女が、きっと自分の理想なのだと期待できるときはその女を愛していると思うのだが、その期待が消え去ると愛は消える。
(※実はそれもちょっとちがうのだが(苦笑)。男も場合は女とそんなことで別れたとしても「もしかしたら・・接し方が違えば彼女こそが・・その人なのかもしれない」と勘違いしなおしたりする)

この『鏡』という映画は、たぶんそういうことをベースにして作られた映画なのだろう・・と私は思う。でも、それを露骨にはかけないので、母の回想とか、自分のもっている母のイメージを今の妻に重ねているって映画になったのだと思う。
タルコフスキーはテレ屋さんなのだ。

・・あくまで私の解釈です。
この映画は10人いたら10人なりの解釈ができるだろうし、そのどれもが完全に正しいということはない映画なので、あまり真剣に考えずに映像ネタ映画としてみておけばいいのでは・・。

by ssm2438 | 2009-09-27 03:35 | A・タルコフスキー(1932)


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