西澤 晋 の 映画日記

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2010年 07月 16日

パリは霧にぬれて(1971) ☆☆☆

f0009381_20365196.jpg監督:ルネ・クレマン
脚本:ルネ・クレマン/ダニエル・ブーランジェ
撮影:アンドレア・ウィンディング
音楽:ジルベール・ベコー

出演:
フェイ・ダナウェイ (ジル)
フランク・ランジェラ (夫・フィリップ)
バーバラ・パーキンス (シンシア)

       *        *        *

なんとびっくり、キモいはずのフェイ・ダナウェイが美しい!

フェイ・ダナウェイといえば、細い眉とこけた頬のキツネ顔で、お世辞にも綺麗だとは言いがたく、どっちかというとひたすらキモい感じの女優さんなのだが、いやああああああ、この映画の彼女はびっくり、美しい。眉毛もふとい。頬のこけてない。ずっとこれでいっとけばよかったのに、なんでこの映画以外はあんなに悪女に変身してしまったのでしょう?

映画は・・・お話はいまいちなんだけど、演出だけは素晴らしい。以前にも書いたがルネ・クレマンのフレーンミングは恐ろしく的確で、一番見心地のいい絵を映し出してくれる。これが他の監督さんだったらどうでもいい空間がむだにあって、その分人物がちいさくなってたり、するものだが、クレマンのフレーミングはキャラクターが見やすいサイズでフレーミングし、ほんとに必要な時だけひいて撮る。それもまた的確。
さらに思わせぶりの演出であったり、みてる人をいらつかせる技法も心得ているのが、不快感だけのコーエン兄弟のそれよりも嫌味はないので、見続けることが出来る。ロケ先では自然光そのままに、露出アンダーもしっかり機能させてくれているが、明るいところもきちんといれてるので、真っ黒クロ介な印象にはなっていない。ともすれば、人工照明でかっこ見やすくしてしてしまう監督が多いなか、地道な絵作りがすばらしい。
撮影は『フレンズ』アンドレア・ウィンディング。音楽は『マイ・ラブ』ジルベール・ベコー。二人ともマイナーな職人さんだが、いい仕事をしている。

・・・しかし・・・、お話は面白くない。というか、ルネ・クレマンの映画の話は<不条理・サディスティック・サスペンス>なので、不条理性が物語の行方を判らなくさせているため、一般庶民だと最後まで見るのはつらいのではないだろうか。映画のお勉強だと思えば素晴らしい教材なのだけど、楽しめる映画とは言いがたいのも事実である。
しかも、今回の映画は<家族の不具合モノ>かと思えば、そこに『組織』なるものが登場、闇雲にきな臭い雰囲気にしてしまう。それがいいのか悪いのか・・。あんまりいいとは言えないと思う。冒頭の感じだと見ている人は、物語は家族の不具合が完治される、あるいは崩壊していく・・の流れだと思ってみるのが普通だと思うが、そこに『組織』が登場し、怪しい秘密結社の利益誘導のためにフェイ・ダナウェイの夫を協力させうようとするのだが、うんと言わないので子供を誘拐する・・というような流れになる。
それまでフェイ・ダナウェイのメンタル闘争ものだと思っていたのだが、それがサスペンスの要素が入ってきて、サスペンスではらはら、メンタル崩壊劇ではらはら、相乗効果をなしているというよりも、とらえどころがない展開になってしまっていた。

・・・しかし、まあ、それが<不条理・サディスティック・サスペンス>のルネ・クレマン・ワールドだといってしまえばそうなのだろうが・・・、でも一般受けはしない作りの映画である。

<あらすじ>
フィリップ(フランク・ランジェラ)とジル(フェイ・ダナウェイ)はパリに住むアメリカ人夫婦で、二人の間には8才になるキャシーと4才のパトリックがいた。ジルは精神が安定しおらず、数学者の夫フィリップにとってはウザ意存在となっている。ジルの精神異常はますます激しく、最近はすっかり親しくなった階下のアメリカ人シンシア(バーバラ・パーキンス)に何かと良くしてくれる。
そんなとき、ある『組織』がフィリップに接触してくる。天才的な数学者だったフィリップの才能に目をつけた彼らは、アメリカ時代に彼に産業スパイの暗号解読の役目をやらせていたのである。断るフィリップ。しかし組織はフィリップが出張中に、二人の子供を誘拐してしまう。しかしジルにしてみれば、子供たちの失踪は、自分の精神不安定さが原因であり、その責任を感じてしまう。警察も、実はジルが子供をつれて自殺しようとしたが、自分だけ生き残ったのではないかとさえ勘ぐっている。ますます精神が崩壊してくるジル。しかし、そんなジルは
シンシアこそが、組織のメンバーであることに気付く。
罪悪感をもっていたシンシアはジルに協力、しかしそれが組織にばれてしまい殺される。しかし、シンシアがアジトへかけた電話番号覚えていたジル。そのアジトへ言ってみると屋根裏部屋に子供たちが隠れていた。

by ssm2438 | 2010-07-16 20:37 | ルネ・クレマン(1913)


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