西澤 晋 の 映画日記

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2008年 11月 02日

タクシードライバー(1976) ☆☆☆

f0009381_726535.jpg監督:マーティン・スコセッシ
脚本:ポール・シュレイダー
撮影:マイケル・チャップマン
音楽:バーナード・ハーマン

出演
ロバート・デ・ニーロ (トラヴィス・ビックル)
シビル・シェパード (ベッツィー)
ジョディ・フォスター (アイリス)
ハーヴェイ・カイテル (スポーツ)

        *        *        *

世間でいかに評価されようともこの映画、好きではないな。ただ、生理的に好かないとはいっても、技術的には素晴らしいものなのでそこはきちんと割り切ってみよう。

ドラマ作りをする上で大事なことは、感情移入。見ている人にどうにかいてこの物語の主人公に同調してもらわないければ、物語にみいってくれない。そのためには<弱さ>を共有させる・・ということがとても重要になってくる。人間の気持ちと言うのは<強さ>には嫉妬はしても共鳴はしない。人の気持ちが共有できる感情は<弱さ>なのである。あの名作『ロッキー』でも、はじめはうだつのあがらない人生の負け組からスタートするのはそのためだ。
ただ、この映画に描かれた共鳴をさそう<弱さ>は今までのそれではなく、まさにオタク・スピリットなのだ。この点がこの映画の傑出した特徴であり、それまでの映画とは一味違った毒をもっている。しかし、その点において、感情移入できる人と出来ない人が出てくる。私は出来ない。ゆえにこの物語が全然面白くない。しかし、これに感情移入できる人もいるのである。

この映画で<共感>を誘導するオタクス・ピリット。それは社会性の欠如・・、反社会性とはまでは言わないまでも、非社会性であろう。現実世界で生きていくことに恐怖を感じ、引きこもってしまう精神。自分を認めてほしいのに誰も認めてくれない。もっとも、認めてもらうためには社会的のなかで責任を持たなければいけないのだけど、その立場になるためのその努力もしない。そしうて妄想。
自分が認められるシーンを妄想して楽しむ。・・・結果としてこの映画の最後では、それを実行に移してしまう。実に破綻したオタク。もし70年代にオタクアニメが反乱し、銃が規制されていたら、この主人公は秋葉原に来てトラックをのりまわし、ナイフをふりまわしていただろう。時代が70年代であり、銃が反乱するアメリカであり、オタクアニメが無く、大統領候補の暗殺に失敗したから、最後は売春婦のジョディ・フォスターを助けにいくこと行為になっただけ・・。

精神構造的にはオウム真理教麻原彰晃と同じであり、妄想をオタク的に具現化した男の話である。こういう現実社会で戦えない(現実社会で自分を認めさせる勇気がない)恐怖から、妄想に引きこもった精神構造の人間をみるだけで、嫌悪感を感じる私としては、ひとえに生理的に好かん映画の一つだ。

by ssm2438 | 2008-11-02 07:49


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