2009年 10月 13日
監督:ロバート・レッドフォード 脚本:ポール・アタナシオ 撮影:ミヒャエル・バルハウス 音楽:マーク・アイシャム 出演 レイフ・ファインズ (チャーリー・ヴァン・ドーレン) ジョン・タートゥーロ (ハーヴィー・ステンプル) ロブ・モロー (ディック・グッドウィン) * * * 監督としては絶対的に支持するロバート・レッドフォードなれど、この作品はそれほどあたりというわけではなかったかな。いつものヒーリング・モードはかなり薄かったし・・。しかし、この人の繊細な演出にはついつい見とれてしまう。 『真実』というものを、テレビの番組のウケの為に汚してしまった伝説のクイズ王の後悔の念が染み込む映画・・・。善良は市民だった主人公のチャーリーが、クイズ王にしたれられ、自責の念にとらわれ、それを告発。そして謝罪。しかしテレビはチャーリーの態度は「潔いもの」として称賛する。クイズ王になる前も、なってからも、引き際も、本来彼自身はとても高潔で心の清潔な人だったのに、テレビが介入することで、それが欺瞞になっていくメディアの不思議。しかし、彼と直接触れ合えば、その人の良さが実感できてしまう・・という、イベントを描くのではなく、ニュアンスを描くレッドフォード演出はいつもすばらしい。 しかしイベントしか追わない人にはこの映画はつまらないものになるだろう。 レッドフォードの映画では痛みとか、悔しさとか、後悔が見ている人に染み込むのである。この繊細な染み込ませ方がレッドフォードは上手すぎるのだ。 <あらすじ> 56年、アメリカ中がテレビのクイズ番組に熱中していた。中でもその秋にスタートした『21(トゥエンティ・ワン)』の人気は、社会現象にまでなっていた。番組で無敵を誇るチャンピオン、ハーヴィー・ステンプル(ジョン・タトゥーロ)が勝ち進んでいたが視聴率の伸び悩みから、スポンサーは、もっと見栄えのする人物に変更しろと指示する。そんな折り、番組のオーディションを受けにきたコロンビア大学講師で、著名な詩人を父に持つチャーリー・ヴァン・ドーレン(レイフ・ファインズ)をひと目見たプロデューサーのダン・エンライト(デイヴィッド・ペイマー)は彼に白羽の矢を立てる。 ダンはハーヴィーに別のクイズ番組への出演をちらつかせ、悩み抜いた末にハーヴィーは本番で間違った答えを口にして、劇的な負け方をした。一方、チャーリーにはオーディションの際に出された問題が出され、彼は仕組まれた勝利に気がつくが、脚光を浴びる気分の良さと高額の賞金を前に理性をなくしていく。ダンの目論見どおり、チャーリーは名門出で若くハンサムなクイズ王として『タイム』や『ライフ』の表紙を飾り、テレビ界の寵児となった。だが、その裏には番組をよりドラマチックに演出し、高い視聴率を稼ぐために勝敗の不正な操作が行われていた。 ハーヴィーはついに、地方検事局に訴えを起こす。やがて立法管理委員会が調査を開始、新人調査官のディック・グッドウィン(ロブ・モロウ)が関係者への聞き込みを開始する。彼は調査を続けるうちに番組で不正が行われたことを確信するが、チャーリーには不思議な好感を持ち、友情さえ感じ始める。彼はついに決定的な証拠を掴み、事件は全米放送史上空前の一大スキャンダルへと発展。一方、チャーリーは15週目の対戦でわざと不正解してチャンピオンの座を降りた。立法委員会が開催され、ハーヴィーが証人喚問された。全米のマスコミが注目する中、チャーリーは聴問会に証人として出席して不正の事実を認める声明を発表した。ダンら製作陣は解雇されたが、チャーリーの態度は潔いものとして称賛される。テレビという巨大なメディアは何も変わらないことに気づいたディックは、暗然たる思いに包まれた。
by ssm2438
| 2009-10-13 04:14
| R・レッドフォード(1936)
|
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主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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