西澤 晋 の 映画日記

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2010年 04月 17日

木村家の人びと(1988) ☆☆☆

f0009381_6141115.jpg監督:滝田洋二郎
脚本:一色伸幸
撮影:志賀葉一
音楽:大野克夫

出演:
鹿賀丈史 (木村肇)
桃井かおり (木村典子)
岩崎ひろみ (木村照美)
伊藤充則 (木村太郎)

        *        *        *

小銭を求める一家は快活であった・・・

小銭を溜めることに異様な執念をもっている木村家の人々の快活な生き様を描いた映画。ただ、お金をもうけるってことは、やっぱり人々にエネルギーを与えるものなのだ。
この話のいいところは、小銭ひたすら溜めていく庶民が共感を持てる範囲の守銭奴イズムだろう。その部分をデフォルメして物語にしている。なのでいやらしさはほとんどない(多少はある)。そんな家族を背景にしながら、「これでいいのだろうか」と思いはじめる息子・太郎の存在によって、それまでの守銭奴イズムに徹した快活な木村家の家庭がとたんに活力をうしなっていく。底にはやはり家族でいることの家族の連帯を大事にする時には<妥協>というものが不可欠であること提示するとともに、<欲望>と<モラル>の相関関係をいやらしくない次元で物語にしているところだろう。

人間社会の縮図を、肩の凝らない形でユーモアのあるホームドラマとして映像化した映画であり、滝田洋二郎の一番得意な分野の映画だったような気がする。日活ロマンポルノのころの滝田洋二郎はエロのなかにコメディをいれてちゃかしてしまい、個人的には好きになれない監督さんだった。しかし一般映画をとりだしてからは彼の節度のある才能が花開いた感じだ。この映画は彼のなかでは好きなほうである。ただ、滝田洋二郎は絵作りに力をいれないので、個人的にはそれほど魅力は感じないのだけど・・・。

<あらすじ>
木村肇(鹿賀丈史)はサラリーマンでありながら、木村家の家族は小銭集めに忙しい毎日を送っていた。朝は早起きして仕出し弁当づくり、それを団地のサラリーマンの出勤時にうりさばいている。弁当を買う側にも好評だ。朝起きの老人たちを使って近所の新聞配達は一手にひきうけており、何より老人たちが快活だ。そして妻・典子(桃井かおり)は色っぽいモーニングコール・サービス。照美(岩崎ひろみ)と太郎(伊藤充則)もまたちゃっかりしていて、伯父さんから肩たたきを頼まれると必ず後から請求書を出すのだった。しかし、太郎だけはこのような金儲けに後ろめたさを感じていたのだった。そんな金儲け(小銭儲け)が総てのような木村家の状態を知った伯父の雨宮晋一(柄本明)は、せめて太郎にだけでももっと心豊かな人間になってもらおうと聖書を渡す。
聖書を読むうち「節度」を強くしていく太郎。典子の実兄・雨宮夫妻は太郎を引き取ろうとするが、肇に追い返される。しかし、木村夫妻も子供は可愛い。太郎の思いを受け入れ思い切って小銭稼ぎをやめる苦汁の決断をする。そしてベルマークを集め始める。しかし隣の高倉家(小西博之・清水ミチコ)が木村家のやり方を学び同じ商売を始めてしまう。木村家も黙ってはいられなくなった。老人会も巻き込んで木村家と高倉家の激しい商売合戦が始まった。
やはり「小銭虫生活はやめられない」という父・肇の姿をみた太郎は、雨宮の伯父さんのところへいく決意をするのだった。

by ssm2438 | 2010-04-17 06:14


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