監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:ピーター・ベンチリー
カール・ゴットリーブ
撮影:ビル・バトラー
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:ロイ・シャイダー
ロバート・ショウ
リチャード・ドレイファス
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『激突!』でも書いたのだが、
サッカー観戦型映画と
野球観戦型映画がある。これは
サッカー観戦型映画のきわめつけはこれだろう。とにかく見ている人間が考える必要はない。ひたすら受動的に
スピルバーグが提出する情報に感化されてればいい映画。しかし、その情報提示が実に上手い。
スピルバーグの映画というのは、なんといいましょうか・・、映画鑑賞力の弱い人に向いてると思う。
普通のドラマ、たとえばウルトラマンだとすると、怪獣に結びつくイベントがいろいろあって、そこにで来る人に感情移入つくってから、怪獣登場、つづいてウルトラマン登場、両者が戦ってウルトラマンが勝つ・・というのがまあ普通の流れだろうが、一部のお子様は情緒というものがなく、ウルトラマンと怪獣さえ戦っていればいいと感じものだ。そんなわけでその戦いにどんな意味があったのかなんて関係ない。見終わったら次は・・・テレビゲームでもやるのだろう。 こういう人はドラマを楽しめない人なのである。時間が余っているときに脳みそに何らかの刺激がほしいだけの人、そういう人にはスピルバーグの映画は実に向いている。
その集大成といってもいい映画だ。
しかしこの映画は、その見せ方が絶妙に上手い。ひたすら退屈になりかねない、ブロディ他2名が冷めたい時に出て行ってからというもの、本来サメと人間の戦いなんて、早い話がつりと一緒で水面下が見えない以上待っているしかない。それだ映画がつまんなくなるのはあたりまえだ。この映画では黄色いタルを打ち込んで、それで水面下のサメの動きを表現した。そこにいたる以前には、ここでは素人でしかないブロディ(ロイ・シャイダー)のいごこちのわるさ、3人の微妙なスタンスの違いをさりげなく表現してたりする。とにかくあきさせない演出が上手い。