西澤 晋 の 映画日記

ssm2438.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2009年 12月 05日

めぐり逢えたら(1993) ☆☆☆☆

f0009381_10352960.jpg監督:ノーラ・エフロン
脚本:ノーラ・エフロン、デヴィッド・S・ウォード
撮影:スヴェン・ニクヴィスト
音楽:マーク・シェイマン

出演:トム・ハンクス、メグ・ライアン

        *        *        *

ビリー・ワイルダー亡きあとのルビッチ・イズム継承者といえばノーラ・エフロン。そのノーラ・エフロンが、のちに恋愛映画のゴールデンコンビになるメグ・ライアントム・ハンクスを召喚し自ら監督をこなしたのがこの映画。
個人的にはノーラ・エフロンはシナリオだけやって、監督は他のひとに任せたほうがいいと思うだけど、というか、どうしても自分のシナリオ作品を自分でやってしまうと、自分の本を大事にしすぎて本来の自然なドラマのながれを壊しかねない。この作品は成功しているのはデヴィッド・S・ウォードが書いたシナリオをノーラ・エフロンがいじくって完成させているからで、ほかの作品と見ると、どうしても大事に撮りすぎてもたついてる感がいなめない。最近の二コール・キッドマンで撮った『奥様は魔女』なんかはかなり悲惨だった。

しかし、この映画、あふれんばかりのノーラ・エフロンのこ洒落た台詞回しが堪能できる。始まって15分くらいから始まるトム・ハンクスとラジオのパーソナリティの会話はすばらしい。メグ・ライアンは夜の道路を運転しながら聞いているだけ。実はこの台詞もシナリオとは変えてある。もとのシナリオよりもはるかにこちらのほうが染み込むんだ、さすがノーラ・エフロン。

        *        *        *

Dr. マルシア(ラジオから流れる声)
「誰かを心から愛した事のある人は、
 また他の誰かをそれ以上に愛せるはずよ。
 死んでしまった奥さんと同じくらい愛せる誰かはいないの?」

サム(ラジオから流れる声)
「Dr. マルシア・・、それはちょっと考えづらいな・・」

Dr. マルシア(ラジオから流れる声)
「じゃあ、これからどうするの?」

サム(ラジオから流れる声)
「うむむ・・毎朝起きてベッドから出る。
 息を吸って、息を吐いて・・、それを一日中つづける。
 そのうち、別に意識しなくても、毎朝起きて、
 ベッドから出られるようになる。息を吸ったり、
 はいたりしてることも忘れるようになる。
 そんなことをしているとそのうち、
 彼女と一緒にいた時間がどれだけ素晴らしくて、
 美しかったかなんてことを考えることもななくなるだろう・・、そのうちに・・」

Dr. マルシア(ラジオから流れる声)
「サム・・・、奥さんは何がそんなに特別だったの?」

サム(ラジオから流れる声)
「うむむ・・・この番組はあと何時間やっているのかな? 
 ・・・・そうだね、それは無数にあるたわいもないことさ・・、
 それを全部観ていたら、僕らは一緒になるべきだったもの同士だって分るよ・・。
 でもボクはそれを知っていたのさ。最初に触れたときから。
 ・・・それはまるで、自分の家に帰ったみたいだった。
 ただし・・、それは昔知っていた自分のうちじゃないんだけどね・・。
 それはまさに・・、車から出る時、彼女の手をとったあの瞬間・・・・。
 そのとき分ったんだ」

Dr. マルシア(ラジオから流れる声)
「・・・・」

サム(ラジオから流れる声)
「それはまるで・・・」

アニー
「・・魔法みたいに」

サム(ラジオから流れる声)
「・・魔法みたいに・・・」

        *        *        *

さらにこの映画に付け加えるなら、撮影監督はなんと北欧の巨匠スヴェン・ニクヴィストだ! このひとベルイマンの映画ではよく撮影監督をやる人だが、この人をつれてきたプロデューサーは偉いなあ。とはいえ、アメリカでもけっこう仕事はしている人なので、特筆すべきことではないのかもしれないが、でもスヴェン・ニクヴィストが撮ってくれるというのはすごいことだ。

by ssm2438 | 2009-12-05 09:39 | ノーラ・エフロン(1941)


<< バックマン家の人々(1989)...      街角/桃色の店(1940) ☆☆☆ >>