西澤 晋 の 映画日記

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2010年 11月 12日

男と女(1966) ☆☆☆☆

f0009381_21342875.jpg監督:クロード・ルルーシュ
脚本:ピエール・ユイッテルヘーベン/クロード・ルルーシュ
撮影:クロード・ルルーシュ/パトリス・プージェ
音楽:フランシス・レイ

出演:
アヌーク・エーメ (アンヌ)
ジャン=ルイ・トランティニャン (ジャン・ルイ)

       *        *        *

この映画、男と女の業を語るような映画ではない。

見る前は(もう20年以上も昔のことだが)、すっごくロマンチックな映画だろうって思ってたら、意外やかなりリアリティのありそうな、子持ちの片親同士の恋愛模様の映画だった・・。

しかし、映画のなかでは、リアリティのありそうな話をサラリと流してしまう。物語と物語の語り口のバランスの悪さを、いったん頭の中で解体し、そのうえで並べなおし、それをお洒落に撮っているというかなり変な映画である。ストーリーの本質などはどうでもよく、そこを追求しないで、全体としてムードに浸る映画べき映画としてつくられている。 宇多田ヒカルの音楽みたいなものです。歌詞はあるのだろうがさほどどうでもよくって、その全体の雰囲気をなんとなくさらりと耳のなかにながしこむような・・あの感じ。

この映画の一番印象にのこるのはなんといってもフランシス・レイのあの『男と女のテーマ』だろう。ただ、この曲がこのドラマの世界観にあっているのだろうか・・?と考えるとちょっと違うような気がする。ドラマ性と音楽との不一致なのである。

考えてみればタイトルも不可思議だ。男と女というよりは、お父さんとお母さんなのだ。離婚したわけではない片親同士のふたり。男はレーサーで、嘗て事故を起こした時、ショックを受けて妻は自殺した。女も夫もなくしているが、いまだに彼を想っている。ドラマは、冒頭にも書いたのだが、夫と死に別れ、働きながら子持を育てているアヌーク・エーメと、同じく妻に先立たれた子持ちジャン=ルイ・トランティニャンが、お互いの子供の存在を交えながら、大人の恋愛をしていくという話。ただ、子供という存在があるがゆえに、彼等がドラマのなかで求める相手は「現実」をシェアできる相手であること。さらに、男はレーサー、女は一般人である。おかげでロマンスなんてものはどこかにとんでいきそうなかみ合いの悪さ。
さらに、映像もでたらめに白黒画面がはいってくる。望遠と広角が入り混じる。そこに特に法則性こうちくしようとはしていいな。見る前はかなり不安を抱いていたが、見てみるとそれほど邪魔くさくはなかった。

ラリーのあと、アヌーク・エーメと二人の子供のもとに車を走らすジャン=ルイ・トランティニャン。そして桟橋のシーン。3人をみつけたのだろう、桟橋を車を走らせるシーンから、浜辺で遊ぶ3人を手前にかなりのボケをかまし、その後方にのりつけるジャン=ルイ・トランティニャン。この望遠のカットはすばらしい!
そのあとライトをパッシングさせるところは広角で、また、そのライトの点滅に気づいてジャン=ルイ・トランティニャンのもとに駆け出す3人は望遠である。このアンバランスさが、不思議なほど悪くない。

この映画はコラージュなのである。物語の断片や、不規則な撮り方を、ぺたぺたぺたと一つの敷紙にはりつけ、その上からフランシス・レイの音楽でオブラートで包む。本来愛称の割りそうな断面も、フランシス・レイの音楽が暖衝剤になっていて、さりげなくまろやかにつながってしまう。ストーリーを追うような話ではなく(一応あるのだが)、雰囲気を味わう映画だ。

<あらすじ>
ある日曜日、寄宿舎にあずけてある娘の面会でつい長居してしまい、職場であるパリにもどる列車をのがしてしまったアンヌ(アヌーク・エーメ)。そんなアンヌに声をかけたのはジャン・ルイ(ジャン・ルイ・トランティニャン)だった。彼も息子を訪ねた帰りだった。アンヌはジャンのいうとおり、パリに向かう車に同乗させてもらう。
アンヌの面影を忘れられなかったジャンは、「次の日曜も自分の車でドービルへいかないか」と電話をかけた。アンヌとジャン・ルイ、そしてそれぞれの子供たらの四人は和やかな時間を過ごした。
レースを終えたとき、ジャン・ルイはアンヌからの電報を受けとった。それには「愛してます」と書いてあった。彼はすぐに車を駆ってパリへ、そしてドービルへ。その夜は安宿のベッドに裸身をうずめた。だがアンヌは死んだ夫の幻影を思い出す。二人は黙々と着物を着た。アンヌは汽車で、ジャン・ルイは自動車でパリへ向った。しかしアンヌを忘られぬ彼は車で彼女の列車を追った。駅のホームに降りたアンヌはジャン・ルイを見つけ二人は口づけを交わした。

by ssm2438 | 2010-11-12 20:25


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