西澤 晋 の 映画日記

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2010年 09月 12日

候補者ビル・マッケイ(1972) ☆☆

f0009381_2036253.jpg監督:マイケル・リッチー
脚本:ジェレミー・ラーナー
撮影:ジョン・コーティ/ヴィクター・J・ケンパー
音楽:ジョン・ルビンスタイン

出演:
ロバート・レッドフォード (ビル・マッケイ)
ピーター・ボイル (ルーカス選挙参謀)

       *        *        *

かなり意外だが1972年アカデミー賞脚本賞を受賞している・・・。

ちなみにこの年の作品賞は『ゴッドファーザー』。・・・なんでこれば脚本賞受賞してないんだろう??って思ったら、こちらは脚色賞を受賞していた。

とにかく好青年の代表格ロバート・レッドフォードがビル・マッケイを演じたことの意味合いは大きい。選挙に出る前のビル・マッケイはハンサムで有能な弁護士であり、妻ともなんの問題もなく幸せな生活をしていた。ほとんど汚点がみえないようなぼんぼんで品の良い彼は、まさにロバート・レッドフォードがうってつけであった。
そんな彼が選挙に呑みこまれると、選挙に勝つための勢力が彼の純粋さをどんどん蝕んでいく。ひたすら蝕んでいく。見ていて悲しい映画である。

もっともアメリカの選挙を題材にしたえいがというのは、大抵この選挙参謀が悪役になり、勝つための手段を講じ、主人公が自分の純粋さを打ち出し、結果として主人公の精神のほうが民衆に支持される・・というものが普通だろう。エンタメとしてはそのほうが受ける映画なのだが、この映画はそのそのまま主人公の純粋さが失われていく方向性で最後まですすんでしまう。

ぱっとみシリアスで良さげにみえなくはないが、マイケル・リッチーの演出術だとちょっと温いかな。シリアスになやむようなこともなく、なんとなく世間にながされてしまっていく意志力の弱さが、マイケル・リッチーの根性無しぶりが演出にも反映しているような気がする。思えば『がんばれベアーズ』も、努力と根性で成し遂げる話じゃなかったし、この人自身がかなり意志力が乏しいひとなのだろうなって思う。

こんな映画、シドニー・ルメットがやればいいのを作りそうなのに・・・、特にこの年代のルメットは元気があった。しかしよくよく考えてみると、同じような『キングの報酬』という映画をルメットが作っていたが、あれはカスだった。・・・しかし、やっぱりルメットでこの映画は見たかった。

<あらすじ>
カリフォルニアの州知事をつとめたこともある父をもち、妻ナンシーと幸福な生活を送っていた若くて有能な弁護士ビル・マッケイ (ロバート・レッドフォード)。民主党は彼を党の候補者として擁立し、上院議員選挙を戦うことに決定する。
ビルの選挙参謀にルーカス(ピーター・ボイル)が選ばれプロジェクト・チームが結成された。「選挙に勝つために必要なのは、政見ではなく、有権者にどうしたらいい印象を与えるかにつきる」と言うルーカスに、ビルは批判的だったが、どんな高邁な理想も、現職議員がちらつかせる公約の前では影が薄いことを、ビルは痛感しはじめる。ビルの態度にも微妙な変化があらわれた。世間の流れに呑まれ、ほとんど魂の抜け殻のようになったビルだが、演説会ではルーカスのいうとおり、アメリカの栄光をたたえ、偉大な社会の一員として自覚を高めようと訴え、民衆もそれに感化されていた。やがて、投票日。ビルが勝った。しかし、勝ったのはビルではなく、第三者の手でつくり出され自分と無関係な人格のなにかでしかなかった。自分の指針も信念もうしなった彼は今後の自分の姿が見えなくなっていた。

by ssm2438 | 2010-09-12 20:38


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