西澤 晋 の 映画日記

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2010年 05月 14日

鬼平犯科帳スペシャル『一本眉』(2007) ☆☆

f0009381_21254239.jpg監督:井上昭
原作:池波正太郎 『一本眉』『墨つぼの孫八』
脚本:野上龍雄
音楽:津島利章

出演:
中村吉右衛門 (長谷川平蔵)
勝野洋 (酒井祐助)
尾美としのり (木村忠吾)
梶芽衣子 (おまさ)
蟹江敬三 (小房の粂八)
長門裕之 (相模の彦十)

宇津井健 (清洲の甚五郎)
大路恵美 (おみち)
火野正平 (茂の市)

        *        *        *

池波正太郎原作で人気を博した『鬼平犯科帳』、その2時間スペシャル。監督は旧大映系監督の井上昭。さすがにテレビシリーズからもう10年以上もたっているので、登場人物が老けてきている。中村吉右衛門も立ち回りはジャイアント馬場なみの遅さで動きもスムーズではなくかなり不自然。殺陣師の方々はそれらしくみせるのにくろうしたであろう。また平蔵の妻の多岐川裕美も、おまさ役の梶芽衣子も目元のくすみがかなりつらい。だいたい長谷川平蔵は火付盗賊改方についていたのは40代前半から50代前後までだったような。みなさん平蔵も、女優人も、みんながみんなちょっと年取りすぎのような気がした。まだつづけるのならそろそろ世代交代してもよいのでは。個人的には役所広司に平蔵やってほしいが・・。

『鬼平犯科帳』のテレビシリーズの魅力というのは、やはり平蔵の懐の深さだろう。サラシーマン人生につうじるところを感じる。人柄はおおらかで、人情味にあふれ、盗人になった者たちにも義理人情にあつい。しかし凶悪は罪のまえでは、拷問してはかせることも辞さない鬼となる。この作品では、通称“一本眉”と呼ばれる盗賊の頭領と親睦をふかめていく。ただ、原作は『一本眉』と『墨つぼの孫八』という二本の話を一つの話にまとめているので若干複雑な仕上がりになっている。ただ、同じテレビスペシャルの『兇賊』よりはこちらのほうが面白かった。
ちょっとお買い得だったのがみちにを演じた大路恵美。よかった。まるで『ウルトラセブン』に出てくるアンヌ隊員菱見百合子を髣髴させた。

池波正太郎の原作ものというのは、江戸時代の文化背景がしっかりしているので、みていて勉強になる。ただ、平蔵が活躍していた時代は、松平定信の時代で、文化的にはちょっと下火だった頃。それ以前は田沼意次の重商主義政策で、町人文化は花開いたこともあったのだが、その辺面役人と商人による利権賄賂政治の腐敗がすすんだこともあり、モラル重視で重農主義にかたむいた。幕府の学問所である昌平坂学問所では朱子学以外の講義を禁じ、書籍出版取締令により出版統制についても行っている。ゆえに、奇麗事の政治だったので今ひとつ時代的にはつまらない時代だったといえるだろう。

<あらすじ>
寛政四年師走の江戸で、押し込み強盗が起こった。店もものは皆殺し。錠前を真っ二つに切断して店に侵入していた。いたことを手掛かりに探索するが、これだけの技術力をもっているものは鍛冶屋か鉄砲職人の経験のあるものに違いないと目をつけた火盗改方長官・長谷川平蔵は、通称「一本眉」と呼ばれる老盗賊・清洲の甚五郎(宇津井健)が以前鉄砲職人だったことを突き止める。その甚五郎は、こともあろうに木村忠吾(尾美としのり)と飲み友達となっていて。平蔵もこの甚五郎と一晩酒を酌み明かすが、平蔵の男気にほれた甚五郎は、3年もまえから計画していた幕府おかかえの問屋への強盗計画をほのめかし、こともあろうに平蔵を仲間に引き入れようとする。鐘は盗むが人はころさないというその生粋の職人盗人である甚五郎が凶悪な押し込み強盗ではないと判断した。犯人は別にいた。その甚五郎のかつての手下で佐喜蔵(遠藤憲一)という男だった・・・。

by ssm2438 | 2010-05-14 21:25


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