西澤 晋 の 映画日記

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2009年 08月 03日

女狙撃兵マリュートカ(1956)☆☆☆

f0009381_234488.jpg監督:グリゴーリ・チュフライ
脚本:ゲー・コルチュノフ
撮影:セルゲイ・ウルセフスキー
音楽:ウラディミール・クリュコフ

出演:イゾリダ・イズヴィツカヤ
    オレグ・ストリジェーノフ

        *        *        *

チュフライ監督の処女作。

時代は1917年以降のロシア内戦期。マリュートカが所属する赤軍とは、厳密には1918年に組織された労働者・農民赤軍のことを指すが、ロシア内戦期には、ボリシェヴィキの軍隊を指す代名詞でもある。白軍は「反革命」と呼ばれるが反ボリシェヴィキの勢力。

敵対するもの同士が徐々に心を通じ合わせ、さらに流されて二人きり・・なんというロマンチックなシチュエーション。その島にいる限りは二人は恋人同士でいられる。またその流された先の風景がいい。広大な海辺にぽつんと漁師がたてたらしい掘っ立て小屋がひとつ。それだけで絵になる。しかしそこに船が近づいてきた。それこそが現実への帰還の引き金に・・・。実にスタンダードな物語展開。

しかし、チュフライの映画はお話もスタンダードだけど、画面は実にスタンダード。スタンダードをきちんとやってみせていく姿勢がいいなあ。

<あらすじ>
ロシアの内戦期、赤軍の小部隊がカスピ海に近いカラ・クム砂漠を北へむかっていた。マリュートカ(イゾルダ・イズヴィツカヤ)はこの部隊の狙撃兵。すでに40人の白軍兵を血祭に上げている。そして41番目を狙撃ししその相手は倒れたが、再び立上り投降してきた。かれは白軍の将校(オレーグ・ストリジェーノフ)だった。政治委員その捕虜を赤軍の司令部に護送するためマリュートカを監視につける。

マリュートカの小隊はアラル海岸のカザフ人部落に着いた。夜営の小屋でマリュートカは詩を書いていた。それがきっかけで彼女と白軍の将校との緊張がとけて行った。学のないマリュートカの書く詩は子供の作文だが、白軍の将校は教養をみにつけていた。敵ながらその知性に憧れ二人で勉強するようになる。
赤軍は捕虜を司令部に送ることを決定、「道中白軍にあったら捕虜を殺せ道中」とマリュートカに命令し、小舟に彼女と捕虜の白軍将校、他二人をつけて行かせる。ところが、やがて海が荒れだし舟は波間に翻弄、二人の同志は海中に没する。マリュートカと白軍将校はどこかの浜にはい上った。

浜に納屋のような小屋があり、そこで二人は暖をとり服を乾すうち、マリュートカは彼がひどい熱であることを知った。優しい感情が彼女の心を占め、親身に捕虜を介抱した。マリュートカは彼に今までにない不思議な歓びを感じた。近くをさがすと今は使ってない漁師の小屋がありそこに移動、二人きりの孤島の生活に互いの愛情は火と燃え始めた。
彼は二人の将来を夢みる。だがマリュートカに革命を捨てることは出来ない。それまは普通の恋人同士なのに大儀の話をし始めると水と油である。二人は悩むが、そうしたある日、沖に船影が見えた。喜ぶ二人は銃で空に向け何発か撃った。その船は気付いたようで、上陸戦を二人のいる浜に向かわせた。近づいた船は白軍のものだった。それを知るや彼は船を目がけて走りだした。マリュートカは撃つしかなかった。しかし次の瞬間、マリュートカは銃を投出し、波に洗われる恋人に走りより亡骸をだきしめるのだった・・・。
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願わくばマリュートカを演じる彼女が、『誓いの休暇』ジャンナ・プロホレンコくらい可愛かったらもっとよかったのに・・。実にロマンチックでいい作品だ。ソ連の映画監督といえばどうしてもアンドレイ・タルコフスキーって印象が強いが、私はこのグレゴリー・チュフライのほうが好きみたいだ。

by ssm2438 | 2009-08-03 22:07 | G・チュフライ(1921)


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