西澤 晋 の 映画日記

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2010年 02月 17日

過去のない男(2002) ☆☆

f0009381_213352.jpg監督:アキ・カウリスマキ
製作:アキ・カウリスマキ
脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン

出演:
マルック・ペルトラ (過去のない男)
カティ・オウティネン (イルマ)

        *        *        *

つまらないけど、ついつい見てしまう映画

2002年のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた作品。同年のカンヌでは審査員特別グランプを取っている。・・・が、まあ、普通の映画。過大評価されすぎ感は否めないが、嫌いになれないある種のさわやかさがある。それがアキ・カウリスマキの特徴だろう。
メインの登場人物の誰もが50代以上のおじさん・おばさんで、そういう意味ではまったく華やかさがない映画、なおかつ、かっこたる求心力のある話ではないので、話がどこへ向かっているのかわからないのだけど、そのシーン、そのシーンの見せ方がそれなりに味わいがあり、意外と飽きさせずに魅せてしまう。

小津安二郎に少なからず影響を受けており、日本文化も登場する。たぶんこの映画の舞台は1960年代だと思われるが、食堂車で60年代の日本の曲がBGMに流れ主人公が日本酒をわきに日本食を食べるシーンがある。フィンランドでも日本の文化が存在しているんだって判るとちょっと嬉しい。妙なところで日本人たる自分を感じた。

主人公が出会う女性イルマは救世軍に所属している。
救世軍というのは世界111の国と地域で伝道事業(=宗教活動)、社会福祉事業、教育事業、医療事業を推進するキリスト教(プロテスタント)の教派団体であり、福祉団体ではあるが組織構成は軍隊を模した構造であり、制服はイギリス軍の軍服を模したデザインであり、かつては詰襟だったが現在はブレザーに近いものとなっている。士官は原則として常時着用義務がある。下士官・兵士については以前は士官と同じく常時着用義務があったが、現在は大会や伝道集会などを除いては「推奨」にとどめ、普段着での集会参加を容認している(ウィキペディアより)。
おおおお、勉強になるなあ

<あらすじ>
ヘルシンキに流れ着いた一人の溶接工(マルッキィ・ペルトラ)は暴漢に襲われお金も身分証も取られてしまる。おまけに頭部をつよくなぐられたおかげで過去の記憶もうしなってしまう。病院に担ぎ込まれるが、一時は心臓停止状態になる。しかし、死亡を確認した医者が退場し、ついていた看護婦もすこしおくれて退場すると突如がばっとおきあがり、包帯でまかれたしたのねじれた鼻をもとに戻して、出て行ってしまう。
それのギャグがほんとうに必要なのかどうか・・まったく理解できない演出だった(苦笑)。
さらに、出て行ったはいいが、また道端で倒れていて、通りすがりに男が靴を奪っていく。ま、一応自分のはいていたスニーカーを変わりにはかせてやるのだから、交換というほうが正しいかもしれないが・・・。

結局通りすがりの子供たちにがみつけ、うちに帰ってそのことを両親に報告、しばしの間その家で厄介になる。家といってもコンテナなのだけど。当時のフィンランドは社会主義体制にあり、人々の生活に活力はないが、最低限の貧乏暮らしのなかで配給制度はなんとか維持されている。
なんとか体がまともに動くくらいまで回復した彼は社会福祉活動をしている救世軍の女性イルマ(カティ・オウティネン)に出会う。近所でいなくなった誰かのコンテナが空いたとかで、そこに住み着く。名前もわからない彼はなかなか職につくこともままらなず、結局救世軍に雇われることになる。正式な職探しのために救世軍はブレザーとシャツも無償で貸し付けてくれた。すこしづつイルマと一緒にいる時間も増え行動的になっていく。本来の溶接工の仕事も出来ることになり、給料の振込むための口座をひらくことになり銀行へ行くが、銀行強盗に出くわし、新聞記事に載ってしまう。
その写真をみて妻から連絡があり、やっと自分の身元がわかる。過去が判明した男は、イルマとの別れを惜しみつつも、地元に帰るため列車に乗り我が家へと帰ってみた。しかし、どうも自分は妻との仲はあまりよくなかったらしく、離婚することになっていたらしい。すでに手続きは終了していたが、ヘルシンキに出てまま連絡が取れなずそのまま放置されていたという。そして彼女には男もできていた。さして激しい感情もおきず、たんたんとした別れが成立、妻を新しい男に託して再びイルマのもとにもどるのであった。

この映画のよさは、虚栄心のない登場人物だろう。ゆえに総ての登場人物にいやらしさがなく、見ていて嫌な想いをすることがない。目的意識がきわめて乏しい映画なので、高揚感はあんまりないが、みてて悪い気はしない映画だった。

by ssm2438 | 2010-02-17 21:04


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