西澤 晋 の 映画日記

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2009年 08月 22日

マニアック・コップ(1988) ☆

f0009381_951169.jpg監督:ウィリアム・ラスティグ
脚本:ラリー・コーエン
撮影:ヴィンセント・J・レイブ
音楽:ジェイ・チャタウェイ

出演:
トム・アトキンス (マクレーン刑事)
ブルース・キャンベル (ジャック・フォレスト巡査)
ローレン・ランドン (婦人警官のテレサ)
ロバート・ズダール (ゾンビコップ/マット・コーデル)

       *        *        *

『13日の金曜日』を警官でやるとこうなるのだろうなあ・・。

異能脚本家のラリー・コーエンが制作・脚本をやっているだけあって、噛み合わせの悪い内容をマニアックに仕上げてある(苦笑)。
ラリー・コーエンといえば『悪魔の赤ちゃん』がもっとも有名だろう。本来人を襲うという概念からはかけはなれた赤ちゃんが殺人鬼として登場する。この感覚だけで「ありえない!」と普通の人はおもうのだがろう、それを見てみると「なんかあるかも・・」って思えるくらいまでには作りこんでくれる。おまけに最後はそれでも母親をめざす赤ちゃんの切ない業を描いてくれて涙を誘う(苦笑)。

彼の作品のなかで私が大好きなのは、『殺しのベストセラー』。本来相容れないはずの殺し屋と警官がコンビを組む。警官であったが、その傍ら彼の体験談に基づく小説も書いていたブライアン・デネヒーに、組織から厄介払いされた殺し屋ジェームス・ウッズが接触してくる。彼は嘗ての主人に復讐するために、自分の犯罪を小説にしろと言う。「裏が取れないものは書けない」というブライアン・デネヒーに、ジェームス・ウッズは、かつて殺した現場や、その段取り、そのご殺人につかった武器を何処に隠したかなどことこまかく説明している。さらに、「家族構成がわからないと、主人公のおいたちが書けない」というデネヒーに対して、さすがにしぶっていたジェームス・ウッズも同意し、彼の両親にあわせる。これが普通の両親だったりする。

本来安心すべき対象が殺人鬼だったり、その反対に殺人鬼が安心すべき人物になっていたりと、手を返しなお書け、チープな設定をもとにそれほど違和感なくB級の王道的につくってしまう不思議な能力をもったB級作家、それがラリー・コーエン。
今回の『マニアック・コップ』は市民を犯罪から守る警官が<ジェイソン>になっている。ただ、そこにいたる軌跡にペーソスを交えているのがラリー・コーエンなんだな。

本作の主人公マット・コーデルは、尋問の前に発砲というスタイルでニューヨーク市警の腕利き警官だった。しかし、マフィアと政界の癒着の暴露を恐れた市長が彼を罠にはめ、判事を買収し、コーデルを犯罪者として刑務所に送ってしまう。そこで嘗てコーデルが逮捕した囚人の暴行を受け、顔を切り刻まれ殺害される。
監察医の元に運ばれた彼は確かに死んでいたのだが、突然心臓だげが動き出し脳死状態で肉体だけは生き返る。再び刑務所に彼を戻すことをためらった監察医はコーデルの恋人に連絡し、死体引取りとってもらう。その後コーデルは自分を罠に嵌めた市長・警察組織に対し復讐を開始しする・・という設定。
彼はすでに死んだ殺人鬼、ゾンビ・コップなのだ。

ただ、詰めが甘いところもあって(ラリー・コーエンのいつものことだが)、市長や警察、マフィアに復讐する怨念がのこっているが、正義感が強かった嘗ての意識はなく、一般人を平気で殺してしまうのはなんだか見ていて気持ちがいいのではない。まあ、ゾンビ警官なのだが仕方がないし、そのアンコントロールぶりがラリー・コーエンの手加減しないところなのだろうが、だったら、復讐という概念もなしにしてほしいものだ。物語のなかに<復讐>という人間性を入れ込むなら、ほかの方向にもなんらかの人間性を入れ込むべきではなかったのかな・・と矛盾を感じてしまう。
まあ、ラリー・コーエンなので、そのへんはいい加減でしかるべきなのだけど。

<あらすじ>
ある晩、強盗に襲われかけた女性が1人の警官に助けを求める。しかし、彼女はその警官に絞め殺されてしう。翌日、強盗達は殺害容疑で捕まったが、彼らは「大男の警官が殺った」と証言する。やがて第二、第三の殺人が立て続けに発生したのだが、犯人は意図的に生存者を出すなどして警察に対し、かなり挑戦的であった。事件を担当したマクレー警部(トム・アトキンズ)は、犯人は警察内部の人間でしかもかなり恨みを持っている人間では無いかと推測する。
次の標的は警官ジャック(ブルース・キャンベル)。ジャックは妻との関係がうまくいっておらず、しかも同僚のテレサ(ローレン・ランドン)と言う婦人警官と浮気していた。犯人はジャックの妻を殺害して、あたかもジャックが妻を殺したかのように仕向ける。拘束されるジャック。無実を訴えるも、動機など状況証拠は揃っており、彼を救えるのは浮気相手のテレサの証言だけ。しかしそのテレサも殺されてしまう。
マクレーンとジャックは、無実の罪をきせられ獄中で殺されたマット・コーデルという警官がいることを知る。犯人は彼を愛していた近親者ではないのか?と考え、捜査は確信に近づいていく・・。

f0009381_9115773.jpgしかし、実は死んでたはずのコーデルが犯人だったという、サスペンスではありえないオチ。ラリー・コーエンは、初めにゾンビコップありきで、それを猟奇殺人仕立てのサスペンスで描くという手法をとっている。良くも悪くも、ありえないもの同士(ネタにしても手法にしても)をくっつけて映画にしてみようというB級スピリットが楽しい人だ。

余談だが、ジャックの浮気相手テレサを演じたローレン・ランドン(→)はB級映画のビーナスのような存在。『探偵マイクハマー/オレが掟だ!』では彼の秘書を、『ハンドラ』ではヒロイックファンタジーの戦うヒロインを演じていた。美系なのだが実にトラッシーであり、忘れがたいブロンド美人のひとりだ。

by ssm2438 | 2009-08-22 09:13


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