西澤 晋 の 映画日記

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2010年 07月 18日

狼は天使の匂い(1972) ☆☆

f0009381_137341.jpg監督:ルネ・クレマン
脚本:セバスチャン・ジャプリゾ
撮影:エドモン・リシャール
音楽:フランシス・レイ

出演:
ジャン=ルイ・トランティニャン (トニー/フロギー)
ロバート・ライアン (チャーリー)
レア・マッセリ (シュガー)
ティサ・ファロー (ペパー)
エマニュエル・ベアール(アイスを食べるソバカス少女)

       *        *        *

お話だけがつまらない映画。・・じゃあ全部ダメじゃん・・という人もいるだろう・・、しかし・・・。

しかし・・、見るべきところはいっぱいある映画である。
問題はこの御伽噺のスタイルをうけいれられるかどうか・・というところで見る人の分岐点が別れると思う。私はダメだ。よってお話には最初から最後までのめりこめなかった。映画の冒頭、『不思議の国のアリス』の作者、ルイス・キャロルの台詞の引用から始まる。映画も御伽噺なのである。

では「御伽噺とはなんなのか?」という問題が持ち上がってくる。普通の物語は、自然の摂理に従ってあるかそうな出来事やキャラクターを想像し、それを自然界の普通の法則のなかで展開していく。しかし御伽噺というのはその世界をつかさどるルールそのものを作者が作り上げることが出来る。なのでその世界は、金正日のように、作者が好きにできるのである。そうなると物語りはなんでもありの世界になってしまい私なんかは面白さを感じなくなってしまう。この映画も実はその傾倒の映画で、御伽噺が好きな人にとっては受け入れられガ、それが出来ない人にとってはつまらない映画になる。
普通の映画は、見ている人がその映画のなかの誰かに感情移入しつつ、その物語は自然の摂理に従って展開しているにしたがって、自分の感情移入したキャラクターがなんらか勝利をえるように期待できるものである。しかし、御伽噺の場合は、そのキャラクターが勝利するかどうかは、作者の気分次第できまるのである。ゆえに私は御伽噺が嫌いなわけだ。

映画は、ある少年の子ども時代の回想から始まる、その回想でおわる。

その少年は「友達をつくってきなさい」と母親に送り出され、見知らぬ街で、見知らぬ子供たちと接点を持とうとする。しかし最初のグループには拒否される。そのあとに接触したグループには、男が4人、女が2人がいて、彼らにその少年は歩み寄っていく。少年は、ビニールの網にいれたビー玉を「これ、あげるよ」というように仲間の和の中に入ろうとするが、その仲間のリーダーらしき男の子は、そのビニール袋をナイフで斬り、いくつものビー球が階段をはねて落ちていく。物語の最後では、その男の子は、リーダーの男の子と別れを惜しむように別れていく。
そこに何があったかは定かではないが、それは本編で語られているのだろう。そこでの構成メンバーとトランティニャンが合流する一味のメンバー構成が微妙に一緒なのだ。野球のボール持ってる男もいるし・・。そして最後に手を振りながら別れる二人の少年は、本物語の中でのジャン=ルイ・トランティニャンロバート・ライアンの行く末を暗示しているかのようにも思える。

<あらすじ>
写真家のトニー(ジャン・ルイ・トレンティニヤン)は、セスナ機を借りて撮影中に事故を起こし、その期待が群衆の群れに墜落、数多くの犠牲者をだした。その群衆の何人かはトニーに復讐を近い、彼を追い回していた。

パリから逃亡したトニーは、ニューヨークからモントリオールへ逃げた。その追っ手から逃げ延びるために別の一味に合流するトニー。一味のボス、チャーリー(ロバート・ライアン)で、その情婦シュガー(レア・マッサリ)、マットン(アルド・レイ)、リッツィオ(ジャン・ガバン)、パウルその妹ペッパー(ティサ・ファロー)がいた。
身を守るためにトニーは、その一味の一人一人の信頼関係を気付き、仲間に溶け込んでいく。
やがてチャーリーが計画している大仕事に誘われる。あるギャングの大親分が近く法廷で裁かれることになっているが、彼を有罪にする証人の女の子で誘拐するというのだ。彼女は成人女性ながら、13歳で知能の成長がとまっており、警察病院で保護されていた。
綿密に計画をたて進入した警察病院、しかし、彼女は自殺してすでにこの世の中には存在していなかった。
仲間が逮捕されるなか、ペッパーとともに味とにもどったトニーたちだが、警察の包囲網は迫る。ペッパーを逃がすと、トニーは味とにもどり、チャーリーとビー玉をかけて警察舞台にむけて発砲するのだった。

ただ・・、現実逃避のために、自分たちの法則で現実を空想に置き換えるそのやり方は・・オウム真理教と同じであり個人的には好きではないな。そんなスピリットがこの物語の根底にあるので多分私はこの映画があまり好きになれないのだと思う。

by ssm2438 | 2010-07-18 01:37 | ルネ・クレマン(1913)


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