西澤 晋 の 映画日記

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2010年 01月 17日

ジュリア(1977) ☆☆☆☆☆

f0009381_029230.jpg監督:フレッド・ジンネマン
原作:リリアン・ヘルマン
脚本:アルヴィン・サージェント
撮影:ダグラス・スローカム
音楽:ジョルジュ・ドルリュー

出演:
ジェーン・フォンダ (リリアン・ヘルマン)
ヴァネッサ・レッドグレーヴ (ジュリア)
ジェイソン・ロバーズ (ダシール・ハメット)

        *        *        *

私の好きな面子がそろっております。監督フレッド・ジンネマン、音楽ジョルジュ・ドルリュー、脚本アルヴィン・サージェント。これだけそろえばハズレが出来るわけはない!

フレッド・ジンネマンといえば、常に信念を貫く人物を描きつづけてきた。環境からの圧迫や妥協のささやきにはめもくれず、ひたすら自らの信念を貫き通す、そんな主人公ばかり描いている。この映画においてもジェーン・フォンダ演じるリリアン・ヘルマンは、ジュリアに対する裏切れない信頼のために、圧倒的な恐怖のなかにとびこんでいく。とくに後半からの後半からのドイツへの列車の旅の圧迫感はすさまじい。あまりに重苦しい雰囲気なのでおもわずテープ(当時VHS)を止めようと思ったことがどれだけあったことか・・。あの圧迫感こそフレッド・ジンネマンの真骨頂であり、それを信念で突き抜けてしまう登場人物の頑固さがすさまじいものだ。
フレッド・ジンネマンは、1953年の『地上より永遠に』と1966年の『わが命つきるとも』でアカデミー監督賞を受賞している。

本作の主人公、リリアン・ヘルマン(1905年6月20日 - 1984年6月30日)は、アメリカ合衆国の戯曲作家であり、人生の大半の期間、左翼思想との関係を維持してきた。また私生活では、ミステリー作家・ハードボイルド作家であったダシール・ハメットと30年ものあいだ恋人関係を保っていた。ダシール・ハメットは米国共産党員であり、赤狩り時代、そのことを掴んでいた非米活動調査委員会はヘルマンを召喚して共産党加入者の友人の名前を尋ねられるが、これを拒否、長期にわたってハリウッドの映画産業界のブラックリストに掲載されることとなっていた。

<あらすじ>
f0009381_0351549.jpgジュリアは、金持ちの上流家庭に生まれた美しい娘であったが、特に金持ちの祖父母を嫌っていた。早くから文学や詩に親しんでいたジュリアは、ひっこみがちなリリアンをリードし、年頃になった2人の友情と愛情は深まっていった。オックスフォード大学に入ったジュリア(バネッサ・レッドグレープ)は、その後ウィーンへ行き、フロイトから教えを受けることになったが、ここで反ナチの地下運動に関係することになる。
パリに旅行したリリアン(ジェーン・フォンダ)は、ウィーンで起こった暴動で200名の人が殺されたという新聞記事を読みウィーンに行く。ジュリアは入院していて全身包帯で巻かれており、ベッドに横たわったまま言葉を交わすことも無かった。翌日ふたたびジュリアのもとを訪れるリリアンだったが、ジュリアは既にいなくなっていた。
35年、アメリカに帰ったリリアンは、舞台劇を書きそれが大ヒットする。
37年、モスクワの演劇フェスティバルに招かれたリリアンは、途中のパリでヨハン(マクシミリアン・シェル)という若い男に、ベルリンにいるジュリアに5万ドルの金を届けることを頼まれる。

ここからの見えない恐怖の圧迫感は並大抵ではない。目には見えないが水面下に存在するナチの恐怖がおそりしいまでに演出されている。かつてこれほどまでの環境の圧迫感を感じさせた映画があっただろうか・・。

リリアンは、空路モスクワへ行く予定を変更、ドイツのベルリン経由の列車でいくことにする。フランスからドイツへ行く列車の旅はひどく不安なものだった。見る人総てがナチの手先にみえる。同じコンパートメントに乗り合わせた2人の女はジュリアの仲間らしいが、それ自体を口にすることはない。恐怖が想像のなかで恐ろしいまでに増幅されていく。なんとか無事にベルリンに着き、そこで再会したジュリアは義足をつけ松葉杖に頼る身となっていた。ウィーンでのあの病人は確かにジュリアだったのだ。毛皮の帽子にかくされた5万ドルの金を渡すリリアン。ふたりで一緒にいられる時間はほとんどないが、ジュリアには女児があり、フランスのアルザスのパン屋に預けてあるという。いずれニューヨークへ帰るが、その時子供も連れていき、以後リリアンに育ててもらいたいと言った。
しかしジュリアはナチに殺される。リリアンは、子供をひきとりにアルザスにいき、パン屋をかたっぱしからたずねあるく。結局子供はみつからず(映画の中では、もしかしたらここにいるので・・は臭わせてある)、一人でダシール・ハメット(ジェイソン・ロバーズ)の待つアメリカにのもとに帰るのだった。

by ssm2438 | 2010-01-17 00:09 | フレッド・ジンネマン(1907)


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