西澤 晋 の 映画日記

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2010年 08月 18日

肉体の悪魔(1986) ☆

f0009381_1120045.jpg監督:マルコ・ベロッキオ
脚本:マルコ・ベロッキオ/エンリコ・パランドリ
撮影:ジュゼッペ・ランチ
音楽:カルロ・クリヴェッリ

出演:
マルーシュカ・デートメルス (ジュリア)
フェデリコ・ピッツァリス (アンドレア)

       *        *        *

ほんとに咥えてるぞ、マルーシュカ・デートメルス!?

ジャン=リュックー・ゴダール『カルメンという名の女』でデビューしたマルーシュカ・デートメルス。日本ではそれほど人気にはならなかったが、ヨーロッパでは人気のあったミューズの一人。
その彼女が主演なので露出度はかなり期待できる作品だが、本編中に彼女が主人公の高校生にフェラチオをしてあげるシーンがあるのだが、これがほんとにしているという!! 主役を演じたフェデリコ・ピッツァリスはなんとうらやましい野郎だっておもってしまった。

70年代にはやった青春“H”モノは、初体験にときめく若い男の子が、憧れの女性と紆余曲折あり、なんとか想いをなしとげるも、最後は「おわかれしましょう」で終わるのが定め。この映画は80年代の映画だけど、基本ラインはその流れなのだろうが、珍しく最後は二人が結ばれる方向性で収束していく。ただ、みていて気持ちいい“H”シーンではなく、もうちょっと普通っぽい。なのでマルーシュカ・デートメルスが主演で脱いでる回数はそこそこあるのだけど、欲情をそそるような“H”かどうかはちと疑問。

私がこの映画を見たときは、やっぱり彼女の裸のシーンだけをもとめてみてしまったのでストーリはひたすら退屈だった。というか、ピンとこないシーンが続くので感情移入ができないまますすんでしまうのである。
冒頭で自殺志願の女性を眼をあわせるマルーシュカ・デートメルスというシーンがある。自殺志願の泣き叫ぶ女の顔をみつめながらいっしょに涙をながすデートルメルス。他の人の必死の説得にも耳をかさなかった狂乱女が、ともに泣いてくれるマルーシュカを認めると、自殺をおもいとどまるという演出。演出的には、<イベントに対して感情移入する女性>をあらわしたかったのだろうが、どうもこのあたりがピンとこない。こうやっとけば、そのあとに続く主人公との肉体関係も言い訳がつくということなのだろうか・・。どうもそうらしいが、私としては全然監督のひとりよがりのいい訳のような気がした。

このマルコ・ベロッキオが監督したこちらの映画では、時代を第一次大戦時のフランスンから、60年代の後半ローマに置き換えている。彼女の夫も、原作では第一次世界大戦に出兵しているということになっているが、本作ではテロ活動で逮捕され服役中という設定だ。この設定もどうなのだろう。原作の設定では、婚約者が「待つべき人」だけど、この設定だと一般的に考えて「別れるべき人」=「待つべきでない人」になってしまっているような・・。そんな婚約者をもつ彼女とのセックスにはさほど罪悪感が生まれないような気がする。ドラマの設定してはどうなんでしょうね? とりあえず時代を近年にするためにいろいろアレンジを加えているが、ひっかきまわしただけ・・という印象。
当然1947年の、ジェラール・フィリップ主演の『肉体の悪魔』とは似ても似つかぬモノになっているようだ。

原作は、若くしてこの世を去ったフランスの小説家レイモン・ラディゲの同名小説で、彼が14歳の頃に出会った女性との実体験をもとに書かれている。フランス文学史全体における位置づけは、活動期間が短く、作品の本数も少ないせいもあってか決して高くはないが、処女小説『肉体の悪魔』は、年上の既婚者との不倫に溺れる自らの心の推移を冷徹無比の観察眼でとらえ、虚飾を排した簡潔な表現で書きつづったことで、今日もなお批評されているという。

<あらすじ>
ローマのある高校。パスコリの詩について授業が行なわれていると、向かいの屋根の上で飛び降り自殺さわぎが起きていた。学生のアンドレア(フェデリコ・ピッツァリス)はその騒ぎのなかで、一人の女性に釘付けになる。翌日、アンドレアは教室を抜け出して、その女性ジュリア(マルーシュカ・デートメルス)を追った。墓地に行き、墓標に花を供えるジュリア。彼女の父はテロの犠牲者だった。彼女は、その足でテロリストたちが裁判を膨張するために法廷に向かった。
彼女の婚約者のプルチーニはテロリストで長く投獄されているのだった。檻の中に入れられたテロリストのカップルが公衆の前で抱き合い、それを見て興奮したジュリアは、となりに居合わせたアンドレアにしがみついた。やがて、二人は本当に愛し合うようになる。婚約者の母がそのことに気づきはじめた。夫人はアンドレアの父親にそのことを告げ、とがめられたアンドレアは、家を飛び出してジュリアのアパートに行く。やがてプルチーニの釈放の日がやって来た。ジュリアはプルチーニのもとを去った。その日は、アンドレアの卒業試験の日でもあった。口頭試験を受けているアンドレアの後で微笑むジュリアがいた。

by ssm2438 | 2010-08-18 11:21


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