西澤 晋 の 映画日記

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2010年 02月 24日

背徳の囁き(1989) ☆☆☆

f0009381_931854.jpg監督:マイク・フィギス
脚本:ヘンリー・ビーン
撮影:ジョン・A・アロンゾ
音楽:マイク・フィギス/他

出演:
リチャード・ギア (デニス・ペック巡査)
アンディ・ガルシア (レイモンド・アヴィラ捜査官)
ローリー・メトカーフ (エイミー・ウォーレス捜査官)
ナンシー・トラヴィス (レイモンドの妻・キャスリーン)
ウィリアム・ボールドウィン (ヴァン・ストレッチ)
フェイ・グラント (ヴァン・ストレッチの妻ペニー)

        *        *        *

善悪を語る映画ではない!

ビデオ発売時のタイトルは『インターナル・アフェア/背徳の囁き』。原題がインターナル・アフェアーズ(=内務調査)。

この映画が公開された当時は、リチャード・ギアが悪玉をやったということでさりげなく取りだたされていたが、私の見たところ別に悪役をやっているわけではない。対するアンディ・ガルシアが善玉をやっているわけでもない。ただ、この二人には共通点があって、どちらも同じくらい非道なキャラなのだ。この映画では、どちらもが人の弱みにつけこん、自らの目的を果たしていく。

アンディ・ガルシアは、人の<理性>をマニュピレートするのが上手い非情な内務捜査官。捜査対象相手に、「お前はこうすべき人間だろう、もしそれが出来なかったら、お前は首になるぞ。女房子供も郎党に迷うぞ。年金もパーだぞ。そうなりたくなかったら誰がやってるのか言え」みたいに、その捜査対象人物が、社会に所属しているが故の責任や義務、そしてパニッシュメントをちらつかせて情報を引き出していく。彼にかかれば、その相手は、しゃべっても破滅、しゃべらなくても破滅・・である。
一方のリチャード・ギアは、人の<欲望>をマニュピレートするのが上手い悪徳警官。こちらは人の根本的な欲望、「お金が欲しい」とか「女が欲しい」「安定が欲しい」という、そういった欲望をちらつかせて人々をマニュピレートし、自らも私腹を肥やしている。ゆえに、アンディ・ガルシアと違って、こちらは他の警官仲間からも信頼が厚い。アンディ・ガルシアの場合は、正論を強請してくるので、周りからは嫌われている。
そんな仲間からの人望も厚いリチャード・ギアと分らず屋の内務捜査官アンディ・ガルシアの対決がこの映画の醍醐味となる。このキャラクターの描き別けのポイントが把握できなければ、この映画はただの警察内部の腐敗に挑む正義感の強いアンディ・ガルシア主演の刑事ドラマってことになってしまう。要注意!

監督は、『リービング・ラスベガス』でガツンな映画を一発撮ってくれたマイク・フィッギス。ただ、ほかの作品は特にすごいものがあるわけではない(苦笑)。イギリスのミュージシャンでもある彼は、音楽も同時にこなすことが多い。ただ、不思議なもので、音楽も自分で書く映画監督さんって、不思議とまったく印象のない音楽をつくる(苦笑)。自分が書けたたとしても、音楽は別の人に任せたほうが不思議といいものになる気がするのだが・・・。
あと、撮影はジョン・A・アロンゾ『未来警察』『ブルーサンダー』など、サスペンス系もしっかりとしたメリハリ画面つくってくれるし、『チャイナタウン』のようにシックな色合いも出せる。個人的には大好きな撮影監督の一人。

<あらすじ>
ロサンゼルス市警では、麻薬販売にも通じているデニス・ペック(リチャード・ギア)という警官を中心に腐敗が進行していた。しかし彼は仲間からは信頼が厚く、なかなか尻尾をださない。内務捜査班レイモンド・アヴィラ捜査官(アンディ・ガルシア)とエイミー・ウォーレス捜査官(ローリー・メトカーフ)は、そロス市警の内務調査を依頼され、手始めにレイモンドの警察大学時代の友人ヴァン・ストレッチ(ウィリアム・ボールドウィン)の調査にかかった。彼は麻薬依存症にかかっていた。そして彼の妻ペニー(フェイ・グラント)もデニスの毒牙にかかり彼と情事を重ねるようになっていた。浪費家のヴァンの金の出所は、デニス・ペックの斡旋するアルバイトによって得ていることをつきとめた。レイモンドは、「誰が関与しているのかを話せば、懲戒免職の勧告は取り下げる」と伝える。しかしヴァンはそれを断わったが、そのことを知ったデニス・ペックは、レイモンドが守りたい者=妻キャスリーン(ナンシー・トラヴィス)をさりげなく恐怖させ、レイモンドをけん制する。
ある夜、パトロール中にヴァンが射殺された。レイモンドは犯人を捕まえ、デニスに頼まれてヴァンを殺したことを聞き出すが、その男も警察の狙撃隊に殺された。さらにデニスは、レイモンドに彼の妻キャスリーンと浮気したことをほのめかし、レイモンドの心をかき乱す・・。こうして、人の感情をマニュピレートするリチャード・ギアと、人の理性をマニュピレートするアンディ・ガルシアの戦いは激化していく・・。

蛇足ながら、キャスティングでちょっと気になるのがフェイ・グラントだろう。この映画に出る前『V(ビジター)』という宇宙人の地球侵略に対抗するテレビシリーズが作られて大ヒットし、その続編『V2』も作られたが、その地球側のレジスタンスのリーダーをやっていたのが彼女。敵の宇宙人に捕らえられて服を脱がされ(残念ながら白いボディスーツは着たまま)精神的な拷問を受ける、個人的にはとてもわくわくさせてもらった。そんな彼女がこの映画ではヌードもちらりと披露してくれている。『V(ビジター)』を見ていて、彼女のファンだったという人には必見の映画だろう。
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by ssm2438 | 2010-02-24 09:06


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