西澤 晋 の 映画日記

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2010年 09月 27日

セールスマンの死(1985) ☆☆

f0009381_1816850.jpg監督:フォルカー・シュレンドルフ
原作:アーサー・ミラー
脚本:アーサー・ミラー
撮影:スヴェン・ニクヴィスト

出演:ダスティン・ホフマン (セールスマン)

       *        *        *

面子はすごいが・・・

世間の映画評論家の評論を読んで、良い映画か悪い映画を判断する人にはいいかもしれないが、基本的にアーサー・ミラーの映画で面白いものがあるとは思えない(苦笑)。この映画は当時ブロードウェイで大ヒットした彼の舞台劇を映画化したものだが、当時の舞台は恐ろしいまで大ヒットした。しかし・・・、個人的には今この舞台をやっても誰も喜ばないと思うのだけど・・・。

この映画は、1951年に一度つくられ、後に(私にみたやつ)1985年にTVMとして制作された。しかしこの映画、TVMとは思えないくらいの力の入れようで、原作者のアーサー・ミラーと主演の ダスティン・ホフマンがプロデュースをしている。そして抜擢した監督が『ブリキの太鼓』フォルカー・シュレンドルフ
この時点でもこの映画が面白く出来るわけがないことは予測できそうなものだが、出来上がったものはきまめてダークで夢も希望もないしがないセールスマンのぼろぼろ人生だった。本人に夢も希望もないのはまだしも、彼が貧乏生活の中で育て上げた子供らまで腐ってる。果たしてオレの人生はなんだったのかか??? まったく良いことがない人生、そんな晩年を舞台劇にしたものだった。

しかしスタッフはすごいのである。撮影も北欧の巨星スヴェン・ニクヴィストをつれてきている。この人は同郷のイングマル・ベルイマン作品の晩年を担当していたこと有名だが、地味ぃいいいいで彩度をおとした空間の色合いをベースに窓からの光などを荘厳にとるのが上手いという印象。しかしこの映画ではその地味ぃいいいいなばっちいいろの空間だけが印象深かった。

<あらすじ>
ウィリー・ローマン(ダスティン・ホフマン)は、自分を人並以上の人間だと思い込んでいたが、現実ではそれははかない妄想だった。する妄想の中だけに生きていた。以前はそれなりの成績をあげていたセールスマンだったが、63歳になるとそれまでひいきの客も死んでいったり、現役を退いたりして、彼のセールスの成績も振るわなかった。
妻は献身的な彼の家族をささえていたが、長男は定職にもつかぬ放浪者で、父の期待が重石となって自己崩壊していた。次男はチャランポランの無責任男だった。
長い放浪生活から帰ってきた長男は、弱り果てた父の姿をみてしまい、弟と一緒に事業を起こそうと融資先をさがすが断れる。ウィリィは妻にすすめられて、会社へ内勤を頼みに出かけたが、社の幹部は彼に解雇を申し渡した。
辛い現実から逃れるために過去に逃避するウィリーの頭の中には、自分がたくさんの注文をとることができた景気のいい時代であり、愛息子のビフがフットボール選手として華々しく活躍している時代であり、その息子が父を敬い、愛し、賞賛の言葉をかけてくれた時代だった。いつまでも息子がフットボールの花形選手だった当時の姿しか見ようとしないウィリーに、自分はもう何もとりえもない人間なのだということを何とか判らせようとする長男。
父子は、母を間にはさんで烈しい喧嘩をする。そしてウィリーはさとる。結局自分がずっと現実認識から逃避していたからこうなったのだ・・ということを。彼が愛したのは彼の妄想の世界だけだったのだ。
ウィリーは、深夜の街に車を駆った。今や彼の偉大さを証明するものは2万ドルの生命保険だけだった。葬式の日、ウィリィの墓に集まったのは、妻と2人の息子と、隣人のチャーリーだけであった。

by ssm2438 | 2010-09-27 18:16


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