西澤 晋 の 映画日記

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2010年 10月 17日

勇気あるもの(1994) ☆☆☆

f0009381_173247.jpg監督:ペニー・マーシャル
脚本:ジム・バーンスタイン
撮影:アダム・グリーンバーグ
音楽:ハンス・ジマー
歌:マーヴィン・ウォーレン

出演:
ダニー・デヴィート (ビル・レイゴー)
グレゴリー・ハインズ (キャス軍曹)
クリフ・ロバートソン (ジェームズ大佐)
ジェームズ・レマー (マードック大尉)
ステイシー・ダッシュ (ミランダ・マイヤーズ)
マーク・ウォールバーグ (トミー・リーヘイウッド)

       *        *        *

彼等のラップ・ハムレットはいかす!!

女性監督のなかではダントツに好きなペニー・マーシャル『プリティ・リーグ』ではぼろぼろ泣かせてもらった。『ビッグ』では楽しく笑わせてもらった。彼女のガッツでハートフルな語り口は実に素敵だ。

内容的には軍隊を舞台に『いつも心に太陽を』『長い灰色の線』をやってるような感じ。軍隊のなかでも学業的にオチこぼれをあつめた補修プログラムの担当講師になったダニー・デヴィートがシェークスピアを引き合いに出しながら、生きることとは自分で決断してきめていくことを教えていく。軍隊とシェークスピア、シェークスピアとラップという、ありえないパズルががちがちと組み合わさって出来ていく映画はなかなか楽しい。

軍隊のオチこぼればかりをあつめた「ダブルD」と呼ばれるクラスだが、みてみるとそれほどすさんではいない。『いつも心に太陽を』レベルなのだ。これが『ワイルドチェンジ』までいってたらかなりしんどかっただろが、ハートフルが機能する範囲でキャラクター設定が行われている。甘いともいえるが、暗くなりすぎないためには必要だったのかもしれない。
f0009381_17362337.jpgそのなかの紅一点、ステイシー・ダッシュ(→)がとてもチャーミング。黒人女性で彼女くらいチャーミングにみられる女性はそういない。しかし、この娘がこのクラスに来る必要があったのか??ということに多少疑問は残るが、「全部男ばっかりだったらつまらないから」という理由でなぎはらわれそう。
と兵士に中にマーク・ウォールバーグがいた。後に『シューター』で狙撃兵をやる彼はここでも狙撃上手を演じていた。

このタイトルはいただけない。原題どおり『ルネッサンス・マン』(ルネサンス的教養人という意味らしい)で良かったようなきがする。でも「ルネサンス的」とはどういうことなのだろう?
そもそも「ルネサンス」とは、イタリアを中心に西欧で興った古典古代の文化を復興しようとする歴史的文化革命あるいは運動を指す。しかし、単に「古いものを復興しよう」という考えとはちょっと違う。この言葉の場合は古いもののほうが新しいのである。ギリシャ時代に発達した、自然科学や真理の追究、人間の本来のあり方などの考えかたはキリスト教の出現により、中世と呼ばれる季節の中では捻じ曲げられてきた。キリスト教がファンタジーで世界を解釈しようとした真実逃避の概念から、今一度真実に戻そうという概念が「ルネサンス」の本来の意味になる。
この映画の主人公、ダブルDのクラスにはいっている兵士たちに、今一度学問を自らの意思で行い、自分達を「落ちこぼれ」と自分で決め付けていることから脱却させていく。そのネタとして古典文学シェークスピアの『ハムレット』を題材にし、物語の中の問いかけは、自らに課された問いかけであることを気づかせていく。

雨の中の軍事訓練中に、ダニー・デヴィートのクラスがほんとに機能しているのかどうか確かめるために、そのクラの一人に『ハムレット』の一説を暗唱させる。一人目はダメだった。しかしもう一人にやらせてみると、すらすら言葉が出てくる。雨とドロにまみれた軍事訓練の中、彼の言葉からシェークスピアの国を守る兵士達の熱き言葉が語られる、そこにハンス・ジマーの音楽が重なると、怒涛の感動がおしよせてくる。
これで感動させるのか・・、ペニー・マーシャル!! 巧いぞ!って思ってしまった。

f0009381_17322392.jpg<あらすじ>
会社を解雇されたエリート広告マンのビル・レイゴー(ダニー・デヴィート)は、職業安定所で陸軍の落ちこぼれ兵士たちに教える国語の教師の職を紹介される。そのクラスは「ダブルD」と呼ばれる落ちこぼれ兵士たちを集めた特別補修クラスだった。軍には入ったものの勉学に乏しい彼らは常に劣等感を感じそれを、ジョークで逃げてきた。そんな生徒達にビルはシェークスピアの『ハムレット』を教えはじめる。
しだいに『ハムレット』の内容を兵士たちは理解しはじめる。さらにクラスに一人に、圧倒的に頭のいい兵士が紛れ込んでいることに気づく。彼をもっと高度なところで学ばせてやりたいと思ったビルは、管理役の管理役のマードック大尉(ジェームズ・レマー)に彼の存在をしらせる。しかし数日がかれは逮捕されてしまう。彼は麻薬に密売に絡んでおり、捜査から逃げるために軍隊に逃げ込んでいたのだ。彼も含めて、みんながいい雰囲気で勉強に興味を持ち始めた矢先の事件にビルも落胆する。しかし、その兵士も獄中のなかで猛勉強にうちこんでいるという知らせがとどく。クラスのみんなでほんとのショーエクスピアの劇をみにいくイベントや、そして雨天の軍事練習の中の『ハムレット』の暗唱、そして最終テスト。
『ハムレット』から多くを学んだ兵士たちは、その学び舎を卒業し兵士として巣立っていく日がおとづれる。最後のパレードの時、ビルの前を行進すダブルDのクラスの兵士達が、彼に敬礼をして歩き去るのだった。

by ssm2438 | 2010-10-17 17:40 | ペニー・マーシャル(1943)


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