2010年 06月 21日
監督:出目昌伸 脚本:中西隆三 撮影:原一民 音楽:佐藤允彦 出演:関根恵子(ミチコ)/草刈正雄(マコト) * * * なんでこういうラストになる? 登場人物や作者の人間力のひ弱さを感じてしまう。 70年代の大学生を描いたかなりあまあまなストーリー。しかし・・・、これをみているとやり抜く力を感じないのが悲しい。なんでも、ヒット曲「神田川」を作詞した喜多条忠が、自らの愛と焦燥の学生生活を綴って書き下した同名小説が原作らしいが、「僕たちは頑張ったけど、どうせだめなんだ」が基本にあるような気がする。こういうラストに持っていくこと自体が理解しがたいし、こういうエンディングにすること自体、作り手の生命力のひ弱さを感じずにはいられない。 自分の力不足を嘆いて酔っているだけ・・というか、間接的に「俺たちを不幸にしたのはお前らだ」と大人たちの無理解さを批判しているというほうが正しいかも。でも、じゃあ自分たちでしぶとく生き延びようというエナジーはない。まあ、成人してもだだこねて、大人たちにあまえていたんですね。この時代の作品というのはそういうのが多いことは確かだけど・・。やっぱりこれも、一足遅れてやって来てアメリカンニューシネマの負の影響力のような気がした。あるいは・・・ベルトルッチ・テイストとでもいいましょうか・・、体制に反発しながらも結局は抵抗出来ないやるせなさを感じた。 ・・・しかし、画面は良い。きもちょい望遠でつづられた関根恵子と草刈正雄のショット、その背景となる70年代の東京を切り取った原一民の画面はとってもいい。そして雪山のなかで関根恵子の肢体はまぶしいばかりに美しい。 <あらすじ> 大学の人形劇サークルに所属している上条真(草刈正雄)は、司法試験に受かって既に一人前になっている兄の高圧的支配と、親からの仕送りのなかで、自立力の乏しい学生生活をしていた。そんな彼が、印刷場に勤める池間みち子(関根恵子)と付き合い始める。 やがて妊娠するみち子。しかし二人の関係に反対の兄は、そんなみち子を産婦人科医に連れて行き、麻酔の間に堕胎手術をうけさせてしまう。兄と決別した真はサークルをやめ、二人の生活を守るために働きながら学生生活を送ることになるが、疲れ果ててかえってくる真をみるのがたえられなくみち子。そんな二人の家計を助けるためにバーのホステスとして働くというみち子だが、それこそ真には耐えられない。理想と現実のハザマで二人はぎすぎすしてくる。 そんなときサークルのチーフとマキシは雪山で自殺する。マキシが真への愛に敗れて自暴自棄になり、チーフの備前がそれに付き合うことになってしまった。二人の遺体を見ながら、みち子はいつか真と離れなければならない自分の運命を悟り、真の「二人で生きよう」との言葉にも、涙にぬれる顔を横にふり続けるだけであった。 こういうエンディングしか描けない原作者の精神にはまったく共感がもてない。超しらけエンディングであった。
by ssm2438
| 2010-06-21 02:07
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主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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