西澤 晋 の 映画日記

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2010年 06月 15日

遊び(1971) ☆☆☆

f0009381_23333780.jpg監督:増村保造
原作:野坂昭如
脚本:今子正義/伊藤昌洋、潤色:増村保造
撮影:小林節雄
音楽:渡辺岳夫

出演:関根恵子/大門正明

       *        *        *

前半から中盤までを抜けると怒涛の感動が押し寄せる。しかしそれまでがしんどい。

前半はなんとも主役の男(大門正明)が嫌で嫌で、総てにおいて痛々しく、とっととやめようかと思ったが、物語は後半からは驚くほど輝き始める。仰々しい潔さ演出の増村保造の台詞回しが、この作品に関しては違和感があるが、後半はこの言い回しあっての感動なのだろうなあ。

しかし、関根恵子は良い。これみると若尾文子だけじゃなくって、関根恵子でも増村保造作品もっと見たかったなあ。うむむむむむ、惜しい。実にもう少し時代がずれていたら・・って思えてならない。
とにかく二人でホテルに泊まるところからがとてもいい。はじめて好きな女とホテルに泊まった時のあまずっぱい思い出ふつふつと湧き上がってきてなんだかとても気恥ずかしくなってしまう。「風呂に一緒にはいるか?」といわれて断る関根恵子。そのあとひとりではいる風呂。そこでさりげなく隠しぎみに演出しているので、“ああ、こんなものか・・”って思ってたらそのあと寝床での怒涛の決意と覚悟表明、「あなたの好きにして、あなたのものにして」って、そのあとは彼女の肢体は全開、惜しげもなく披露してくれる。

たしかに前半から中盤にかけては痛い映画だったが、このホテルのシーンから最後までは傑作な映画だ。怒涛の増村保造演出と、関根恵子の素晴らしさを堪能させてもらった。70年代崩壊間近の大映にしてみれば傑作にはいるだろう。

<あらすじ>
ダンプの運転手をしていた父は、人身事故を起こして以来飲んだくれ、借金を残して死んでしまった。姉はカリエスで寝たっきり。母の内職だけでは借金の返済もままならず、中学を卒業した彼女(関根恵子)は町工場で働きはじめた。少ない給料を家に送り続けていたが、そんな娘に母はお金をたかりにくる。最後の手段とばかりにキャバレーのホステスになろうと決意し、元工員で今はホステスとして働いているヨシ子に電話を掛けようと電話帳をめくっているとチンピラっぽい男が声をかけてきた。

彼(大門正明)の父親は蒸発し、母親はおでんの屋台をひき、寂しくなると男をくわえこむ。彼も結局かたぎの仕事をやめてしまい、今ではヤクザの子分としてせいいっぱいいきがって生きていた。彼が「兄貴」と呼ぶ男は若い女を連れ込み宿に連れ込んでは犯し、写真をとり、それを売りさばき、逃げられないようにしてはキャバレーかホストで働かせていた。そしてその彼もその手伝いをびびりながらやらされていた。

彼女にとって彼は初めて喫茶店にいったり、映画をみにいったりした男だった。彼にとって彼女は初めて自分に好意をもってくれた女で、最初のスケコマシのターゲットだった。兄貴に指示されるままに、いつもの連れ込み宿に彼女を連れ込んだ彼だったが、彼女の初心さにいたたまれなくなり、見張りの宿のおやじを鉄びんでぶん殴り、彼女をを裏口から連れ出した。

二人は川辺の小さなホテルにたどりついた。兄貴から経費として預かっていたお金でそのホテルに泊まった二人は、生まれて初めて贅沢な食事と風呂を堪能した。彼女は、母のことも、カリエスの姉のことも貧しかった過去もみんな忘れて、彼のものになりたかった。彼は、明日からは一文無しで、ヤクザに追われることになろうとも、彼女だけは渡したくなかった。チキンハートなチンピラ男は彼女を抱くことで男になり、他人のためにしか生きてこなかった彼女は、その男のものになることで、女になった。

・・・・キラキラまぶじいぞ、この映画!

by ssm2438 | 2010-06-15 23:34 | 増村保造(1924)


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