西澤 晋 の 映画日記

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2010年 07月 01日

成熟(1971) ☆☆☆

f0009381_23132560.jpg監督:湯浅憲明
脚本:高橋二三
撮影:喜多崎晃
音楽:菊池俊輔

出演:
関根恵子 (加納ゆう子)
篠田三郎 (笹尾隆二)
菅野直行 (坂井正夫)
八並映子 (小谷ミキ)
伴淳三郎 (笹尾吾助)

       *        *        *

関根恵子のオッパイは出ない。でも十分見る価値ある。

もしかしたら関根恵子の映画のなかでは一番みていて楽しい映画かもしれない。いろんな意味で勘違いしてるのだが、それがすべて幸せ方面にむかっているという、まるで『ボギー!俺も男だ』の逆バージョンのような映画。世間にころがっているあらすじだけをみるといたって普通の青春映画にみえるが、この映画の魅力ははかりしれないものがある。

山形県庄内平野の鼠ケ関は、古くからみこし流しという行事が行われており、「みこしを担いで海に入る男たちの濡れた体は将来を誓い合った娘以外は拭いてはならない」という言い伝えがる。万一、体を拭いた娘と拭かれた若者が結婚しないと竜神の崇りで二人とも必ず不幸になるというものだった。そんな言い伝えのある中、水産高校の笹尾隆二(篠田三郎)の濡れた背中を農業高校の加納ゆう子(関根恵子)がふいてしまう。二人にしてみれば、伝説などどうでもいいことだったのだが、それがどんどん波紋をひろげていく。

普通の映画は、二人の感情は求め合う。理性ははなれるべきだと考える。環境は二人を引っ付かないようにうごく。そのなかで二人はやっぱり求め合う・・ってのが映画だし、それが盛り上がる普通の流れなのだ。この映画が可笑しいのは、二人の感情は求め合ってて、二人の理性は否定しあって・・ここまでセオリーどおりなのだが、環境が二人を引っ付けるようにながれていくのだ。これが実に可笑しい。二人は理性的に「この恋はあきらめるべきだ」とかんがえているにもかかわらず、周りがふたりがひっつくほうに、ひっつくほうにながしていくのである。そんな環境のなかで、ふたりだけは、深刻ぶってるが、よくよく考えると二人ともとっても幸せな方向にながされているとしか思えないという・・、すべてが幸せ映画なのだ。
初期の関根恵子映画というのは、関根恵子に不幸はふりかかることばっかりだが、この映画に関しては彼女に幸福ばかりがふりかかっていく、なんともおかしな、たぶん作り手としてはかなりとんちんかんな作りの映画ににしてしまったことは確かなのだが、このとんちんかん振りがすべてにおいてさわやかで幸せいっぱいな映画がこの『成熟』なのである。

f0009381_2313587.jpg<あらすじ>
農業高校の写真部に属するゆう子(関根恵子)は「みこし流し」のイベントを撮るために、気軽に見知らぬ青年笹尾隆二(篠田三郎)の体を拭いたことから騒動が持ち上ってしまった。隆二の父親(伴淳三郎)はどうしてもその女をみつけだして息子の嫁にすると言い出し、ゆう子の家まで押しかける。しかし、ゆう子には既にきまった相手がいた。加納ゆう子は農家の一人娘であり、田んぼを続けるためには婿養子をもらわなければならなかった。さいわい、加納の家にはいってもいいという坂井正夫(菅野直行)という男がいて、既に二人の家ではその話はまとまっていた。ゆう子も特にそれに反発するわけでもなく、そうなる人生を普通に受け止めていた。
そんな二人だが徐々にお互いに惹かれて行く。隆二が漁師になって外洋にでるようになると田んぼの世話は出来ない。そうなるとゆう子一人では田んぼば無理だ。そんな二人だが、思い出作りのために二人で過ごす1日デートを楽しむ。

鶴岡市の天神祭り、別名お化け祭りの日がきた。お化け祭りと顔を布で隠した女たちが、徳利と盃を持って見物人に酒を飲ませるという祭りである。昼間から酒を飲まされた正夫は、その女がゆう子だと勘違いして押し倒してしまう。女は素直に抱かれた。しかしこの女は小谷ミキ(八並映子)であり、ひそかに正夫を想っていた。この正夫の行動がどこでどう誤謬されたのか、ゆう子が隆二の子を妊娠したという噂となって広まっていく。追いつめられた二人は、故郷をすて東京へ出ていく決心をする。
翌朝、駅に急ぐゆう子は、田んぼに稲の伝染病が発生しているのを知りそのまま放置することができず、町の人々に知らせに戻ってしまう。ゆう子の一報で農家の人々は農薬を散布し事なきをえるが、隆二との駆け落ちは中止になってしまう。
しかし、水産高校と農業高校の対抗意識は頂点にたっし乱闘寸前、そんななか、ゆう子のクラスメイト小谷ミキが真相を告白する。正夫に想いをよせていたミキは、隆二とゆう子をひっつくように仕向け、正夫には酒をもり自分を抱かせたというのだ。

結局正夫とミキは仲良くなってしまい、ゆう子と隆二も立場をこえて結ばれることを助言する。隆二が外洋に出るときは、俺たちがゆう子の田んぼを手伝うというのだ。ふるい因習を乗り越えて二人は結ばれるのだった。

おおおおおおおお、なんというさわやかな青春勘違い映画だろう。素晴らしすぎて感動してしまった。
監督・湯浅憲明、脚本・高橋二三八並映子主演(?)で作られた『ガメラ対深海怪獣ジグラ』を見直してみたくなった(苦笑)。

by ssm2438 | 2010-07-01 23:14


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