西澤 晋 の 映画日記

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2010年 01月 19日

エンジェル・アイズ(2001) ☆☆☆

f0009381_19485484.jpg監督:ルイス・マンドーキ
脚本:ジェラルド・ディペゴ
撮影:ピョートル・ソボチンスキー
音楽:マルコ・ベルトラミ

出演:
ジェニファー・ロペス (シャロン)
ジム・カヴィーゼル (キャッチ)

        *        *        *

個人的にジェニファー・ロペスはあまり好みではないのだけど、『アンフィニッシュ・ライフ』といいこの映画といい、いい感じで描かれている。大昔『ザ・セル』を見たときは、もうジェニファー・ロペスはいいやって思ったものだが、いい役をこなすようになってきましたな。
監督は『男が女を愛する時』、『メッセージ・イン・ア・ボトル』などのルイス・マンドーキ。『男が女を愛する時』はあんまりよくなかった・・。『メッセージ・イン・ア・ボトル』はまともに全部みたことがないのでちょっとコメントできないが、どちらかというとちょっと苦手なタイプかなって思っていたが、シーンごとに「あ、これわかる、わかる」がけっこうちりばめられているのです。もしかしたら脚本のジェラルド・ディペゴの力かもしれない。これはもうちょっと二人の作品をみてみたないとなんともいえないので今後の宿題ということに・・。

この物語には二人の孤独な男と女がでてきます。
1年前、交通事故で妻と子供を亡くしたキャッチ(ジム・カヴィーゼル)は、まだその現実が受け入れられない状態で、心のリハビリ中。仕事につくこともなく保険金ですごしている。そんな彼が街角のレストランの中に、みたことのあるような婦人警官を発見する。彼女こそ、事故のときに自分の手を握り、意識がもうろうとする自分にずっと声をかけ続けてくれた人(ただ、この時点では、それが彼女とはわからず、でも、どこかでみたことのあるような、親近感を覚える人・・くらいの感じだったんだろう)。彼女はシャロンという名だった。彼女といることで、すこしづつ人間味をとりもどしていくキャッチ。しかし、彼は彼女になかなか自分の本名も、過去も話そうとはしない。

シャロン(ジェニファー・ロペス)は、物事を正論で処理しようとするタイプ。一見理想主義者ですが、正論を論じ、正論のように行動しておけば、ホントの自分を表現する必要がないからで、これは自分をさらけ出すのが怖いからで、自己防衛本能が強すぎるのでしょう。子供の頃、父が母に暴力をふるうのを見て育ち、そのたびに兄が間にはいって殴られていたのを見て育ってきた女の子。それが成人し警官になり、そんな母に対して暴力をふるう父を逮捕してからというもの、家族間はギクシャク。母はそういう父の一面も含めて、共に生きる夫として認めているのであり、正論だけをふりかざすシャロンは、家族(父だけでなく、母や兄もふくめて)からも孤立していた。

そんな彼女にとって、キャッチは、得たいの知れないところは不安だが、心が休まる穏やかさをもっていた。自分の住所も教えてくれないキャッチをつけて彼のアパートにおしかけるシャロン。そこは殺風景でほとんど生活の臭いがしない部屋。台所の引き出しにはフィギュアが詰まっている(・・・怪しいオタク?)。
のにちキャッチがスティーブという男性で、1年前の交通事故の被害者であることがわかる。しかしここでもシャロンは正論をふりかざし、「現実を見つめない」とダメとキャッチを、妻と子供が眠る墓地に連れて行こうとするが、彼にとってはまだその心の準備は出来ていない。無理強いするシャロンを突き放してさっていってしまう。

一方シャロンの母は父と誓約の更新(銀婚式のようなもの?)なる儀式をするとうが、その式に招待されても本気では祝福できる気持ちにはなれないシャロン。式のあとのホームパーティでも、「今日は言い争わないで」と制する母をふりきって父に問いただす、「私はほんとにパパから愛されているのか? ほんとに招かれているか? 私がここにいてパパは嬉しいのか?」と。
父は冷たくこたえる、「私は、娘はいないものだと思っている・・・」。
怒涛のむなしさに襲われるシャロン。

そのころキャッチは、妻と息子の墓標のまえにたたずんでいた。大事にとっていた息子の玩具は、同じアパートにすむ男の子のすむ部屋のドアのまえに置かれていた。

・・・これ痛いね。男にとって思い出の品を処分するというのは、あまりにも心に痛いこと。男ってコレクタースピリット多かれ少なかれもってるので、愛したしんだものってのを捨てられないんだよね。ただ、こういう思い出を未来にために裏切る映画ってのはどうも好きで・・・、これやられるとけっこう泣けちゃうんだよね。

シャロンはパーティの模様を記録している親戚の誰かのカメラで、父と過ごした楽しかった思い出のシーンを語る。階段でその言葉をきいている父もやや感動ふう。パーティを飛び出す時ちらっとシャロンと父は目をあわすが・・・たぶん伝わったのだろう。ささやかな今後の希望をのこしつつも、でもそこは無言でわかれていく。
表に出てみると、キャッチがすべてをふっきったような穏やかな顔でまっている・・・。


いやああ、多少のまどろっこしさはあるのだけど、なかなか染み込む映画でした。

by ssm2438 | 2010-01-19 19:50


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