監督:シドニー・ルメット
脚本:デヴィッド・ヒメルスタイン
撮影:アンジェイ・バートコウィアク
音楽:サイ・コールマン
出演:
リチャード・ギア (ピート・セント・ジョン)
ジュリー・クリスティ (エレン・フリーマン)
ジーン・ハックマン (ウィルフィールド・バックリー)
ケイト・キャプショー (シドニー)
デンゼル・ワシントン (アーノルド・ビリングス)
* * *
久々のルメットだ!って勢い込んで劇場に行ったら、超ボテボテのキャッチャーゴロだった・・・。
出てる役者さんたちの顔ぶれ見るとドレもこれもスゴイ。おまけに選挙戦をテーマにした映画なんて、
シドニー・ルメットの“我が家の庭”のようなもの。そりゃ誰だってある程度ルメットの名前を知っている人なら期待しちゃいますよ。で、できあがったのがこれ。ひどい・・・。
主人公の
リチャード・ギアが、選挙があれば自家用ジェットでそこに飛び、全米をまたにかけて一度にいくつもの選挙戦をたたかっている選挙参謀のプロフェッショナル。ありとあらゆる手段をつかって選挙民に訴え、彼が担当した候補者を当選させる。その行動派には国内だけにもとどまらない。南米の某国で占拠があれがそこにも飛び、劣勢にたっていた候補者を一気に優勢にして帰ってくる。心と体の渇きは秘書のケート・キャプショーがいやしてくれる。候補者と打ち合わせをし、「政策は・・」といいかける彼に、「そんなものは当選してから」と答え、イメージだけを作りあげていく。
その昔
『候補者ビル・マッケイ』という、
ロバート・レッドフォードが主演した選挙物の映画があった。その映画のなかで、レッドフォードは、地元民から愛された候補者だった。しかし選挙が進んでいくにしたがって、イメージ重視で選挙戦をしているうちに、レッドフォードのもつ本質が失われ、当選した時には「・・・で、私は何を話せばいいんだ?」というくらいに、なにもなくなってしまう悲しいお話。
それがこの映画では散文的におこなわれている。どこからどうみてもルメットのフィールドなのだが・・・、これがまったくつまらない。なぜだろう。主人公自体にカッコたる目的意識がないから、あるいは必死さがないから、はたまた勝って欲しい候補者がいなきから・・・。