監督:サミュエル・フラー
脚本:サミュエル・フラー/カーティス・ハンソン
撮影:ブルース・サーティース
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:クリスティ・マクニコル
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知る人ぞ知る隠れて名作(?)。ホワイトドックというのは、白人至上主義者が黒人を襲わせるために育てた攻撃犬。子供の頃から黒人に対する悪意を植え付けるために、黒人にお金をはらい、その子犬を散々いじめたおす。そうして育てたれ犬は、知らず知らずのうちに黒人と見ると憎しみをぶつけるようになるという・・。
監督は
サミュエル・フラー、脚本はフラーと一緒に
カーティス・ハンソンが書いているという、何かあってもおかしくないラインアップである。
サムミュエル・フラーは、アメリカではB級映画監督と見なされていたが(実際そうだと思うが)、ヨーロッパ、特にフランスなどでは高く評価された監督さん。
ジャン=リュック・ゴダール監督の作品
『気狂いピエロ』に出演、その中で<インタビューされるサミュエルフラー>といいうシーンがあり、そのシーンのなかで、「映画とは何か?」との質問に「映画とは、戦場のようなものだ。愛、憎しみ、アクション、暴力、そして死。要するに、エモーションだ」と答えたこという。ありきたりすぎて詰まらない。
ちなみにこの映画、制作されたのは80年代の初めだったが、二本公開はそれから10年もたった90年だった。渋谷の映画館で単館上映されていて、しかたがないので、わざわざ渋谷まで見に行ってしまった。
<あらすじ>
新人女優のジュリー(
クリスティ・マクニコル)は帰宅途中に白いシェパードを車で轢いてしまう。近くの獣医に連れていき、持ち主が分るまで自宅で世話をすることにする。
日ごろおとなしい犬だが、仕事現場にその犬を連れていくと、共演相手の黒人女優に襲いかかる。その頃から、よなよな黒人が襲われる事件がおきる。帰ってきたその犬の口の周りには赤黒い血がついていた。そうこうしていると飼い主が名乗り出てくる。やさしい叔父さんであった。しかし、かれが人種差別主義者であり、この犬をホワイトドッグに仕立て上げたとわかると、ジュリーは返却を拒否、犬の調教師のところに預けるのだった。
黒人の調教師のキーズ(
ポール・ウィンフィールド)は、かつてホワイト・ドッグの調教を試みたことがあったが、その矯正に成功したことは一度もない。しかし、かれはこのホワイドッグの魂の矯正に挑戦していく。