監督:ジャン=ポール・サロメ
脚本:ジェローム・トネール
ダニエル・トンプソン
ジャン=ポール・サロメ
撮影:ジャン=フランソワ・ロバン
音楽:ブリュノ・クーレ
出演:ソフィー・マルソー
ミシェル・セロー
フレデリック・ディファンタール
ジュリー・クリスティ
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この監督が悪いのかシナリオが悪いのか、とにかく面白くない。ルーヴルの内部がみられたことは非常によかったが、お話の展開そのものが非常に悪いので、そんなささやかな嬉しさもふっとんでしまう。
いいドラマというのは、観客に「これが見たいんだろう」と期待させて、それを「でも見せてあげないんだな」と裏切り、それ以上のものを見せていく。それが演出というものだ。
しかし、この映画は、観客が見たいものを期待させておいて、それを見せず、それ以下のものしか見せないという悪循環。ドラマ作りの下手さがきわだっている。一番シンプルなシーンの例だと、
ソフィー・マルソーのヌードを期待してみていると、それを裏切り(ここまでは普通なのだが)、それ以上のものが後に与えられないのだ。だったら、ソフィー・マルソーのヌードを見せるか、そんな期待をさせないか、どっちかにしないと見てるものが不満をつのらせてしまう。これ以外のどのシーンも、見ている側が見たいとおもうシーンを見せてくれない。ストレスがどんどんたまってくる。見る意欲をそこなう展開だ。
根本的な失敗は、あのオレンジ色した零体ドクロ幽霊。あれを見せること自体がどんくさすぎる。あれを画面上に見せないで、見ている人に想像させる形でこの映画をつくってたら、もう少しはいい物になっていたいのではないだろうか?
監督
ジャン=ポール・サロメのセンスのわるさが際立つだけの映画だった。
<あらすじ>
ルーヴル美術館の地下収蔵室からミイラが発見された。イギリスからミイラ学の権威グレンダ・スペンサー博士(
ジュリー・クリスティ)が呼ばれ、調査が始まる。美術館正面のアパートにリザ(
ソフィー・マルソー)がこのミイラと接触するとミイラの魂がリザに乗り移ってしまう。実態を得たミイラの魂は、盗まれたあるものを求めて深夜のルーブルをうろつくことになる。元刑事のヴェルラック(
ミシェル・セロー)らはミイラの副葬品を見つけ、儀式を行い霊をしずめる。するとリザは正気を取り戻し、ルーヴル美術館の絵画から無数の霊が飛び立っていくのだった。