2010年 05月 23日
監督:コンスタンティン・コスタ=ガヴラス 脚本:ジョー・エスターハス 撮影:パトリック・ブロシェ 音楽:フィリップ・サルド 出演: ジェシカ・ラング (アン・タルボット弁護士) アーミン・ミューラー・スタール (アンの父、マイク・ラズロ) * * * 社会派サスペンスの雄、コスタ=ガブラスは政治的な題材をサスペンスタッチに描く作風を特色とし、1969年の『Z』でアカデミー外国語映画賞をはじめとする数々の賞を、1972年『戒厳令』でルイ・デリュック賞を受賞。1982年『ミッシング』でアカデミー脚色賞、第35回カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞。1990年、この『ミュージック・ボックス』でも第40回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞している。作品数は少ないが、現実に存在した事件などを背景に、それを舞台を移して物語にするなどしてくつられた彼の作品は、リアリティのある社会が描き出され、なおかつそこにドラマチックなサスペンス性も加味して描かれる。映画を勉強する人にとってはマストシーな監督の一人だろう。 ただ、60~70年代にくらべれ、晩年の彼の作品はちょっとインパクトにかける感じがしないでもない。この作品もベルリン国際映画祭金熊賞をとってはいるが、そこまで良いとされる作品かといわれると・・・・???って疑問をもつ。それでも前作の『背信の日々』よりはガヴラスらしい出来になって戻ってきた感じ。ただ、これはやっぱりアメリカでの映画作りが合わなかったのだろうなって思った。コスタ=ガブラスのホントの魅力はやはりヨーロッパでくつられた『Z』、『告白』、『戒厳令』だろう。それ以降のアメリカ資本でつくられた映画ではどこか硬派な雰囲気が失われ、ややエンタ寄りに振れすぎている感がある。 この『ミュージック・ボックス』では、アメリカで何不自由なく暮らしてきた弁護士アンの父親がある日突然戦争犯罪者であることが判明し当局に拘束されてしまう。そう信じたくない娘のアンが弁護をするのだが、どうやらやぱり・・という話。シナリオは『氷の微笑』のジョン・エスターハス。 ただ、ガヴラスの映画は本来、ストーリーのどんでん返しを楽しむような映画ではなく、歴史背景をきちんと塗りこみんだ、どっしりとした物語の土台作りから展開されるドラマを楽しむもの。ジョー・エスターハスとの相性はそれほど良くないきがする。最後はミュージックボックス=オルゴールからかつての写真が出てくるのだが、せっかくミュージックボックスを使っていても、その音楽が物語に絡まないのは実に残念だ。さすがエスターハス、はずしどころも心得ている。 <あらすじ> ハンガリーからの移民で、その後弁護士となり、結婚し、子供たちにも恵まれ平穏な生活をおくってきた女性弁護士アン・タルボット(ジェシカ・ラング)。しかしある日突然ハンガリー政府が、ユダヤ人虐殺の犯人としてアンの父マイク・ラズロ(アーミン・ミューラー・スタール)の引渡しをアメリカに要求してきた。アンは父の弁護を引き受ける。 父が移民の際身分を警察官でなく農民と偽ったこと。そして同じハンガリー移民のゾルダンという男に送金していたこと。そして法廷では父がユダヤ人虐殺の先兵であった特務部隊のミシュカという男と同一人物であるという証言が次々と行なわれた。しかし父の無実を信じるアンは、着実な反証によって検察側の証人を切り崩していく。 ハンガリーのブダペストに向かったアンは、父が送金していたという男・ゾルダンの姉から唯一の手がかりとして質札を預かる。質屋から引き出されたのはミュージック・ボックス(オルゴール)だった。そしてそのにはユダヤ人虐殺を実行していた男がゾルダンであることを示す写真を見てしまってあった。アンがアメリカに戻ると、父の有罪立証が不可能であることを新聞は書きたてていた。アンは黙って父の有罪を告げる証拠写真を新聞社に送る。
by ssm2438
| 2010-05-23 15:08
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主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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