西澤 晋 の 映画日記

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2010年 03月 08日

夏の夜は三たび微笑む(1955) ☆☆☆

f0009381_16385552.jpg監督:イングマール・ベルイマン
脚本:イングマール・ベルイマン
撮影:グンナール・フィッシェル
音楽:エリック・ノードグレーン

出演:
グンナール・ビョルンストランド (フレデリック・エーゲルマン)
エヴァ・ダールベック (フレデリックの元愛人・デジレ)
ウーラ・ヤコブソン (フレデリックの新妻・アン)
ビルギッタ・ヴァルベルイ (フレデリックの息子)
ハリエット・アンデルセン (メイドのペトラ)
ヤール・キューレ (マルコム伯爵)
マルギット・カールキスト (マルコムの妻・シャーロッテ)

        *        *        *

『秋のソナタ』や『ファニーとアレクサンデル』などをてがけたスウェーデンの巨匠イングマル・ベルイマンのロマンチック・コメディ。ベルイマンといえばメンタル・スプラッタ映画って印象なれど、こういう洒落たコメディも撮っている。でも、面白いと思えたのはこれだけ。期待しすぎも禁物。前年に撮った『愛のレッスン』は全然つまんなくて、そのあとに見たものだから多少良く見えたってところもあったかも。
不思議なもので、この映画をみているとウディ・アレン映画をみてるきになってしまった。ある夏の夜に、郊外の別荘に集まった男女数組の心の機微を描いたシチュエーション・コメディで、良くも悪くも、ウディ・アレンのベースはベルイマンなんだろうなって感じさせてくれる映画。

しかし・・この映画、舞台劇的ラブコメスタイルをとっていて、感情移入が実に難しい。これは描き方だけでなく、文化の違いからくるものだろう。そんなに割り切れた妻と愛人と男の関係があるのか・・って思ってしまう。さすがスウェーデン。それでもふしぶしにツボを突く言葉や演出がある。さすがベルイマン。
マルコム伯爵が愛人のデジレ宅にいってみると、フレデリックがいる。ふんがいして正妻シャールロッテのところに戻って、妻にむかって、

「妻ならまだしも、愛人を寝取られたら虎になる」

・・と言ってのける。まさにおおおおおおおおおおおお!!!??である。
この潔さに感動してたら最後、今度は愛人デジレにむかって
「愛人ならまだしも、妻を寝取られたら虎になる」と言いやがる。こんなの言われたら最初の言葉の感動がなくなってしまうじゃないか!馬鹿たれ!ここは大不満でしたね。

ベルイマン映画の常連で美女的役割のハリエット・アンデルセンが脇をかためてているが、主役はエヴァ・ダールベック。マルコム伯爵の妻シャーロッテを演じるマルギット・カールキストは、美人なのかそうでないのかいまいち判断しきれないのだが、本編ではやたらときりりとしててかっこよく見える。撮影は『野いちご』のンナール・フィッシャー。画面構成は実にスタンダードは画作りをするひとだ。ちなみに、夜が夜に見えないのは「白夜」だそうな。確かにスウェーデンの夏の夜は白夜でなかなか暗くならないし、あっというまに明るくなってしまう。

あとひとつ気になったのは、ゴシップ記事だと、ハリエット・アンデルセンとベルイマンは『不良少女モニカ』以来恋人関係だったのだが、この『夏の夜は三度微笑む』の撮影中に破局したらしい(苦笑)。主人公弁護士フレデリック・エーゲルマンの新妻がやたらと元気なのと、その妻が結局息子とひっつき駆け落ちしてしまうくだりは・・、もしかしたらハリエット・アンデルセンを思うベルイマンの気持ちがこんなんだったのかなってかんぐってみたくなる。当時ベルイマン37歳、ハリエット・アンデルセン23歳であった。こんな小娘にてをつけるなんざあ、けしからん奴だ、まったく。。。

登場人物と立ち居地をざっくり整理しておこう。

●フレデリック・エーゲルマン弁護士(グンナール・ビョルンストランド
アンと結婚したが、想いを大事にするあまりまだ“H”もしていない。そんな彼が一番居心地のいいのはデジレである。

●フレデリックのかつての愛人デジレ・アームフェルト(エヴァ・ダールベック
いまでもフレデリックが一番一緒にいてらくな相手。しかし今の立場はマルコム伯爵の愛人。

●フレデリックの新妻・アン(ウーラ・ヤコブソン
フレデリックと結婚したが、大事に思われすぎてまだ抱かれてもいない状態に物足りなさを覚え、の息子ヘンリック(フレデリックと前妻の子供)に退かれるものを感じている。

●フレデリックの子供・ヘンリック(ビヨルン・ビェルヴヴェンスタム
牧師志望でまじめな青年。経験豊富なメイドのペトラ(ハリエット・アンデルセン)の色香によろめいてるが、相いつもお預け、実はからかわれているだけなの。しかし、潜在的には父の再婚相手アンに惹かれるものがある。

●デジレの愛人マルコム伯爵(ヤール・キューレ

●伯爵を愛しながらも報われない伯爵の妻・シャーロッテ(マルギット・カールキスト

・・・そんな状況のなかでデジレは考える。
今の愛人マルコム伯爵を妻シャーロッテのもとに返し、フレデリックの新妻とヘンリックと引っ付け、自分は再びフレデリックと一緒になろう!・・と。かくして、この壮大な(?)計画をたてる。関係者をデジレの母の家にまねき夏の夜の一夜をみんなで過ごすというのだが・・・。

by ssm2438 | 2010-03-08 09:03 | I ・ベルイマン(1918)


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