西澤 晋 の 映画日記

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2009年 11月 09日

カッコーの巣の上で(1975) ☆☆☆☆

f0009381_237075.jpg監督:ミロス・フォアマン
脚本:ローレンス・ホーベン、ボー・ゴールドマン
撮影:ハスケル・ウェクスラー、ビル・バトラー
音楽:ジャック・ニッチェ

出演
ジャック・ニコルソン (ランドル・P・マクマーフィ)
ルイーズ・フレッチャー (婦長ラチェッド)
ウィル・サンプソン (チーフ)

        *        *        *

1975年のアカデミー賞(作品賞、監督賞、脚色賞、主演男優賞、主演女優賞)をとった映画。「管理社会と個人の尊厳」「自分で自分の可能性を封じ込めないこと」「感動とは伝わるということ」・・という、私に好きなテーマがふんだんにもりこまれている。
主演は個人的にあんまり好きではないジャック・ニコルソン。彼の映画の中ではかなり好きな映画。ただ、主人公が犯罪者ってのはイマイチひっかかる。テーマ的にはスタンリー・キューブリック『時計じかけのオンレンジ』と同じものだろう。こういう作り方なら見る気がする。
原作は舞台なのだが、それをミロス・フォアマンが映画化。この監督、この9年後に『アマデウス』で再びオスカーに輝くのですが、時としてガツンは映画を提供してくれます。『ラリー・フリント』もけっこうガツンな映画だった。

<あらすじ>
1963年9月、レゴン州立精神病院。ランドル・P・マクマーフィ(ジャック・ニコルソン)は刑務所の強制労働を逃れるために気狂いを装ってこの病院に移送されてきた。病院は絶対権をもって君臨する婦長ラチェッド(ルイーズ・フレッチャー)の専制のもとに運営されていた。その管理下の元、患者たちがまるで生気のない無気力人間になってい。
ディスカッション療法の席上、マクマーフィはワールド・シリーズの実況をテレビで見れるよう日課の変更を要求した。ラチェッドは一蹴したが、病院の方針により評決は患者たちの投票に委ねられることになった。賛成投票したのは僅か2人。さらなる患者たちの協力が必要と感じたマクマーフィは患者たちを扇動していく。再投票が行われた。『急性患者』9人全員の賛同を得た。しかしラチェッドらはこの病棟には他に9人の『慢性患者』がいるとの理由で却下した。完全痴呆の慢性患者、その 1人1人を口説いてまわり、やっとチーフと呼ばれるインディアン患者(ウィル・サンプソン)の説得に成功するが要求は時間切れで冷たく拒絶された。

この病棟なかでは、ワールドシリーズを見るということだけでも、ほとんど不可能なことなのだ。それは患者のほとんどが知っている。その不可能と思われることをマクマーフィーはひとつひとつ具現化しようとしていく。この地道な成し遂げ方は、実に私のツボなのだ。

それ以後も、マクマーフィは次々とラチェョドの専制的体制に反抗を続けた。ディスカッション療法のとき、タバコの配給のことから看護人と争った彼は、罰としてチェズウィクやチーフと共に電気ショック療法に送られる。それは治療と言う名の拷問だった。さすがに不安になったマクマーフィをそれまで聾唖だと思われていたチーフが勇気付ける。
2人は秘かに脱出計画を練った。決行日が近づいた。ある晩、マクマーフィは看護人を買収し、キャンディらを引き込み、お別れの乱痴気パーティを開いた。ラチェッドに、全裸でキャンディと寝ているところを目撃され攻められたビリーが自殺する。平静さを装って勤務につく看護婦ラチェッドの冷酷さにマクマーフィの怒りが爆発した。あやうく彼女を締め殺しそうになった彼は病室から連れ去られた再び電気治療が行われた。

f0009381_2395498.jpg数日後、1人ひそかにその帰りを待つチーフのもとへ、植物人間と化したマクマーフィが戻ってきた。マクマーフィをこのままここに置くにしのびないと感じたチーフは、枕を押しつけ彼を窒息死させた。チーフにとってそれが最後のマクマーフィに対する友情の証しだった。

劇中、動きそうもないウォータークーラーを「成せば成る!」とつかんで持ち上げようとするジャック・ニコルソンの描写がある。それをはたでみているはチーフ(ウィル・サンプソン)。結局ニコルソンの力ではどうにも動かなかった。その動かなかったウォータークーラー、ジャック・ニコルソンが廃人となったあと、巨漢のチーフが不可能に挑戦する。そのウォータークーラーで鉄格子もろとも窓をぶち破り、彼はこの収容所を出て行くのだった。
ジャック・ニコルソンの深いなシーンも多いし、ルイーズ・フレッチャーの記号的官僚支配もあざといが、最後、チーフが脱走していくシーンは開放感につつまれる。

by ssm2438 | 2009-11-09 02:44 | H・ウェクスラー(1926)


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