西澤 晋 の 映画日記

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2011年 05月 29日

沙耶のいる透視図(1986) ☆☆☆☆

沙耶のいる透視図(1986) ☆☆☆☆_f0009381_18392015.jpg監督:和泉聖治
脚本:石井隆
撮影:佐々木原保志
音楽:一柳慧

出演:
高樹沙耶 (北村沙耶)
名高達郎 (カメラマン・橋口裕)
土屋昌巳 (ビニ本編集者・神崎繁)
加賀まり子 (神崎の母親)

        *        *        *

高樹沙耶がすばらしい。彼女のベスト1の映画。

このときの高樹沙耶はむちゃくちゃすばらしい。美しい。ミステリアス。なのにこの後の映画はなんだ! 彼女を無駄使いしただけの映画ばっかり。唯一この映画だけが彼女を生かして撮れている映画。監督の和泉聖治は・・・・、正直な話、これ以外の映画はどれもしょぼい。なんでこの映画だけがまともにとれたのはいまだに謎だ。

原作はすばる文学賞の受賞作品。今では死語になってしまった『ビニ本』の写真家がある日出合った沙耶という女性。しかし、彼女は感じない身体をだった。それでも付き合うようになっていく主人公の写真家と沙耶。なぜ、彼女がそんな精気のない人間になってしまったのか・・・その訳を紐解いていく心理サスペンス。

やや、ヤン・デ・ボンににてるかもしれない照明も実にわざとらしくていい感じ(苦笑)。石井隆のシナリオがいいのか、はたまた原作がいいのか、どっちもそれなりにいいのだろうな・・、ミステリアスな雰囲気はとてもいい映画だ。隠れた名作だと私は思っている。

<あらすじ>
ビニ本のカメラマン橋口(名高達郎)は、編集者の神崎(土屋昌巳)から沙耶という女性(高樹沙耶)を紹介される。彼女は都内のデザイン会社のアーティストだった。神秘的な表情に心魅かれ、ホテルへ誘い込むが、「私、感じないんです」としらけたムードに、橋口もやる気をなくす。沙耶が置き忘れたスケッチブックには、男の性器がケロイドで被われた春画風のデッサンが描かれていた。数日後、伊豆ロケに行った橋口は、神崎が連れて来た沙耶と再会する。神崎と沙耶のなにかありそうな関係がさりげなくきになる橋口。そしてみてしまう、神崎の太股にある焼けどのあと。神崎は事故の原因は母親で、自分に彼女が出来た時に母親が嫉妬でお湯をかけたからだと説明した。
その夜再び沙耶を抱く橋口。たとえ女が感じてなくても男はセックスは出来る。沙耶は橋口に神埼との出会いを語る。分裂症で入院していた病院で、精神を病んでいる神崎の母親と会い、それが原因で神崎と知り合ったことを告げる。橋口と沙耶の関係は順調にいき一緒に暮らし始める。
一方神崎は裏本の製本で逮捕されてしまう。
橋口と沙耶の生活もギクシャクすることがおおい。沙耶がぐれている時は何を言っても仕方がない。沙耶は橋口が何を言っても返事をせず、食べることも拒否しだした。途方にくれた橋口は沙耶との関係を絶った。一カ月後、裏本で逮捕された神崎は出所した翌日、橋口を呼びだした。かねてからの「視姦」のビニ本を作ろうとうのだ。
呼び出されたマンションの一室にいってみると沙耶が裸で横たわっていた。となりにはバイブレーターがうにょうにょ動いていた。雨の降る屋上で神崎は、橋口にケロイドの真相を語る。母を見舞いにいった精神病院で出会った沙耶と付き合い始めた神崎だったが、沙耶は『性』が愛を裏切ると神崎を拒もうとした。ならば自分の性欲を殺すと、沙耶の眼の前で神崎は自分のペニスに熱湯をかけたのだった。二人の間には入っていけないと感じた橋口は、部屋に戻り敗北宣言。苦しみのシェアができた沙耶ははじめて橋口の前に笑顔をみせる。そのすがすがしさに感動した橋口は思わずカメラを構えシャッターをきったとき・・、おくの窓を落下する神崎の姿が映った。
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by ssm2438 | 2011-05-29 18:40


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