2009年 04月 16日
監督:ジャン=ジャック・アノー 製作:クロード・ベリ 脚本:ジェラール・ブラッシュ、ジャン=ジャック・アノー 撮影:ロベール・フレース 音楽:ガブリエル・ヤーレ 出演:ジェーン・マーチ レオン・カーフェイ * * * 本人の自伝的小説の映画化なので、原作者のM・デュラスも想い入れがあり、監督のアノーやクロード・ベリとは確執があったみたいですね。売るほうとしてはある程度売れるものにしたいし、原作者にしてみれば自分の過去だけに、正確に描いてほしいだろうし・・。 特に違うのがなんでもレオン・カーフェイだそうな。彼だとカッコよすぎで威圧感があり、ほんとはもう少し繊細でなよとした人だったらしい。個人的にはそのほうがリアリティあっていいのだけど、ビジュアルでみせるドラマとしてはどうしてもカッコいい人を愛人の男にしたかったのでしょう。 対して感情もないのにさらさらと愛人になってしまうジェーン・マーチに最初はびっくり。でも、女という生き物は男を好きにならない生き物だということが判った今では、けっこう普通に思えた。 ちなみにタイトルの「ラ・マン」は男性名詞だとか。なので、「愛人」というのは、ジェーン・マーチではなく、レオン・カーフェイ演じる男のほう。 ジェーン・マーチはこの映画のなかで輝いていた。あのちょっと上にめくれ上がった唇がとても素敵。隙間がいっぱいある部屋のなかで、そとには通行人の雑踏があり、板で仕切られたその空間でする情事というのが実になまめかしくていい。都会のトイレでも、あのドアのしたにある隙間がポイントなのであって、あれがないとなんだか重要なエッセンスがなくなってしまう。そとの空間を感じさせることが密室を描く上ではとっても大事。外側からない密室なてのは実につまらない。刑事どらまの取調室も、そこにマジックミラーがあるからある種のテイストがあるのだし、そとで聞こえる足音があるから、妙なリアリティが出るもの。あのエッチするための部屋の描き方は実によかった。あの部屋の描写とジェーン・マーチのスレンダーな肢体がこの映画のすべてだった。 その少女の父はフランスからここに移り住んだが死んでしまい、残こされた母は耕作不能な土地を買わされほとんどの資産を無にしてしまった。なんとか小学校を経営しながら生計をたてているが、上の兄は阿片で働く意欲を失い、下の兄をいじめ抜いている。貧乏な西洋人と金持ちの中国人という、常識とくらべて立場が反転している環境下で物語りは進む。 <あらすじ> 1929年、フランスの植民地インドシナ(現在のヴェトナム)。 最初の出会いはメコン川を行く船上だった。そして数日が過ぎ、田舎町サデックの自宅から寄宿舎のあるサイゴンに帰る途中の少女(ジェーン・マーチ)に、黒いリムジンからその男が降りてくる。彼は地元華僑の資本家の32歳の息子(レオン・カーフェイ)。彼にさそわれるままに、車に乗り、中華街ショロン地区につれていかれる。通りは騒がしく、隙間から人通りでたえず変化する日差しが差し込ム部屋で、彼女はその男に抱かれた。そしてその関係をつづけていく。 母親は娘の変化に気づきながらも、娘を通して金品を援助してくれる男を黙認した。しかし、男は父親の命令通り中国の富豪の娘と結婚式をあげ、少女は家族とともにフランスに帰国することになった。フランスへの旅立ちの日、船の上から男のあの黒いリムジンが見えたとき、少女は初めて涙を流した。 ・・・・でも、愛してなかったと私はおもう。
by ssm2438
| 2009-04-16 15:53
|
アバウト
主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
ファン
検索
以前の記事
2016年 05月 2013年 12月 2013年 10月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 タグ
☆☆☆(365)
☆☆☆☆(199) 一見の価値あり!(84) ☆☆☆☆☆(84) 貴重なヌードあり!(82) シナリオ勝負映画(82) 撮影的に高品質な映画(81) この女優必見!(80) 楽しいぞ!この映画(80) ダメだこりゃ映画(79) 女優が色っぽい映画(78) 女優が愛らしい映画(76) 自然描写が美しい映画(53) 一見の価値もなし!(53) ダイナミック望遠映画(37) ディープメンタル映画(22) 言葉が素敵な映画(22) リアリズムの映画(20) ぼろ泣き映画(16) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(13) カテゴリ
ジョン・フォード(1894) フランク・キャプラ(1897) A・ヒッチコック(1899) V・デ・シーカ(1901) ウィリアム・ワイラー(1902) ビリー・ワイルダー(1906) フレッド・ジンネマン(1907) 松本清張(1909) 黒澤 明(1910) M・アントニオーニ(1912) ルネ・クレマン(1913) I ・ベルイマン(1918) F・フェリーニ(1920) G・チュフライ(1921) W・A・フレイカー(1923) シドニー・ルメット(1924) 増村保造(1924) H・ウェクスラー(1926) S・キューブリック(1928) J・フランケンハイマー(1930) N・アルメンドロス(1930) ロベール・アンリコ(1931) ゴードン・ウィリス(1931) マイク・ニコルズ(1931) F・トリュフォー(1932) A・タルコフスキー(1932) D・マカヴェイエフ(1932) テオ・アンゲロプロス(1935) ウディ・アレン(1935) R・レッドフォード(1936) リドリー・スコット(1937) 木村大作(1939) ジョン・バダム(1939) W・フリードキン(1939) J・L・ブルックス(1940) エイドリアン・ライン(1941) ノーラ・エフロン(1941) K・キェシロフスキー(1941) ペニー・マーシャル(1943) ピーター・ウィアー(1944) C・デシャネル(1944) ラッセ・ハルストレム(1946) S・スタローン(1946) アイバン・ライトマン(1946) S・スピルバーグ(1946) パトリス・ルコント(1947) E・ズウィック(1952) ゴジラ(1954) G・トルナトーレ(1956) ブラッド・バード(1957) 男はつらいよ(1969) ライフログ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||