西澤 晋 の 映画日記

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2010年 10月 16日

ドリーマーズ(2003) ☆☆

f0009381_8392165.jpg監督:ベルナルド・ベルトルッチ
脚本:ギルバート・アデア
撮影:ファビオ・チャンチェッティ

出演:
マイケル・ピット (マシュー)
エヴァ・グリーン (イザベル)
ルイ・ガレル (テオ)

       *        *        *

残ったのはエヴァ・グリーンの裸だけ・・・。

1968年代にフランスでおきたラングロワ事件とその1月後に起きる5月革命を背景に、アパートの一室に引きこもり自分達だけの世界をむさぼるエヴァ・グリーンとふたりの男の話。

ラングロワ事件というのは、シネマテーク・フランセーズの管理者であった。アンリ・ラングロワが更迭された事件。
当時のシネマテーク・フランセーズでは、アンリ・ラングロワ指揮の下、映画作品の保存、修復、そして、カメラ、ポスター、出版物、衣装、装飾、セットなど、映画に関するあらゆる物品の収集されていた。ラングロワは、保存や修復と同じくらい、フィルムの上映にも力を入れた。若き日のフランソワ・トリュフォージャン=リュック・ゴダールクロード・シャブロルアラン・レネエリック・ロメールといった、ラングロワのシネマテークで映画を浴びるように観た若者たちが、やがて映画監督の道を歩むこなる。
一方でラングロワは政府からは白い目で見られていた。シネマテークは政府が財政援助をしていのだが、ラングロワは組織を管理するという意識が希薄くだった。そのため文化大臣はラングロワの更迭。これに対してすさまじい批判活動が始まった。チャールズ・チャップリンエリッヒ・フォン・シュトロハイムジョン・フォードオーソン・ウェルズ黒澤明といった海外の映画人からも、ラングロワ復帰を求める署名がよせられた。パリでは、フランソワ・トリュフォー、アラン・レネ、ジャン=リュック・ゴダールたちがラングロワの復職を叫んでデモに参加した。
そしてこのデモの最中にこの映画の主人公達3人が出会うのである。

5月革命というのは、1968年5月にパリで起きた民衆の反体制運動であり、それにともない政府も政策転換をいつくかすることになったというもの。
事件の発端は1966年に起こったストラスブール大学の学生運動で、教授独占の位階体制に対する民主化要求からはじまる。これが引き金となり全世界で学生運動が盛んになっていく。そしてこの68年に入り、フランス全体の労働者も学生たちの運動に賛同する。そして5月21日、ベトナム戦争やプラハの春事件等の国境を越えた国家権力の抑圧に反対し、自由と平等と自治を掲げた約1千万人の労働者・学生がパリでゼネストを行った。シャルル・ド・ゴール大統領は、軍隊を出動させて鎮圧に動くと共に、国民議会を解散し、総選挙を行って事態の解決をみた。これにより、大学の学生による自治権の承認、大学の主体は学生にあることを法的に確定し、教育制度の民主化が大幅に拡大された。
日本でも1968年夏に東大安田講堂事件(学生による東大安田講堂の占拠事件)などがおきる。それに先立つ同年4月、アメリカでは、遊園地を軍事関連施設に建て直す事に端を発し、コロンビア大学の学生抗議者による学部長事務所の占拠が起きている。このときの様子が描かれていたのがバンバンのフォークソングとして有名なあの映画『いちご白書』である。キム・ダービーのベージュ色したミニスカートが印象的だった。

しかし、この映画はそのような抗議活動にあつい情熱を燃やす人達の映画ではない。
『いちご白書』は、コロンビア大学の学部長事務所の占拠に参加した主人公たちの目をとおして、政治に一太刀あびせたい学生の青臭いが情熱的な想いが描かれていたが、このベルナルド・ベルトルッチ『ドリーマーズ』は学生運動が盛んになるなか、部屋にこもってちちくりあっている生産性のない3人映画オタクたち、理想の世界を夢見て現実と戦うドリーマーズではなく、現実逃避でひたすら内にこもって夢想家のことである(苦笑)。
エヴァ・グリーンの首から下(メークのせいで顔もキモい)以外は、なにもかも幼稚で醜悪だった。

<あらすじ>
1968年、4月。シネマテークのラングロワ更迭に講義するデモに参加していたアメリカ人留学生マシュー(マイケル・ピット)は、イザベル(エヴァ・グリーン)とテオ(ルイ・ガレル)という魅惑的な姉弟と出会う。マシューは、姉弟のアパルトマンに泊めてもらうことになる。彼らは議論や映画クイズに明け暮れる快楽的な日々を過ごすが、それは性のゲームへと展開していく。クイズの罰ゲームの名のもとに、テオの目の前で、マシューとイザベルはセックスする。イザベルが処女だったことに驚くマシュー。3人は部屋にこもりっきりの怠惰な生活を送り、やがて金も尽きていく。退廃した3人の世界。イザベルは、テントの中にガス管を引き入れて心中しようとするが、パリの街で起こっていたデモの投石が窓ガラスを破る。外に出る3人。姉弟はそのままデモに参加していくが、もうやってられない・・とマシューは追いかけないのだった。

マシューというアメリカ人青年が体験する、大人になって体験する幼児体験・・というコンセプトの映画でした。

by ssm2438 | 2010-10-16 09:03


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