西澤 晋 の 映画日記

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2009年 06月 02日

鬼が来た!(2000) ☆☆☆

f0009381_830873.jpg監督:チアン・ウェン
脚本:チアン・ウェン
    ユウ・フェンウェイ
    シー・チェンチュアン
    シュー・ピン
    リウ・シン
撮影:クー・チャンウェイ
音楽:リウ・シン
    リー・ハイイン
    ツイ・ジェン

出演:チアン・ウェン
    香川照之
    澤田謙也

        *        *        *

エネルギーのほとばしってた映画だった。

中国の映画だけど、戦時中の日本軍とその占領下の地域とのありかたを偏りなく描いてるときいて劇場に足をはこんだのだが・・・、たぶんこのあたりが正確な描写なのだろうなあって思った。前半、そこで描かれている日本軍は、横暴なことをするわけでもなく、それなりに社会に順応してる感じで、中国人もさほどの敵対感情をもっているようには描かれていない。
きわめて牧歌的に進む前半だが、それが一気に殺戮劇となる後半。
人間ってこういうもんなんだなあっていうのをまざまざと映像にしてくれた。

第2次大戦もうそろそろ終わろうかとしている、中国・華北のある村。ある、何者かがマー・ターサン(チアン・ウェン)に麻袋を2つ押しつけて、それを晦日まで預かるよう銃で脅して去っていった。そのなかには縛られた日本兵の花屋小三郎(香川照之)とその通訳のトン・ハンチェン(ユエン・ティン)が入れられていた。もし日本軍に見つかれば村人の命はない。マーは慌てて村の長老たちに相談するがどうしようもなく時間だけがすぎていく。日本兵の花屋は、囚われの身で生きるのは日本軍人の恥、早く殺せとわめきたてる。そんなことはどうでもいいマー。約束の時を過ぎてもその人物は姿を見せない。そんな突然の不条理な出来事からこの物語は始まる。
それから半年たち、仕方なく縛られて麻袋にいれられたままの花屋と通訳の中国人を世話するマー。当初は攻撃的だった花屋も村人たちに感謝を示すようになっていく。

ここまでは実に不条理な状況におかれた日本人や、中国人が、それでも人間性をもってコミュニケーションしていく。実にほほえましい展開なのだ。やがて花屋は自分たちを助けてくれたお礼に穀物を進呈するよう日本軍にかけあう。花屋の上官、酒塚隊長(澤田謙也)は、花屋を激しく叱責するものの、村人たちには要求以上の穀物を進呈。その夜、村人全員と日本兵たちが集まって宴会が開かれた。大いに沸く人々。

しかし・・・・ここからである、事態が急変するのは。
突然酒塚が村人に花屋の殺害を命じる。緊張が走る中、酔った村人の1人が酒塚に気安い口調で話し掛け、その姿に激怒した花屋は衝動的にその村人を殺害してしまう。それをきっかけに宴会は、一気に集団殺戮パーティと化す。やがて終戦。通訳トン・ハンチェンは処刑。そしてマーは、恨みから日本兵をオノで多数殺害したことを問題視され、花屋の手で斬首刑に処されるのだった。

まさに不条理モノ。なんでこうなるの???って感じ。しかしその根底には・・
異なった文化のもとで育った人間同士でも、穏やかにコミュニケーションをとれる能力もそなわっているにもかかわらず、突然それ(=鬼)はやってくるのです。そういう危険性をはらんだ生き物だということですね。それでもいいじゃないですか、お互いいがみあっても、鬼が来てない時は一緒でいられるのだから・・みたいな、そんな映画。最後首をきられたマーの顔がとても穏やかで、そのようなことを感じさせる映画となっているのでした。

by ssm2438 | 2009-06-02 07:54


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