西澤 晋 の 映画日記

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2008年 11月 04日

ファニーとアレクサンデル(1982) ☆☆☆☆☆

f0009381_4564096.jpg監督:イングマール・ベルイマン
脚本:イングマール・ベルイマン
撮影:スヴェン・ニクヴィスト
音楽:ダニエル・ベル

出演:
バッティル・ギューヴェ (アレクサンデル・エクダール)
ペルニラ・アルヴィーン (ファニー・エグダール)
エヴァ・フレーリング (エミリー・エグダール)
ヤン・マルムシェー (ヴェルゲルス主教)

        *        *        *

人には決して勧めないが、イングマル・ベルイマンの集大成の映画だろう。集大成すぎて、ストーリーとしての求心力がないことだが・・、これは目をつぶろう。
しかし、それぞれのシーンの完成度は恐ろしいまで高く、なにもかもが濃縮還元ベルイマン・ジュースとして作りこまれている。演出もエピソードの、登場人物のキャラクターも、どこをとってもベルイマンのエッセンスにあふれている。「ベルイマンとはこんなもんだ」・・という彼の性格や思いや、語りたいものや、彼自身の人生経験や・・そんなもの総てがもっともコンパクトに集約されてた映画だといっていいだろう。

5時間と言うとてつもない時間の映画だがその長さをまったく感じさせない映画だった。間にインターミッションはあったが、見せ方がすごいのだろう、目が離せないというか・・、見る人の脳みそに確実に飽きさせない何かを画面のなかに練りこんだ演出なのだろう。感情移入と期待、陶酔‥、そういうものが無意識のうちにつづれ折られており、それがつねに見ている人の感性を刺激しているのだと思う。その極意が何なのか、死ぬまでには見極めたいものだ。

ベルイマン映画のコアともいうべきリブ・ウルマンが出てないのは淋しかったが、それでも彼女が出てないことがベルイマン過ぎずに良かったと思える。もしあの母親役をウルマンがやっていたら親近感がありすぎていやらしいものになっていたような気がする。エヴァ・フレーリングの母親役はこの映画にとって絶対不可欠な要素だったのではないだろうか。夫を亡くした葬儀のときは平然としている未亡人を演じていた彼女が、よるになり誰もいなくなった棺を「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお、ううああああああああああああああああ」と嗚咽のような叫び声を下ながら行ったりきたりする映像は今でも心にやきついている。この映画のなかでいいシーンはいっぱいあるが、あそこが一番好きだ。

1983年のアカデミー外国語映画賞セザール外国映画賞を初め、この年の外国映画賞や 撮影賞のほとんどこの映画がもっていった。

f0009381_4591347.jpg<あらすじ>
スウェーデンの地方都市ウプサ。大邸宅の一室でただ一人、人形芝居に興じる少年アレクサンデル・エクダール(バッティル・ギューヴェ)。物語に憧れる彼は、ベルイマン自身を投影しているのだろう。その父オスカル・エクダール(アラン・エドヴァル)のはとてもおおらかでやさしい人柄であり、俳優でもあり劇場主でもあった。この父親はベルイマンのそれとはまったく正反対のものだった。

二月上演の『ハムレット』を劇場でリハーサルしていたオスカルは、過労のため突然倒れ、死んでしまう。ヴェルゲルス主教(ヤン・マルムシェー)の手で盛大に葬儀が行なわれた。それから1年、アレクサンデルは、母エミリー(エヴァ・フレーリング)がヴェルゲルス主教と再婚することきかされる。妹ファニー(ペルニラ・アルヴィーン)と共にエクダールの家を去り、主教館に移るアレクサンデル。エミリーと子供たちは、この主教館をつつむ暗い空気に驚く。さらに華美に生活することを恐れる主教は、彼女たちに質素な生活と精神生活を強いた。ヴェルゲルス主教こそがベルイマンの父親のイメージなのだろう。宗教の教えをかさにきて強圧的に総てを圧迫支配する人物像。それは総てのベルイマン作品に登場する、ベルイマンが戦うべき相手なのだ。
翌年、別荘でくつろぐ親族のもとにエミリーが訪れ、結婚は失敗だった、離婚したいが夫が許さないと、苦悩を訴えた。アレクサンデルとファニーは屋根裏部屋にとじ込められ、エミリーの世俗社会への復帰を許さない人質となっていた。親族の協力を得て、子供たちは脱出させるエミリー。ここはもうサスペンス映画モードになっていた。子供たちに去られ、離婚をほのめかされた主教はエミリーに心情を吐露する。理性に生きた男があふれだす感情をコントロールできなくなっている。彼女は主教の飲物に睡眠薬を入れ、彼は眠りに陥った。その頃、叔母の部屋のランプが倒れ、館は火に包まれた。主教も焼死する。

by ssm2438 | 2008-11-04 05:00 | I ・ベルイマン(1918)


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