西澤 晋 の 映画日記

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2010年 02月 19日

プラダを着た悪魔(2006) ☆☆☆

f0009381_541624.jpg監督:デヴィッド・フランケル
脚本:アライン・ブロッシュ・マッケンナ
撮影:フロリアン・バルハウス
音楽:セオドア・シャピロ

出演:
アン・ハサウェイ (アンドレア・サックス)
メリル・ストリープ (ミランダ・プリーストリー)
エミリー・ブラント(エミリー)
スタンリー・トゥッチ (ナイジェル)

        *        *        *

スタンリー・トゥッチの説教とアン・ハサウェイのファッション・ショー

キャリアウーマンのサクセス物といえば、一昔前なら『ワーキング・ガール』なのかもしれいなが、今の時代はこれ、『プラダを着た悪魔』。もっとも、この映画の最後ではやっぱりやめて当初からの志望だったジャーナリズムに進むのだけど、これはこれでよいかな。
「ファッションなんて所詮は外観をかざるも。大切なのは内面だ」と私を含めたオヤジどもは思うだろうが、そこには絶えず変化する需要がある以上、競争力も激しい世界があり、それを提供する側にはその需要競争のなかで至上に受け入れられるものを提供していかなければならない。ファッション界とは人と同じなのも嫌、でも人と違いすぎるのも嫌・・という虚栄心と協調性のはざまで揺れ動く世界。そんな世界で絶えず一級品を提示していくひとたちの世界にはいりこんだ、普通の女の子の物語。

面接の日、普通におしゃれして行ったつもりが「ださい」と言われ、その世界に反感をもつアンディ(アン・ハサウェイ)。プロの目から見た凡人のお洒落は、本人が思ってる範囲の一番よさげなものを提示したとしても、大したものではないことは良くあることだ。そして見下されたものが、プロにたちに対しては反感をもつことも良くあることだ。彼女もそんな感じでそこの仕事に着いたのだが、徐々にプロの仕事振りをみせれられていく。

そしてこの映画の最大のポイントがやってくる。ファッション界のカリスマ・コーディネイター、ミランダ(メリル・ストリープ)に「失望したわ」と言われたアンディが半べそかきナイジェル(スタンリー・トゥッチ)のところへ行き「私は一生懸命努力しているのに認められない」と嘆く。しかしナイジェルは、「いや、君は努力していない」と言ってのける。それまでのアンディのしていたことは、ミランダの言葉を自分の解釈の一番都合のいい部分で解釈し、それを実践していただけで、上司の意図を汲み取り、上司の望むものを提示していたわけではない。ミランダを理解する気すらなかったのだ。
そのときからアンディが変わる。ミランダの言葉をただ実行するのではなく、その言葉の向こうにあるミランダの欲求を汲み取りそれを実行する、「ホントの秘書」としての仕事をし始める。服もナイジェルに見立ててもらい、プロとしてのとりあえず最初のうちは<見てくれ>だけでも取り入れていく。そこには働く人たちのプロとしてのソウルを受け入れる。
そのあとのアン・ハサウェイのファンション・ショーは実に心地のいいものだった。一連の動きのなかで、手間をささっと何かがよぎると別の衣装になっている。テンポよく次から次へと服装が変わっていく。個人的にはこういう演出はあまり好きではないが、それでも見ていて快適な気分になれる演出だった。

最後のエンディングにはいろいろ意見があるようだが、まあ、あれはあれで悪くはないかなと思う。あそこで一旦流れをきって、アンディは当初の志望どおりジャーナリズムの道へ向かわせないと、ミランダからの「一番認めていたのはアンディだった」という趣旨のメッセージを入れられそうにない。あのままの仕事してたら一生いわなさそうだしね・・(苦笑)。
しかし確かに、古き男は捨てて、同僚の秘書も乗り越えて、自分の新たな可能性を見出していくのもよかったかもって思ったりもするが・・。でも、これをするにはもう少し時間がいるのかもしれないなあ。いや・・出来るか・・。伝家の宝刀「そして3年後・・」って技もある。

・・・そして3年後、
アンディはミランダの引退した後コーディネーターのチーフになっていく。そのパーティの席上で、元彼氏に「当時は君が離れていったことは悲しかったが、今の成功が総てを物語っている。君はここに来るべきひとだったんだ」とかなんとか言わせて、華やかなパーティの途中で乗り越えられた第一秘書さんにプスっと背中から刺されるとか・・(苦笑)。『振り返れば奴がいる』パターンだね。
反対に第一秘書さんが「悔しいけど、あなたの才能は私たちを踏み台にして登りつめるに値するものだったわ」といって大団円にするか・・・。

ただ・・・こうしてしまうと、どうしても他人の価値観で成し遂げた勝利みたいでちょっと嫌かもね。はじめが「ジャーナリスト志望」で、腰掛的にはいったファッション業界って設定だったのだから、どんなにそこで認められても、自分の価値観が大事・・というは基本原則だし・・、<一番大切なもののために、二番目を捨てさせる>というのはシナリオ構成の基本テクだし、このエンディングで良かったのだろうな・・多分。

by ssm2438 | 2010-02-19 05:41


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