西澤 晋 の 映画日記

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2011年 05月 09日

みじかくも美しく燃え(1967) ☆☆☆

f0009381_1745970.jpg監督:ボー・ウィデルベルイ
製作:ヴァルデマール・ベリエンダール
脚本:ボー・ウィデルベルイ
撮影:ヨルゲン・ペルソン

出演:
ピア・デゲルマルク (エルヴィラ・マディガン)
トミー・ベルグレン (スパーレ中尉)

        *        *        *

憧れに酔いきって、現実から切り離されてしまった男女の話

雰囲気が美しい映画。映像的にめちゃめちゃすばらしい撮り方をしているというわけではないのだが、黄金色そた草原に金髪をなびかせたピア・デゲルマルクがいるだけで絵になってしまう。これは誰がどうとっても(あほな広角レンズさえ使わなければ)美しい絵になる映画。いろんな意味で、「美しさ」に☆ひとつおまけ。

お話的にはかなりシンプルなストーリー、サーカスの綱渡りの芸人ピア・デゲルマルクにほれてしまった軍人さんが、妻も家庭も捨てて二人で逃避行。軍の友人が現われ、残された妻や子供の悲しみを語り、男の行為を責めるが、彼にとっては彼女はすべてのものに勝る価値観のもの。「もう好きなんだから仕方ないじゃないか」理論をまともに実行してしまい、そのままゴールまで突っ走るしかない。二人は逃走の旅を続ける。結局お金がなくなり、逃亡兵なので職にも就けない。
恐ろしいまでに「憧れ」が理性をねじふせ、没落へのみちのりをころげおちるような映画。普通ならお金がなくなると二人が自然といがみあってきたりするものだが、この映画はそれもない。しかしストーリーの流れは現実離れしているわけでもない。逃亡生活のみすぼらしさはきわめて現実的であり、住む家もなく、最後は野宿生活。最後は美しく身だしなみをととのえて楽しいピクニック、そしてズドン。ズドンと森に響きわたる銃声2発。

f0009381_1765076.jpg物語自体は「憧れ」に覚えれ現実逃避するお話で、あんまり個人的には肯定できないのだが、やはり逃亡中の森の中で選択ひもをさりげなく綱渡りの感覚を確かめているところは実にすばらしい。技をやってみることで、現実の悲惨な状況を認識しないためなのか、それとも。いつか現実に戻った時にまだやれるように、体をうごかしてみたのか・・、どちらの解釈もあるだろう。ただ、こういうシーンを差し込んでくれることがおしゃれでにくい。
死ぬ間際のピクニックも美しい。

監督は『刑事マルティン・ベック』ボー・ウィデルベルイ。ゲリラ的小手先の演出はしない、きわめて王道の演出をする人といえば、聞こえがいいが、胆に地味ともいえなくはない(苦笑)。ただ、いやらしさもなく、観客に媚もうらず、現実的な見せ方で、まるでファンタジーのようなお話を映像化しているので、個人的にはす好きなほうだ。

by ssm2438 | 2011-05-09 16:42


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