西澤 晋 の 映画日記

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2010年 01月 29日

ナチュラル(1984) ☆☆☆☆

f0009381_4164474.jpg監督:バリー・レヴィンソン
脚本:ロジャー・タウン/フィル・ダッセンベリー
撮影:キャレブ・デシャネル
音楽:ランディ・ニューマン

出演:
ロバート・レッドフォード (ロイ・ハブス)
グレン・クローズ (アイリス)
キム・ベイシンガー (メモ・パリス)
ロバート・デュヴァル (スポーツ記者)
バーバラ・ハーシー (女殺人者ハリエット)

        *        *        *

「あげまん女」と「さげまん女」の話・・・かな(苦笑)?
どこまでがファンタジーで何処までがマジなのか実にわかりづらい作品。

はじめてこの映画を見たときは・・・・ん????ってとことが多かった。これはなに? どこの時間軸の話? アレはなぜ? 何で撃たれたの? ・・・??????????って。どこまでが偶然で、どこが意図的なものか実にはっきりしないのだ。そして野球賭博をしているオーナー連中の実態、この利益の構図もわからない。とにかくいろんなことが重なってこの映画をわかりづらくしている。いつかその謎を解こうとおもっていたが、一念発起してこの映画をふたたび見ることにした。・・・で長年の謎がとけた。というわけで、今回は謎解きレビュー。

◇謎の女ハリエット
そもそもロバート・レッドフォードバーバラ・ハーシーに撃たれるのか?
これはどうも<偶然>と考えるのが正しいだろう。宗教上かなにかの理由で著名な運動選手を標的にする連続殺人者、それがハリエット(バーバラ・ハーシー)。シカゴ・カブスのトライアウトを受ける為に、スカウトマンのサムと共にシカゴに向う途中、某有名スラッガーに難癖をつけられ3球勝負し見事に三振に取るのだが、その場に居合わせたハリエットが、「このスポーツ選手は髪から与えられた力を金儲けのために使おうとしている」と思ったのだかどうだか知らないが、シカゴに着いたハブスをホテルに呼び寄せ撃ってしまう。実はそのあと彼女も自殺する。たぶんこれは罪悪感のためだろう。
そしてここでさらに分りづらくするのがロバート・レッドフォードが、二十歳前のハブスも演じているので時間軸が分りづらい。本編のなかではどうみても高校出たての若者には見えない。・・が、ここまでは二十歳まえ話である。

◇八百長試合。オーナーとの会話の不可解さ
これは野球賭博をしているオーナーが、自分のチームが負けるほうにかけるようとするのだが、ハブスが打って勝ってしまう。そういうわけで「おまえ打つなよ。そしたらもっと給料あげるんだけどなあ」って誘ってるわけだ。
知る人ぞ知るシカゴホワイトソックスの八百長事件。テッド・ウィリアムスシューレス・ジョーがそれで野球界を追放になったあの事件。『エイトメン・アウト』『フィールド・オブ・ドリームス』でのこの事件には触れている。こういうことが当時の野球界ではおこなわれていたんだなということが今頃分った。そしてそれがわかってやと、この映画の意味や、オーナーサイドの行動の動機が分ってきた。この映画をみた当時もぼやっとはわかっていた感じはしても、明確にはわかっていなかっただろう。そのせいで、この映画自体がもうひとつ把握しづらい映画として長い間記憶に残っていた。

◇キム・ベイシンガーの働き
金でおちないハブスと付き合い、色仕掛けで調子をおとさせる女。・・と解釈すればよいのだろう。彼女と付き合いだして著しく調子を落とすのでどういうわけか理解できないのだが、ストーリーの流れとしてはそういうことなのだろう。このへんの描写があまりに漫画的なので、これまたストーリーを把握しづらくしている。だいたい女と付き合ったくらいで調子を落とすわけがない。これを説得力あるものにするなら、試合のまえまで散々“H”をしまくって寝かせないとか、浴びるほど酔わせるとか・・、具体的なスランプの理由がほしかった。
おまけにもと恋人のグレン・クローズに出会っただけでいきなり復活するからまたここに根拠がない。形式的なストーリーラインだけで話をみせていくからファンタジーなのか???って勘違いしてしまうが、どうやらファンタジーとしては作ってないらしい。

◇おなかが痛くなる理由
たぶんキム・ベイシンガーがパーティの席上で最後にもってきた何か(カキかなんか?)に胃を壊す薬物が入っていたのだろう。あれは偶然というより故意の出来事だと思う。


そんなこんなで、本筋をきちんと演出できてないこの映画であり、どこまでファンタジーで何処までマジなのか分らない。なのでどこまで本気で感動していいのか分らない作品。しかしそこそこ感動するようには作られている。こんな映画をむりやり美しく、かつドラマチックにもりあげてくれたのがキャレブ・デシャネルの画面は。素晴らしすぎる! この人の絵のおかげでこの映画の質がはるかに向上したのは言うまでもない。

by ssm2438 | 2010-01-29 04:17 | C・デシャネル(1944)


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