西澤 晋 の 映画日記

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2010年 08月 01日

浮浪雲(1982) ☆☆☆☆

f0009381_9231813.jpg監督:真崎守
絵コンテ:真崎守/川尻善昭
原作:ジョージ秋山
脚本:大和屋竺
作画監督:富沢和雄
画面構成:川尻善昭
設定:丸山正雄

声の出演:
山城新伍 (浮浪雲)
熊谷真実 (お亀)
加瀬悦孝 (新之介)
井上真樹夫 (坂本竜馬)
古谷徹 (一文写兵庫)

       *        *        *

西は「ヲワェシテ」じゃ!

日本のカタカナ英語だと西は「ウェスト」なのだけど、それを「ヲワェシテ」と表現したのにけっこうびっくり。その音をカタカナにするセンスを感じたものである。イヌは「わんわん」だけど英語だと「バウバウ」、ぶたは「ぶーぶー」だけど英語では「オイックオイック」。日本の動物の鳴き声の擬音は、どこか観念的なものがはいっているが、英語の音はその音をなんとか具現化しているように思う。「オイックオイック」はかなりすごいと思った。
その感動にも似た「ヲワェシテ」というカタカナ表記。・・・・うむむ、すばらしい。

ま、そんなことはおいといて、世間ではほとんどこの作品のことは知られていないのだけど、原作の『浮浪雲』のゆるい感じといい、村野守美による大迫力の竜馬暗殺シーンといい、新之介の子供の持つ未完成のすばらしさといい、とてもファンタスティックに出来上がっている。確かに今見ると、作画的に弱いところも多々あるが、お話の出来がとてもここちよい。

原作は「ビッグコミックオリジナル」に連載されたジョージ秋山『浮浪雲』。1978年に放映された渡哲也主演の実写TVシリーズが好評だったことを背景に企画製作された。私もこのテレビシリーズは好きでした。

舞台は幕末。主人公の浮浪雲は元々は武士であったが、現在は品川宿の問屋「夢屋」の頭(かしら)。仕事は二の次でいつも遊んでばかりで、無類の女好きだが人を惹きつける魅力があり、誰からも愛されている。空に浮かぶ雲のごとく、小事にこだわらず自由気ままに生きている柔軟な精神力の持ち主であるが、実は居合いの達人。滅多にその刀をぬくことはないが、たまに両刃の仕込み杖を使った剣術を見せる事がある。
また、東海道五十三次の命知らずの雲助(宿場や街道において荷物運搬や川渡し、駕篭かきに携わった人足)たちを意のままに動かす人望もある。

あらすじは・・、あんまりないかな(苦笑)。
この映画自体には確固たるゴールがあるわけではなく、いくつかあるエピソードごとに雲さんと新之介がそれぞれの人間性をみせるという話。時代背景が幕末であるだけに、新撰組の実在の人物や、勝海舟坂本竜馬も登場。このアニメでとりあげられた話では、ある茶屋で坂本竜馬にたまたまであった新之介が感化され、大いなる大志をいだくが、気持ちだけ空回り、そんな中憧れの対象だった竜馬暗殺の知らせが江戸にもとどく・・というもの。そんな中で、いつもはダメなぐーたらオヤジなのだが、ときとして父親愛をはっきする雲さんはけっこうかっこいい。

やはり新之介と雲さんのコントラストがいいのだろう。いつもゆるい生き方をしている雲さんに対して、息子の新之介は正反対で志が高く、真面目。余裕がないのである。二人の関係は、まるで会社の実力のない上司と実は実行力のある部下の関係。息子の新之介は父の緩い態度にたいしていつも説教しているのだが、父親の雲さんは「はいはい」って聞き流している。たしかに、雲さんのように余裕かましてゆるく生きられればそれが一番なのだが、人生そんなことはありえないので、ほんとの憧れだな・・という感じ。

新之介以外にも、新撰組の一文写兵庫(おそらく創作されたキャラ)という青年が登場、坂本竜馬の命を狙っているなのだが、雲さんの前ではしゃかりきになっている小僧にみえてしまう。
そんな風に生きられたらいいなあ・・と憧れるのだけど、普通の人は決してそんなふうには生きられない生き方。それが『浮浪雲』の魅力なのだ。

しかし、このドラマで一番いいのは息子新之介の憧れ力だろう。この一生懸命さが素敵なのだ。なにか素晴らしいものに感化される少年時代、でも、背伸びしてもどうにもならない現実。でも憧れる。そんな子供心の憧れが実によく描かれている。
劇中では、日本人にして既に世界を相手に思想をもって行動している坂本竜馬に憧れる新之介。そんな竜馬から竜馬の聞き記した英単語本をもらって勉強する新之介。自分ああなりたい!!って憧れがほとばしっている。しかしその竜馬が暗殺される。こうしてはいらないない、自分もなにかせねば!っと思ったのか、「死すとも帰らず」と置手紙をして竜馬がころされた京に向かって東海道をひたはしる新之介。
しかし、結局は心細くなって箱根の山に入る前で泣いていると雲さんが迎えに来る。

「男が男に惚れるというのはすばらしいことです。
 でもその人にかわりになることはないざんす。人はだれもが主人公なのですから」

とさとす雲さん。ああ、素敵。


ただ、既に世捨て人になっていつも余裕のある雲さんよりも、今はまだつぼみの状態だが、可能性がみちている息子の新之介をほうが好きである。それに、力と余裕のある雲さんだが、以前はやはり志を高くもっていたのだと勝手に想像するのだが、それがどの時点で挫折し世捨て人になったのか・・・、そのドラマのもとを知りたいものだ。

しかし・・、人知れずDVD出ていたのですね。VHSもずっとほしいと思っていたのですが、これがまた発売されず、大昔にテレビから録画したVHSが手元にあるだけだったのですが、これがDVDで発売されたというのはとても素晴らしいことです。
これも、坂本竜馬ブームの一環ですかね。まあ、なにはともあれいいことです。おもわずネットで買ってしまいました。でも、ほとんどのところはメーカー取り寄せなので、私が買ったところもあるのでしょうか? ちょっと不安です。

by ssm2438 | 2010-08-01 09:24


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