2009年 02月 05日
監督:根岸吉太郎 原作:立松和平 脚本:荒井晴彦 撮影:安藤庄平 音楽:井上堯之 出演:永島敏行 ジョニー大倉 石田えり 横山リエ * * * 石田えりの脱ぎっぷりのよさがとても好印象。もともとそれがみたくて見た映画だったけど、じつにいい映画だった。幸せの沁み込み度が非常に高い映画。自分のところにおりたったのが幸せの青い鳥だったことにとても感謝するしかないような映画。結婚式で永島敏行が歌う『わたしの青い鳥』に感動じわじわ。「今ある幸せを大事にしよう!!」って気になってしまいます。 シナリオのつくりが素晴らしい。 対比の構図が非常に効果的。不幸に導くカエデという女と幸せにみちびくあや子。そこには極端に分り易い何かがあるわけではない。既婚者だけど色っぽくて話のわかってくれそうなカエデ。若くてパンパンはじける感じのあや子は、新人類っぽくほんとにこんなんで大丈夫なんかな?って不安さえ覚える。しかし、この二人が、ジョニー大倉と永島敏行の運命をそれぞれの方向へとなんとなく流していってしまう。それは意図的というのではなく、実に自然にながれていったらそうなった・・という描写。 そしてビニールハウスの中ではジョニー大倉と永島敏行が真実の告白シーンの反対側では、誰もしらないみんなが宴会をつづけている。 このわざとらしくない対比がすごく聞いている。 特に宴会を抜け出して二人でしっとリ話・・というシチュエーションは誰にでも一度や二度はあるだろうが、実に自分に存在感を感じる素敵な時間だ。それをとても上手く使っている。 <あらすじ> 1970年代後半、都市化の波がひたひたと押し寄せてきている感のある群馬県宇都宮市。そこで和田満夫(永島敏行)ビニールハウスでトマトを栽培している。父は家を出てバーの女と同棲、兄も百姓を嫌って東京でサラリーマンをしている。家に残っているのは満夫と母と祖母の三人。 喫茶店のカエデ(横山リエ)という女といい仲にるが実は彼女には夫も子供もあり、その夫が満夫にひとこといいにきた。妻の浮気は今回に限ったことではないが、もう会わないでくれというもの。 その頃満夫はあや子(石田えり)とお見合いすることになり、あまり乗り気ではなかった会ってみると意気投合できる相手、そのままモーテルへいきエッチをしてしまう。それを境に彼女も時々ハウスを手伝いに来るようになる。ビニールハウスのなかでトマトにかこまれてするエッチ。これがとてもさわやかでいい。 その頃、子供の時からの友人広次(ジョニー大倉)があのカエデと駆け落ちした。あや子の父の希望で、村一番の盛大な結婚式をあげている雨の晩、広次が帰ってきた。カエデを殺してきたと言う。盛大な宴の歓声が母屋から聞こえてくるなか、ビニールハウスの中で広次は満夫に成り行きを告白する。 このシーンをみていると胸が締め付けられる。もしかしたら満夫自身が広次の立場になっていたかもしれない。それが、たまたまお見合いをしてであったあや子という女性が気立てのいい女だったので、カエデという女にもさほど関心を持たずにそれっきりになっていただけ。そのころカエデに入れ込んでいた広次はその女と出来上がってしまい、駆け落ち。最初は楽しかった広次とカエデの逃避行だが徐々につまんなくなり、「あんたのせいでこんなになった」と責任転化するカエデ、「警察にいってあんたに誘拐させたっていう」と脅す。どんどん心はささくれだっていき、お金もそこをつき、最後に泊まったモーテルで彼女をころしてしまった広次。 まさに彼女は不幸をはこぶ黒いカラスだった。 そして「稲刈り、頼んだぜや」と言い残して自首する広次についていってやる満夫。帰ってみればまだ宴会はつづいている。朝になり、雨が上がり、宴の席もそろそろおひらきという時、最後に「満夫、何か歌え」ということになる。満夫は桜田淳子のデビュー曲「わたしの青い鳥」を歌いだす。 ようこそここへ クック クック わたしの青い鳥 恋をした心にとまります 「あや子、一緒に歌ってくれや」というとあや子も一緒に歌う。 そよ風吹いて クック クック 便りがとどけられ 誰よりもしあわせ感じます どうぞ行かないで このままずっと わたしのこの胸で しあわせ歌っていてね クック クック クッククック 青い鳥 カラオケもない時代で、伴奏も手拍子もない素朴な二人の歌だけど、じわあああああああんと幸せが染込んで来る。泣ける。 そして来年のためにハウスを整理している二人の姿。そこに不動産屋があらわれるが、それを追い返す満夫。遠くで遠雷がなっている。
by ssm2438
| 2009-02-05 00:01
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主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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