2010年 12月 13日
監督:アンジェイ・ワイダ 脚本:イエジー・アンジェウスキー/アンジェイ・ワイダ 撮影:イエジー・ヴォイチック 音楽:フィリッパ・ビエンクスキー 出演: ズビグニエフ・チブルスキー (マチェク) エヴァ・クジジェフスカ (クリスチーナ) * * * なんだ・・・健さん映画か・・・。 映画の勉強中にアンジェイ・ワイダだからということで観た映画。 ポーランドという国自体が実に暗い映画になりやすい環境下だった。第二次世界大戦ではドイツに支配され、ドイツが負けたかと思えば今度はソ連の共産主義に支配され、いつもどこかの国に支配されている。それがポーランドの歴史。私のなかではポーランド=支配される国というい印象が極めて強く、描かれる映画に幸はないと感じていた。私の中ではポーランドとアルゼンチン常に暗い映画ばっかり・・という印象だった。 この映画は第二次世界大戦のヨーロッパ戦線が終結しそうな1945年5月5日からの4日間の話。他の国ならドイツが降伏したとなれば、戦争が終わったって喜ぶとこなのだけど、ポーランドは違っていた。戦時下ではドイツに対して抵抗していたのだが、その後は、ロンドン派の抵抗組織(西側に組したいと思う勢力)と、ソ連に支配されことを容認する勢力との間で抗争が生じていた。 この物語の主人公マチェクは、ロンドン派の抵抗組織の一人であり、ドイツが降伏したら今度は、ソ連高官暗殺の指令をうけることになる。しかし、市民の中には思想が入り混じっており裏切り者やスパイなどがそこらじゅうにいる。というか、主人公こそが裏切り者の立場になっているのかもしれない。そのへんがややこしいのである。 さらにこの映画がつくられた時代は既に社会主義に毒されており、体制批判、ソ連批判はご法度。映画において一番イージーな構成(体制を悪にする)の部分が使えないのだからなかなかしんどい。 かといって、この映画基本はサスペンスでも体制批判的な映画でもない。どちらかというと、戦争を舞台にした青春モノに入るだろう。主人公のマチェクはモノは文学青年だったが、戦争の銃を取るようになった。そして戦争が終わったら、普通の学生に戻りたいとおもった。勉強もしたいし恋もしたい。なのに・・・逃れられない戦争の呪縛。 基本コンセプトは健さんのヤクザ映画みたいなものである。ヤクザの世界にはいって義理と任侠の世界で生きていたが、好きな子が出来てしまいカタギに戻りたいとおもった。しかし・・、組織の呪縛と義理がそれを許してくれない・・ってやつ。 <あらすじ> ドイツ軍の降伏が目前に迫っていた1945年5月、マチェク(ズビグニエフ・チブルスキー)とその仲間はポーランド労働者党県委員会書記の暗殺を予定していたが、ターゲットが到着予定時間に遅れてしまい暗殺計画は失敗におわる。 運良く生き延びた労働者党高官はその夜、地元の市長が催す歓迎するパーティに出席する。そのころ、同じホテルのバーではマチェクが仲間と労働者等高官の暗殺の謀議をおこなっていた。しかしそのバーで、マーチェクはウェイトレスのクリスチーナ(エヴァ・クジジェフスカ)と知り合いベットをともにしたことから、暗殺業から足を洗い、彼女と新しい人生を歩んでいくことを決意する。 マチェクは高官を殺した。逃げるマチェックは保安隊に追われ、撃たれた。ホテルでは町長や伯爵や大佐夫人達が亡霊のようにポロネーズを踊っていた。二階の窓に涙を流して立ちつくしているクリスチーナがみえる。 総てを裏切ってそれに手を伸ばせば届いていたはずなのに・・・。 干してあった白いシーツにくるまれながら、マチェックはいつか町はずれのゴミ捨場にたどりつき、息絶える。
by ssm2438
| 2010-12-13 21:25
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主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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